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キヌガワさんにライフジャケットのイロハ、教えてもらいました!

海や川で、命を守るライフジャケット。必要だとわかっていても、いざ購入となると、どんなものを選べばいいか、どこで購入したらいいか、どう保管したら良いかなど疑問もたくさん出てくるのではないでしょうか。

今回は、そんなライフジャケット初心者の方に向けて、ライフジャケットをはじめとするマリンスポーツ製品のメーカーである株式会社キヌガワさんhttps://www.kinugawa-net.co.jp/)に、ライフジャケットの基礎的な知識や購入場所についてをお聞きしてきました! 購入を迷っている方や検討している方、「ライフジャケットについてあまり知らないかも…」という方も! 購入の参考になる情報が満載なので、ぜひお読みください。


株式会社キヌガワってどんな会社?

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▲左から
AQA事業部 営業部長 大森茂義さん、AQA事業部 濱田憲之さん、GULL/AQUA事業部 デジタルプロモーション室 安藤瞳さん


――「株式会社キヌガワ」について教えてください。

大森:キヌガワは、マスク・スノーケル・フィンなどの3点セットをメインとした、スノーケリング、スキンダイビング、スクーバダイビングの軽器材を取り扱うメーカーです。その商品の一つにライフジャケットがあります。

――キヌガワさんでは、どのようなライフジャケットを取り扱っていますか?

大森:現在は、大人用、子ども用、幼児用を販売しています。子ども用は小学校1年生~6年生まで、幼児用は3~5歳が対象です。

また、キヌガワには『AQAhttp://aqa.kinugawa-net.co.jp/)』と『GULLhttp://gull.kinugawa-net.co.jp/)』という2つのブランドがあります。

『AQA』は水面遊泳を楽しむためのスノーケリングのブランド、『GULL』は潜水遊泳を楽しむためのスクーバダイビングのブランドです。ライフジャケットは『AQA』で取り扱っています。

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大森:私と浜田はAQA事業部で商品の企画・開発をおこなっています、安藤はプレス担当なので、『AQA』、『GULL』両方に関わっています。

――色々な商品を扱っているんですね! ちなみに…皆さんは海や川には行かれますか?

安藤:私は海ばかり行っていますね。

大森:彼女(安藤さん)は、根っからのスクーバダイバーなんですよ。よく、タンク背負って潜っています。

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安藤:スノーケリングもしますよ。最近は、スキンダイビングもはじめました(笑)。

濱田:私は、泳ぐより、子どもと川でバーベキューをすることが多いですね。仕事柄、海も行きますけど…川の方が行きますね。

大森:僕は根っからの海派。神奈川だと、逗子や横須賀あたりに行きます。千葉だと、館山の方へ遊びに行ったりもします。


海や川によく行かれているお三方に、次のブロックから色々とお伺いします!


押さえるべきポイントは?ライフジャケットの選び方

――ライフジャケットの種類について教えてください。

大森:ライフジャケットには、大きく分けて、固定式と膨張式の2種類あります。
固定式は、ベストにポリプロピレンという浮力体が組み込まれているタイプ。膨張式は、水に落ちたら自然に膨らむCO₂タイプや、自分で引っ張って膨らませるタイプがあります。コンパクトなので持ち運びに便利です。釣りをされている方が多く使っていますね。


――ライフジャケットを選ぶ際に気を付けることは何ですか?

大森:やはり浮力です。
中学生の頃に勉強したかもしれませんが、水の浮力により人間の体重は約10分の1に減ります。ですから、体重の10分の1の浮力体のライフジャケットが選定のひとつの目安

キヌガワで取り扱っている大人のMサイズのライフジャケットは浮力が7.5kgありますから、体重が75kgの人までは頭一つ分ぐらいが浮く計算になります。

国が定めている基準は、大人用は浮力7.5kg以上、子ども用は4kg以上です。国の基準や自分の体重などと照らし合わせ、自分に合う浮力のライフジャケットを選んでください。

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▲子ども用ライフジャケットの定番シリーズ「KA-9021ライフジャケットキッズⅢ」https://aqa.kinugawa-net.co.jp/products/life_jacket/ka-9021/

大森:浮力については、筋肉質の人と脂肪が多い人だと脂肪が多い人の方が浮きます。筋肉に浮力はないので、極端な話、ボディービルダーは沈んでしまいますね。ですから、筋肉質の方はワンサイズ大きなライフジャケットを選択してください。

また、海水と真水でも浮力が変わります。海は塩分があるので浮力が大きく、川は海よりも浮力が小さくなっています。川は急流や水が渦を巻いているところもあるので、川で使用する場合は、海よりも浮力が大きめのライフジャケットの着用をオススメしています。

