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【特別対談】シンガポールで活躍する割烹料理人 X ウミトロン共同創業者が語るサステナブルシーフードへの想い

みなさん、こんにちは!ウミトロン広報担当です。
この度、シンガポールにある割烹レストラン「Omakase@Stevens」にて、ウミトロンのAI技術を活用して生育されたシーフードブランド「うみとろん」のASC認証真鯛が春の特別コースにて提供されることを記念して、Omakase@StevensのExecutive Chefである窪田シェフと、ウミトロンシンガポール法人の代表山田による特別インタビューをお届けします!

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窪田シェフには、料理人としてシンガポールに飛び込んだきっかけや醍醐味、サステナブルシーフードやお客様との関わり方への想い、今後のビジョンについて、熱く語っていただきました。
ぜひご覧ください!

話し手:Omakase @ Stevens Executive Chef Shusuke Kubota 窪田修輔(以下、窪田さん)
聞き手:UMITRON PTE LTD Co-founder / President 山田雅彦(以下、山田)

左:Omakase @ Stevens Executive Chef 窪田シェフ 右:ウミトロンシンガポール代表 山田

山田:Omakase@Stevensについて教えていただけますか?

窪田さん:一見、純和風に見えますが、僕のバックグラウンドはフランス料理なので、フランス料理の調理技術も取り入れる割烹料理屋という立ち位置です。
また、カウンター席のみのレストランですので、お客様の前で料理を調理し見せながら、そして食材を紹介しながら、食事を楽しんでいただけます。

山田:僕も一ファンとして利用させて頂くことがありますが、食材が日本の旬のもの、フレンチでもありながら日本料理でもあり、たまにローカルのテイストも取り入れているのが、消費者目線でも面白く新しいなと感じます。そして、それらの調和が感動する美味しさになっている。


山田:最初からそのようなコンセプトで初めているのですか?

窪田さん:そうですね。やはり、日本人シェフとして、シンガポールで店を切り盛りするため、日本のテイストを入れたいなと当初から考えていました。レストランオーナーの意向もあり、よくあるジャパニーズフレンチよりは、もう少し伝統的な日本料理の要素を強く取り入れた料理を提供するレストランとなっています。
また、ローカルのテイストも取り入れたアレンジを少し加え、季節の食材やその時のインスピレーションにより、日本料理をアレンジしたりすることもあります。

山田:窪田さんは海外で活躍するシェフとして、日本からシンガポールへ単身で渡り、今日に至るわけですが、そのきっかけはなんですか?

窪田さん:もともと自分自身も海外に行きたいなという思いがありました。シンガポールに渡ったのは、知り合いからの紹介がきっかけです。その時、ちょうど仕事を辞め、英語を学ぶためフィリピン留学をしている際に、コロナウィルスのまん延が始まり、ロックダウンが開始され、自身も日本への帰国を余儀なく促されました。ロックダウンで海外への活路が閉ざされかけていたところ、シンガポールでヘッドシェフとして働くという機会を提案してもらい飛び込んだという運びです。

山田:日本とシンガポールで働くことの違いはあると感じますか?

窪田さん:シンガポールは親日国であり、真面目な人が多いので、働いている環境やカルチャーも割と近い気がしました。国によって、食べ物に対する趣向は異なってくるので、他国と比較すると、シンガポールは中華系の食文化がベースになっており、また統治されていた歴史からヨーロッパの影響も受けているので、他地域の食文化をうまく取り入れるという点で日本と感覚は大きく違わないと感じます。
とはいえ、細かく見ていけば、異なる点はあるので、働き方に関する考え方や、味の趣向性でも旨みをより好むのか、塩みをより好むのかなどは違うように感じます。

多国籍人種の国ではあるので、食に関しても違いを許容する傾向はあるのかもしれない。
新しい国というところもあるので、全体的に政府も人も柔軟なのかもしれないですね。

山田:シンガポールでレストランを切り盛りをしていて楽しいこと、醍醐味はなんですか?

窪田さん:どこの国でも料理をすることの楽しさは変わらないのですが、シンガポールでは日本では出会えないような富裕層客も多く、自分がこれまで繋がってこなかったようなバックグランドの方ともコネクションができます。色々な人と出会ったり、色々な価値観などを学べるのが一番の醍醐味かもしれない。これは、シンガポールがアジアのハブと呼ばれていることを体感できているのかもしれないです。

山田確かに、これから海外で活躍を目指すシェフがシンガポールへ渡り、アジアの顧客との繋がりのハブとして機能すると、スタートアップエコシステムに似た非常に面白いムーブメントになりますね。

山田:今回Omakase@Stevensとウミトロンでコラボをさせていただきましたが、コラボしていただいた料理について教えてください。

窪田さん:ウミトロンのAI技術を活用して育てられた真鯛を使用した日本の土鍋ご飯を提供しています。
季節が春なので、旬のアスパラガスとふきを食材として使っています。鯛は炭焼きにして、香ばしく仕上げています。また、鯛とクエの骨や頭からだしをとったものを注ぎ、お茶漬けとして提供しています。

山田:先ほど、その一品を頂きましたが、非常に美味しかったです。アスパラガスの食感と焼いた真鯛の香りを満喫しました。

山田:ちなみに今回、食材の真鯛を試食した時に、どのような考えで今回のお料理の着想に至りましたか?

