見出し画像

遊びの素材あつめ

・感性を研ぎ澄ます

自然の中で遊びを組み立てる時は、その季節の素材集めからはじまる。よく知っている場所でも、毎日違う顔を見せている。そのためフィールドへ出かけ、旬の素材を見に行く。そこで、「今日は自然がどんな姿をしているのか?」を体全体で感じてみる。

・臭覚 

呼吸をするたびに匂いを感じる。雨の後、連続した晴天、大雨、強風、台風の後などなど。一番最初の感覚。川の匂いが強ければ、川の水が少なく有機物が多いし、魚たちの居場所が限られるから、産卵床を維持するのに深く巣穴を掘って、忙しいだろうなとか、大体この日がどんな自然の雰囲気かがわかる。大切な感覚。

・視覚

季節によっては、ミツバチが集団で巣から離れ、ワイルドな崖の隙間に営巣しているし、野生のヤギの子が大きくなり、オス同士の格闘が始まるかもしれない。今の季節と自然がどうなっているのか、点検するように見て歩く。

・聴覚

人工音が聞こえない場所(貴重な場所)では、全てが自然の音。カチカチという音は、カニ。ガサガサはカエル。ピチャッはボラ。メエエエはヤギ。などなど。毎日同じ組み合わせはない。今日は、どんな組み合わせかな?と楽しくなる。

・触覚

砂を触ってみる。今日は雨の後。スナガニが沢山出ているはず。とか、海岸で石を拾って、軽石なら、海底火山などが噴火したのかなとか。シャコガイが打ち上がって、波模様がしっかりしていれば、海況が悪かったんだなとか。私がいなかった間に何があったのかを触って確かめる。頬にあたる風も重要な素材。気圧配置や気温など気象条件と合わせて体感を記憶する。

・休む間隔

ゴールまで歩いて、一休み。この運動量と休憩の間隔、時間はとても大切。人が全身で感じることができる時間を作らないと、感じ取れない。慌てていると、あそびを提供する人についていくのが一生懸命で、話を聞くだけになってしまう。満足度は、時間配分にかかっていると断言してもいいくらい。ニーズに合わせて調節していく。
 ・感性を磨きたい →ゆっくりと休むポイントを多めで感性の遊び。
 ・自然を楽しみたい→楽しいポイントまで進み、ゆっくり遊ぶ。
 ・生き物観察したい→観察道具を持って、見どころまで歩く。
などなど。

・記録方法

その日の見たものが、1つ1つが大切な素材になる。丁寧に記録して残していく。昔は、野帳を使っていたけれど、今は、必要ならスケッチしたり、写真に撮ったり、動画を撮影するくらい。

・インタープリテーション

これで集める作業は終わり。素材のデータを持ち帰り、組み立ての作業に入る。一番おもしろい素材を抽出し、大きな達成目標を決め、どんな手法で観察して遊ぶか?を考える。一番楽しい作業。必要を感じれば、ぬいぐるみなどの小道具を作るし、必要な時はポップなフルカラーのワークシートを作成する。ドキドキ・わくわくの演出を考える。

子供向けに作成しても、大人や高齢者も十分に楽しめる内容となる。それを、地域教室や外部依頼の観察会や自然あそび、子供たちと散歩、自由研究などの依頼に使えるように完成させる。

インタープリテーションを使った自然の伝え方は、人間性がとても出る。その人の感性が形になっているから、人間味を感じる観察会になる。説明が中心の観察会や一斉指導の屋外授業と違って、一人ひとりの個性に合わせて、遊べるところも特徴。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?