そのほかに重要なのは、体へのフィット感ですね。
着たときに、ライフジャケットと体の間に、できる限り余りのスペースができないライフジャケットを選んでください。目安は“指が入るか入らないか”ぐらいの隙間です。

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▲本note編集部の河田着用、大人の女性であればこのくらいのサイズ感/「KA-9020A ライフジャケット」着用(https://aqa.kinugawa-net.co.jp/products/life_jacket/ka-9020a/

安藤:ライフジャケットを着用して、引っ張ったときに動かなければ大丈夫ですね。可能であれば、店頭などで試着してから購入してみてください。


――国土交通省の安全基準を満たしている桜マークなど、いろいろな機関で安全性が保たれているかどうかの判断基準となる認定マークが存在しています。やはり認定マークは付いていた方が良いのでしょうか?

大森:キヌガワでは、国土交通省の認定団体であるNPO法人『River Activities Council』(以下、RAC)さんによる認定マークを取得しています。ベルトを引っ張ったときの強度や、浮力の基準を満たしているかなどを調査し、水準をクリアした製品だけ認定マークを付けることができます。

RACさんのようなNPO法人のほか、国土交通省、海事局、河川財団などさまざまな機関の認定マークが存在しています。しかし、安全基準はそこまで大きく変わりません。
どの機関の認定マークが良いということはなく、どこかの機関で認定されていれば安全性が保たれていると思って問題ないです。

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▲キヌガワさんの商品には、分かりやすくタグで承認マークの確認ができます

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▲ライフジャケット自体にも印刷されていましたよ


――購入の際のひとつの基準にしたいですね。ちなみに…認定マークのない商品もたくさん出回っているのでしょうか?

大森:出回っていますね。認定マークにお金をかけるかかけないかは、各社の判断です。
ですが、認定マークのない商品の中には、30秒水に浸かると沈んでしまうような粗悪品もありますので、やはり何かしら認定マークを取得しているライフジャケットが良いと思います。

――ホイッスルなどが付いているライフジャケットもありますが、子ども用として、これだけは押さえておきたい機能はありますか?

大森股ベルトはあったほうが良いですね。股ベルトがないと溺れたときなどに、ライフジャケットがすぽっと抜けてしまうことがあります。しかし、股の下にベルトを通しておけば、溺れた際にライフジャケットが抜けるのを防げます。

また、幼児の場合は、頭を支える浮力体もあった方が良いです。
ライフジャケットは溺れた際に上向きで呼吸ができるよう、前側に浮力があります。要するに、うつ伏せの状態ではなく仰向けの状態になるようにできているんですね。
しかし、幼児は頭が重いので仰向けの状態だと頭が沈んでしまいます。それを防止するためにも頭を支える浮力体が必要になります。

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▲幼児向けライフジャケット、子どもらしくポップなカラー展開「KA-9022A ライフジャケットインファントDX」https://aqa.kinugawa-net.co.jp/products/life_jacket/ka-9022a/

大森:そのほかは、キヌガワ独自の機能ではありますが、首元にレスキューバンドというベルトを着けています。子どもの場合は、あちこちに行くので「危ないぞ!」と、ぐいっと引っ張ることもできますし、大人の場合は、溺れた際に掴んで救助することもできます。

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▲安藤さんが持っている部分が「レスキューバンド」、いざという時に役立ちそうです


ライフジャケットはどこで購入できるの?

――ライフジャケットは、どこで購入できるのでしょう?

大森:一番品揃えが良いのは、スポーツ量販店です。

濱田:キヌガワの商品は、アルペンさん、ゼビオさん、ヴィクトリアさん、ムラサキスポーツさんなどで取り扱ってもらっています。
夏季限定の売り場にはなりますが、ホームセンターや、ドン・キホーテさんのようなディスカウントストアで取り扱っているところもあります。
マスクとスノーケルの2点セットの隣のラックに、ライフジャケットが置いてあります。

あと、カヌーやSUPを取り扱っているアウトドア用品店や、そのほか、釣具屋さんなどでも置いてあるところがあります。そのほか、ネットで購入されている方も多いですね。

大森:時期的には、6月中旬~お盆にかけて、売り場が大きく展開されています。

――ライフジャケットの相場はどれぐらいでしょう?

大森:認定マークが付いている固定式のライフジャケットであれば、大体3000円後半〜くらいかと思います。高価格帯の製品だと、1万5000円~6000円ぐらいまであります。
膨張式は、安くても9800円〜2万円くらいだとは思います。

――値段によっての違いはどこにあるのでしょう?

