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実は魚はずっと喉が乾いている?

血や汗、涙。これらの液体はすべて、塩と水の両方を含んでいます。魚は泣いたり汗をかいたりはしませんが、私たちと同様、体液には塩分と水分が含まれています。平均的な魚では、水1リットルごとに14グラムの塩を含んでいると言われています。しかし、魚が暮らしている環境には、塩分と水がこれと同比率であることは滅多にありません。淡水では塩分は全く含まれておらず、海は通常水1リットルあたり35グラムの塩分濃度です。これは、淡水魚と海水魚が、体内の塩分と水分のバランスの取り方について真逆の戦略を持っていることを意味します。

魚の体内外の塩分と水分は絶えずバランスをとろうとしています。海水魚の場合、何も調整が行われない場合水分が絶えず体から出てしまうため、バランスを保つために、魚は継続的に水を取り込み、体から余分な塩分を排出する必要があります。このプロセスは浸透圧調節と呼ばれ、消化器系、腎臓、魚のエラで主に発生します。特にエラは、魚が塩分を体から素早く排出し取り除くことができる非常に重要な場所です。このポンプのような構造は多くのエネルギーを必要とし、特定の魚だけがこのプロセスを行うためのメカニズムを有しています。多くの淡水魚は、体から塩を取り除くためのポンプをエラに備えてはいません。そのため、海水に入れるとすぐに脱水症状で死んでしまいます。これは、人間が塩水を飲み続けて生き残れない理由と同じです。サーモンなどの一部の魚は好塩性であり、淡水と海水の間を行き来できるようになっています。

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海に生息する魚がどのように塩分(赤)と水(青)を取り込み、排出しているか(出典元:ウィキペディア)

これが意味することは、各魚種が特定の範囲の塩分濃度でしか生息できないような構造になっているということです。特定の塩分濃度の範囲を上回る、もしくは下回ると、魚はストレスを受け、病気にかかりやすくなります。逆に、理想的な塩分濃度の環境下では、魚が浸透圧調節に必要なエネルギーが少なくて済み、代わりに成長のために十分なエネルギーを使用できるということです。

一方、多くの甲殻類は魚のように浸透圧調節はしていません。甲殻類は浸透圧順応型の生き物、すなわち外部環境と等張である塩分や水分を体内で維持できる海洋生物です。水分の摂取や塩分の排出バランスを気にする必要はありません。しかしながら、魚と同様、それぞれの種が最も速く成長し、ストレスが最も少なくて済む理想的な範囲の塩分濃度があります。

養殖事業者は、特に雨が頻繁に降る地域や河川の近くの漁場で、塩分濃度の変化を注意深くチェックする必要があります。塩分濃度は深さによって急速に変化する可能性があります。淡水は塩水よりも密度が低く、塩水の上を流れるため、塩分濃度が非常に低い層が海水面近くにできます。また、この層は、その下を流れる層とは非常に異なる水温と溶存酸素である可能性もあります。魚が健康に成長する環境を保証するため、塩分濃度を追跡することが大切なのです。

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