窪田さん:養殖特有の魚臭さがなく、愛媛の産地から活魚のまま豊洲市場まで輸送され、そこで神経締めされているので、非常に安定した状態でシンガポールに届きます。濃い味付けというよりも素材を活かした新鮮さを感じられる味の方が良いなと思い、今回のメニューに仕上げました。また、真鯛そのものの美味しさを知って欲しかったので、あまり手を加えたくなかったというのもあります。

山田:実は、今回使われている真鯛は餌にこだわっており、通常の原料は、イワシなどの魚の脂を多く使うところを、よりサステナブルな餌で生育するために、植物性の原料をより多く活用した餌にしています。そのためか、よりすっきりとした綺麗な味になるということを、日本で活用してもらったほかの日本料理やフレンチのシェフからもフィードバックをもらいました。

窪田さん:この真鯛のお料理を提供して、実際にお客さんの反応も良いです。そして、やはり、海外だとよくある魚臭さに関するネガティブなコメントが出てこず、美味しいと好評をいただいてます。

山田:サステナブルシーフードに興味を持ったきっかけはなんですか?

窪田さん:前職のSincèreの石井シェフが、サステナブルというテーマに注力をしていたことがきっかけです。例えば、数十年後、食べられなくなってしまう魚がでてくる可能性があるという危機的なデータも出ていることを知りました。一人ひとりが意識を変えることで、少しずつ現状は改善していくと思うので、こういった活動を継続してやっていきたいと考えています。

また、自分が料理する店をどういう方向に持っていきたいのかを考えた時に、サステナブルやSDGsなども投資をする判断の指標の一つになって来ているトレンドを感じていたので、サステナブルに関することを少しずつでもやりたいと考えました。

山田:ウミトロンは、養殖業にテクノロジーを提供していますが、やはり業界の改善点もまだまだあると感じます。ただ、サステナブルシーフードの経済的評価が上がると、生産者もよりサステナブルな生育をするように意識も変わっていくし、レストランでもサステナブルシーフードを使用したいという需要も増えていくと思うので、認知を徐々に広げていきたいと思っています。

窪田さんのようなシェフに料理をしていただくことで、より食材の感動や背景も消費者に届けられます。今回窪田さんに協力してもらったように、シェフの皆さんの力で料理を通して食材から感動を引き出してもらうことで、食材に関する背景も含めて消費者の記憶に残してもらうことは大切な取り組みの一つだと感じています。

山田:ちなみにさまざまなサステナブルシーフードがあるなか、どうしてウミトロンの技術で育てた魚を取り入れたいとお声かけいただけたのでしょうか?何か理由はありますか?
窪田さん:Sincèreの石井さんを通してウミトロンの紹介をしてもらったことがきっかけですが、初めてウミトロンについて説明をしてもらった時にそのシステムに感銘を受けたことです。

僕の想像の域を超えていたし、衛星データの分析や魚の動画から餌の食いつきが悪い時に、餌の分量を減らしたり、AIで行う技術コントロールを、生産現場で活用できるアプリケーションにまで落とし込んで、そのシステムを誰もが簡単に使えるようになっている。
また、技術を活用することは生産者にとっても、環境にとっても良い。そして、消費者にとってもそのように生産されたサステナブルシーフードを食べることで未来につながる。という説明を受けた時に循環されているという事柄に共鳴したのが、使ってみたいと思った理由です。

山田:食に関わる中で窪田シェフを初め、いろいろなシェフと身近に仕事をする機会が増えましたが、個人的には、サステナブルな食材を使うことが、レストランの経営自体もよりサステナブルになるような、そんな循環に繋がっていくといいと願っています。

窪田さん:レストラン業界全体としてはまだまだですが、サステナビリティに向けて恐らく時代とともに徐々に変わっていくと思います。

天然魚が完全になくなるということではないので、それを楽しむところがあっても良いでしょう。一方、未来につながるサステナブルな食材を楽しめるところがあってもいい。これは、店の価格帯やコンセプトによっても異なるので、様々な形態があるかもしれません。

ただ、サステナブルな食材を調理するという選択や方向性は、今後ますます注目されていくことでしょう。もっといろいろな魚種を使った料理を提供できるようになればより良いと考えています。

山田:日本と比較すると、シンガポールのOmakase@Stevensにいらっしゃる客層の方は、こう言ったテーマに感度が高いのかなと思いますが、実際はどうですか? サステナブルシーフドに対する意見やフィードバックをお客さんからもらったことはありますか?

窪田さん:以前に何度かご意見を頂いたことがあります。例えば、フカヒレを出さないで欲しいと言ったコメントをもらったことがあります。フカヒレの場合は、ヒレの方を大量消費している一方他の部位はあまり使用できず無駄になってしまいます。フカヒレの大量消費により、サメが絶滅の危機に瀕している状況があり、お客様も気にされているようです。


山田:最後に料理人として、どういうことを消費者に伝えていきたいですか? 

窪田さん:まず、料理人として、お客様に安心して美味しく料理を楽しんで頂くことが大前提です。

そして、食材も厳選しているので、使っている食材に関して食事のなかでお客様に体感してもらったり、知ってもらうきっかけを提供できると嬉しいです。

一回の食事ですけれども、その食事には色々な食材が使われていて、その食材にはこんなストーリーや背景があって、今世界では食糧生産に関するこんな問題が起きていて、それに対してこんな活動をしている人がいる、ということを伝えることができる。それを知ってもらうことがきっかけで、その芽が何年後か、何十年後なのかはわかりませんが、ポジティブな方向に芽吹く可能性があると思っています。だから、料理を提供するだけでなく、その食材のストーリーも伝えていきたいです。

山田:それは、消費者にとっても、海外で活躍したい料理人にとっても新しい世界への出会いのきっかけになりうるお考えだと思います。今回は貴重な時間をいただき、ありがとうございました。

▼Omakase @ Stevens ウェブサイト
「うみとろん」の真鯛を使った料理は6月15日まで提供予定です!


▼ウミトロン ウェブサイト

▼「うみとろん」ウェブサイト


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