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北山崎リベンジ

3月になるとあっという間に春めいて、
一気に暖かい日が増えた。
例年であれば3月はまだまだ季節の移り変わりで不安定な日が続いていたところだと思うが、青森県八戸市でさえ、気温20度を超える日もある。
八戸で3月に半袖で散歩する人の姿を初めて見た。
いつもであればこんな日々ではなく、3月はまだ「漕ぎたい」と思える季節ではないのだが、こんな天気、気温であればさすがに水の上に出たくなる。そんなうずうずしている頃に、エリアは違うが商売敵でもあり最大のライバルだとも勝手に思っている、なかのカヤックの中野さんから連絡が。
「大津さん、4月4日、北山崎リベンジしませんか?」

漕ぎたいのはやまやまだが、北山崎は2020年6月に岩場で大波にもまれて撤退したエリアだ。それに加えて、4月4日。なんだか語呂悪いし。さらに、大波にもまれた時と同じく大潮だし。
行きたいけど、なかのさんと漕ぐとイタイ目に逢うというトラウマも抱えているし、うーん、、と悩んだ末に天気のいい日が続き、漕ぎたい欲がまさり、そしてここらでトラウマを克服しなければ!!とスイッチが入り、よし、漕ぎましょう!!ということに。
そういえば、なかのさんと漕ぐのは2年ぶりぐらいになるんじゃないか。久しぶりだよなぁ。

今回は片道の計画のため、集合場所に車を止め、カヤックを積み替える。
時間は7時15分。が、寝坊やその他諸事情が重なり7時30分に無事に落合い、せっせと積み替えが始まる。
先日の予報値よりも、波高は高くなっている。え、上陸ポイントの波、やばくないすか??私的には一人だと絶対に漕がない。そんなレベルだ。
 せっせと積み替えをしていると、地元漁師のおっちゃんがやってくる。
「今日漕ぐのか?思ったより海は波が高いぞ。俺なんて海に出るの中止にした!どっからどこまでいくんだ!カヤックっていくらぐらいするんだ?」すべての答えに「ひゃ~」と言われた気がする。
その気持ちはよくわかる。私も、自分のしていることに、「ひゃー」と言いたい。

漁師のおっちゃんが言うんだもの、こりゃ今日は観光だな!と心の中でつぶやき、中野さんの顔を見る。「やっぱり、現地まで行ってみないと。」中野さんは言う。人の意見に惑わされてはいけないぞ、自分の目で見て自分たちで判断するんだ、わかったかオオツ。中野さんに、そんな風に言われた気がした。き、きもに銘じます。
ひとまず、計画は南東の風が上がるお昼ごろには上陸する予定だ。

あーだこうだと言いながら出艇ポイントへ。あれ、思ったよりも波はないぞ?やっぱり、地形よね、とかそんなことを言いながら、準備を進める。
シーズン初め、漕ぎ始めにしてはなかなかハードな海況な気もするが、目を覚ますためには感覚を取り戻すためには荒療治だよな、とか思いながら出艇地点のサーフゾーンを心臓バクバクしながら通過。
後から聞いた話だが、中野さんはここが一番びびったらしい。
どうやら大津は中野さんとビビるポイントが違うようだ。

外海の影響はまだ受けない

外海にでてもこんなんだといいんですけどね~!
なんていいながら弁天崎を回るまでは楽しい楽しいカヤッキングだが、そこを回り込むと一気に海況が変わる。暗礁も多ければ、岩場だらけ。
外界に出て早速、
これはやばい!!と思い
「なかのさん、一回戻って岩場を外側から回り込まないですか?」
と撤退宣言。シーズン初めにしては刺激が強すぎた。
(今回新しく引き継いだ新艇(中古艇)ノースショアデザインポーラーを乗っていたのだが、波に乗りやすいカヤックだとも思っているが、複雑な三角波が立つ、あっちこっちから波が来るような場面ではちょっと鈍足かもしれない)

写真で見ると迫力は薄いが、、、シーズン初めにしては刺激強め

中野さんは、その判断に残念そうだ。
中野さんは、タイミングを見れば、行ける!という。
しかし、大津はタイミングを外して沈してもあんなところで助ける自信はない!という。
足して2で割ればちょうどいい判断力になるんでしょうね(笑)

筋斗雲ではないだろうか、、、

波の花の上を行く中野さん。
波の花がこれだけあるのは、やっぱりそれなりの波だよなぁ。

タイミングを見れば、確かに行けるような、、

そして、矢越岬の海蝕洞。
行くか、行かぬか。
タイミングを見れば、、、
行っても助けれないですからね!
が、効いているのか、大津に軍配が上がる。
すごい残念そうな中野さん。
確かにハイライトともいえる矢越岬の海蝕洞を通過できないのは残念ではある。がしかし。命は惜しい。

でも、タイミングを見誤ったら、、、

少し進み、2020年に撤退した浜。
北山浜付近。ここで、突っ込んでしまい大波にまかれて気持ちが折れて撤退した。3年前か。今回もまた似たような海況ではあるが、突っ込まずに素通り。行かない、タイミングを見れば行ける、またはお互いを制止する、という判断ができるようになったのは、少しはその判断力は成長したのかなぁとしみじみ思う。

2020年に岩場を攻めすぎて大波に巻かれた場所。2020年撤退の記録【陸中の核心地、北山崎へ】
終始笑顔のなかのさん。笑顔の裏がこわい、、、
2020年の反省をもとに、お互いドライスーツ着用

北山崎展望台を超えると、久慈の半島が見え始める。人里が近くなってくると、先に進んでいる実感がある。少しホッとする。

中野さんは波打ち際がお好き
滝は何個かあるのだが、水量は少ない。ここが噂の聖域(または失禁エリア)アンモ浦の滝
写真上に見えるのが黒崎灯台
ぼちぼち、荒れてますね、、
最後の最後まで気を抜けないサーフゾーン、上陸地点
漕ぎ終わった後の達成感が、すごい

岸に近づき遊びながら漕げばもっと時間がかかるだろうところ、12km程度を3時間かからない程度で漕ぎ終わる。
漕げばあっという間ではあるが、相変わらず一人では漕ぎたくないほどの自然濃度、断崖で人を寄せ付けない壮大な海岸線だ。楽しさの反面、ちょっとした緊張感も得られる。
冬が終わり、気力、体力ともに充実しきっていない今、心身に無理やりスイッチが入った感覚だ。

漕いだ後はお気まりの北山崎展望台より、漕いだコースを陸の上から見渡す。

そうして、無事に田野畑村での目的を済ませ、最後のご褒美は。
ここに来たら、ここに来ずにはいられない!
なんならば。これが裏目的でもある。
漕いだら、ここ。

安定のうまさ。北川食堂のチキンカツ定食。

漕いだエネルギー量を簡単に上回ってしまうであろうカロリー摂取。
シーカヤックを漕ぐ人は太るとか太らないとか、そんな話もよく聞くが。
漕いだ後のご褒美が、、過ぎる。ということなんだろう(笑)

おかげさまでシーズン前のいいスイッチが入りました。
なかのカヤックなかのさん、ありがとうございました!!

このログが書き終わった今日4月23日、桜はもうすでに散り、例年より2週間ほど早い。
ということは。
きっと夏が2週間伸びるに違いない。
冬は2週間短くなるに違いない。
と、信じてやまない。

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