大森主に機能面ですね。ポケットが多いものや、浮力体を抜いてベストのように着られるようなライフジャケットだと値段が上がります。

中には1480円など激安のものもありますが、多くはどこの機関からも認定されていない、安全基準の満たされていないライフジャケットが多いので注意してください。

――ライフジャケットの購入者は増えていますか?

大森:増えていますね。特に子ども用のジュニアサイズが人気です。一番アクティブに遊ぶ年代ですからね。


何年使える?ライフジャケットの寿命

――ライフジャケットに寿命はあるのでしょうか?

大森:経年劣化していくので、10年、20年は持たないですね。
蛍光灯の光に照らしているだけでも、生地はどんどん劣化していくんですよ。表面が弱くなってくるんです。ベルトを引っ張ったときに切れることもあります。

ただ、保存状況、保管状況にもよるので一概に何年持つとは言えませんね。
一般的な家庭ですと、使用頻度は年に2~3回ほどでしょうか。だとすると、3シーズンぐらいは使えると思います。3年ほど経ったら新しいライフジャケットを購入していただくのが良いですね。

――劣化しているかどうかは、自分でもわかるものでしょうか?

大森:生地の状態を見るのが良いです。最初に起こる劣化は、色の飛び。だんだん色が薄くなったり、元の色から変わってきます。その後は、触り心地。生地がカサカサ、ザラザラしてきたら、買い換え時です。紫外線にすごく弱いんですよ。

また、劣化すると浮力体も弱ってきますから浮きにくくなります。なので、劣化がはじまったように感じたら、早めに買い換えるのをおすすめします。

――劣化しないためにも、家ではどのように保管すれば良いですか?

大森:使用後は汚れていても洗濯機で洗わないで、真水で手洗いをしてください。これはライフジャケットに限らず、ウェットスーツ、ラッシュガード、フィン、スノーケルすべてに共通しています。

真水で塩を流して、日陰干しをしてください。その後は、なるべく風通しの良い場所に保管。ライフジャケットはカビが生えやすいので、よく乾かしてくださいね。

――海や川で自分たちの命を守るライフジャケットですが、防災などでも役立つのでしょうか?

濱田防災目的で利用する人は多いですね。

大森:最近、浜松の小学校から、学校が資金提供するので、生徒一人とその親に一着ずつ、防災備品として納品してほしいと連絡がありました。

安藤:洪水などの際に、ライフジャケットを着て避難すると安心感が増しますよね。日本は水害が多いですから、一家に一つライフジャケットは必要だと感じています。


命を守るライフジャケットへの想い

――最後に、ライフジャケットへの思いをお聞かせください。

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大森:ここ4~5年の間に、ライフジャケットはすごく普及しました。しかし、その中には、さっきもお話したような、30秒で沈んでしまう安価なライフジャケットもあります。要するに市場が広がっても製品基準を遵守したモノづくりという面では安定していないんですね。

僕らも当然、お店相手に商売をしていますから「キヌガワさん1980円のライフジャケット作ってよ」と言われることもあるんですけど「うちではやれません」と断っています。弊社はこの製品基準で作るので、これだけのコストがかかります。この価格でお付き合いできないなら、ほかと取引をしてほしいと伝えています。

我々は、命を預かるモノを作っていますし、コストがコストがと安い方に走っていくことは絶対にありません。それはうちのトップが許しません。

やはり、命を預かるモノを作っているのに、「利益が取れる」、「いい売価で売れる」と、走るのが一番こわいです。そんな商売をしても、良いことなんて何もないんです。

ですから僕たちは、製品基準などの信念を変えることなく、ライフジャケットをはじめとする“命を預かる製品”を作っていきたいと考えています。


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「命を守る製品」、ぐっと心に刺さりました。海や川は楽しく開放的な反面、時に大きな危険もはらみます。そこでいかに楽しく過ごす事を考えた時、装備の面から考えることもひとつの手です。

自分の命に関わるモノだからこそ、体に合ったものをしっかりと選び、購入したいと考える方も多いはず。そんなとき、ぜひこの記事の内容を頭に入れ、ライフジャケット売り場に出かけてみてください。きっと、自分に合うライフジャケットに巡り会えるに違いありません。ぜひお気に入りのライフジャケットを着て、海や川で、安全・安心な楽しいときを過ごしてください。

大森さん、濱田さん、安藤さん、お忙しい中ありがとうございました!

今回取材させていただいたキヌガワさんの最新情報はこちらから

株式会社キヌガワ
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