見出し画像

休職日記 #34 80日間の過ごし方③

全期間を通して

専門家の指示には従う

ようは医者の言うことは聞きましょうという話。
私もそうだが精神の病気になるのは初めてのことで、何をどうすべきかはさっぱり分からない。医学的知識のバックグラウンドがないならなおさらだ。素人考えでこうした方がいいかもと考えたとしても、それが自分にとって良いという保証はなにもない。

この話の典型例が服薬だ。聞くところによれば、結構な割合で勝手に服薬をやめるという人がいる。もちろん、薬が合わないという場合はあるはずなので、そういう判断を一概に否定すべきではないとは思うが、基本的には言われたとおりに服薬はした方が良いと思う。まして仕事を休むほどの状態だ。きちんと医学の力は借りておいた方が良い。

また、「薬を飲むと調子が悪くなる」という話もあるが、その調子の悪さは薬由来の物なのか、薬を飲む理由になっている病気に由来する物なのかはきちんと考えた方が良い。

例えば、火事が起こると消防車が来る。結果として、家屋が全焼してしまったとして「消防車が来たせいで全焼した」という人はまずいないと思う。消防車は、あくまで家事に対処するために来ただけであって、全焼したのはあくまでも火事のせいだ。

しかし、火事を病気に、消防車を薬に置き換えると「消防車が来たせいで全焼した」と思ってしまう人がいる。もちろん、火事と消防車の例のように、明瞭なものではないのは確かだが、まず消防車を疑うよりは、火事に疑いの目を向ける方が妥当ではないだろうか。

こんなことを言えるのは、私がたまたま薬が合わないという経験をせずに済んだだけ、主治医に恵まれただけなのかもしれないが、少なくとも本来専門的な知識をもとに判断すべきことを、素人が変に判断することは一般論としても避けるべきだとは思う。

きちんとした情報源から情報を得る

先の話にもつながるが、特に病気に関することは、できる限りきちんとした情報源からの得るようにした方が良い。

インターネットは確かに便利だし、適切に使えば全く問題ないと思う。ただ、ネットの世界はやはり変な情報もよく混じっている。変な情報に踊らされないようにするためにも、ネットで自分の病気について調べるときは、厚生労働省などの公的機関の情報やせめて製薬会社や大きめの病院のHPに掲載されている情報などを中心にした方が良い。

ネット上の情報で判断をきちんとする自信がないなら、立ち読みでいいから本屋に行って、できるだけつまらなそうな本を手に取るべきだ。

知識を得るということは、不安を減らしていく有効な手段だ。自分がどういう病気になっているのか、どういう症状が出るものなのか、知っておくだけでも心持ちが違う。
不安を減らすための情報収集で、さらに不安になってしまっては本末転倒だ。情報は使うものであって、踊らされるものではない。

重要な判断は今しない

最近痛感するのだが、精神の病気というのは思考面で人を全くの別人にさせてしまう。

例えば、私は休職し始めた前後、以前好きだったことに全く関心が湧かなくなっていた。「本当は、そんなに好きじゃなかったのかな」とも思っていたのだが、最近になってその関心が湧かなくなっていたことについて勉強するのが楽しくてしょうがない。

おそらく、本当は好きじゃなかったという訳ではなく、病気のせいで別人になっていただけで、やはり本当の自分はそれが好きだったんだと思う。

これは結構、重要なことだと思う。例えば休職を機に転職しようとなった際に自分にとっての本当の”好き”を見失っていたとしたら、転職先の選び方は全く違うものになるだろうし、その選択が本当の自分にとって不都合なものになる可能性は決して低くないだろう。

結局、夜中にいろいろと思い悩むと、ろくな結論が出ないのと同じように、心が回復しきっていない時に重要な判断をすると、悪い方向に転びかねない。

もちろん、場合によってはそんな悠長なことを言っていられないこともあるだろうが、可能な限り決断は先延ばしする方が良いと思う。

考え事は、夜が明けてからするべきだ。

おわりに

ここまで適応障害で休職していた間の過ごし方を紹介してきた。

私の場合、回復は平均的かやや早いくらいだったので、まだましな方だったと思う。時期で区切って過ごし方を紹介したが、おおまかな目安として捉えてほしい。

また、やったこともあくまで私が好きなことをしていただけであって、これをすると良いという話という訳では決してない。自分にとって好きなことや良いと思うことをエネルギー消費という観点で精査してもらえれば、それでよいと思う。

メンタルの不調というのは、やはり辛いものだし、いろいろとショックを受ける。ただ、わりとそれで苦しんだり、そこから回復していたり、まだ戦っていたりする人は存外多い。あまり、そういう話をしないだけだ。隠れた戦友は多い。

ここまで読んでくださったあなたに対して私ができることはないに等しい。
でも、決して独りではないということは知っておいてほしい。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?