学習塾にライフジャケットステーションを開設!元ミスさかいで河野さんインタビュー
2021年、香川県坂出市に新しい「ライフジャケットレンタルステーション」が開設されました。その場所は、第13代ミスさかいでの河野さんが運営する学習塾。「実は海は苦手で…」と話す河野さんが、なぜこの場所でライフジャケットの活動を始めたのか。きっかけや想いを伺いました。四国で広がるライフジャケット着用への動き、ぜひお読みください。
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河野 倭須子(こうの やすこ)
香川県坂出市で生まれ育つ。現在は同市にて学習塾「倭塾(やまとじゅく)」を開き、地域の子どもたちに学びを教える。第13代ミスさかいでの経歴を生かし、坂出市商工会議所青年部や女性部の活動にも積極的に参加。2021年7月からご自身の塾で、坂出ライフジャケットレンタルステーションを始める。
ミスさかいでを機に、どっぷり地元・坂出市での活動をスタート!
―河野さんの経歴を教えてください。
河野:坂出市で生まれ育ち、坂出市内の会社に就職しました。ミスさかいでになったのは、29歳のとき。幼少期から剣詩舞(しぶどう)という、剣や扇を使って舞う武道を習っていて、その教室の先生から「ミスさかいでのコンテストに出てみたら?」と言われて、断るに断れず…。出場したら第13代ミスさかいでに選ばれました(笑)。
任期は2年、市の顔としてPR活動を行いましたね。たまたま任期中に市制65年や瀬戸大橋開通20周年が重なり、護衛艦の一日艦長や瀬戸大橋の式典のサポートなど、色んな行事に出させていただきました。
▲当時の河野さんのお写真。
河野: 今でも続けているボランティア活動も、ミスさかいでがきっかけでした。当時、歩きながら町の魅力を見つける「まち歩き」が出始めた頃で、ガイドとして携わらせていただいたり、任期後はミスさかいでを選出する坂出市商工会議所の青年部のメンバーになったり。来年からは女性部の一員として活動する予定です。
―すごい! 坂出市の活動に引っ張りだこですね。学習塾はいつから開かれたのですか?
▲河野さんが運営する学習塾。お子さんたちが学びを深めています。
河野:2021年2月22日に開いたばかりです。勉強が好きだったこと、子どもが好きだったこと、教える仕事をしたいと思い続けて、やっと開校にこぎつけました。その塾の場所で、個人向けのライフジャケットのレンタルステーションを開設している状況です。
ライフジャケットとの出合いは、東京2020聖火ランナー
―ライフジャケットのレンタルステーションを始められたきっかけを教えてください。
河野:東京2020の香川県の聖火ランナーに選ばれたんです。その時、私の次の走者がライフジャケットの啓蒙・普及活動を行っている森重祐二さんで、その時にライフジャケットのお話を聞きました。
▲お二人が出会うきっかけとなった、聖火ランナーでの場面。河野さんから聖火を受ける森重さん。
実はその前の年、坂出市内の小学校の修学旅行で水難事故があったんです。けれど全員、ライフジャケットを着ていたり、事前の訓練をしていたり、色々な要因が重なって無事だった。そういった事故が身近で起きたことに加え、私自身4歳の子どもがいること、子ども向けの学習塾の準備をしていたこともあり、到底他人事とは思えませんでした。
それで森重さんに「私、市内の企業さんに寄付のお声がけができます」と伝えて、ライフジャケットの寄付を募ることになったんです。
―お声がけする企業さんのイメージが湧いていたのですか?
河野:そうですね、ミスさかいでの頃からの繋がり、商工会議所での繋がりなど、ある程度イメージはありました。「これだけ声を掛けたら集まるかな〜」と、思いつく人に片っ端からお声がけして、50着という目標枚数を目指し、無理せずでもできる限りやっていきました。最終的には108着も集まり、坂出市では団体用の貸出、私の塾では個人用の貸出を行うことになったんですよ。
▲ライフジャケットレンタルステーションの様子。外からでも一眼でわかるよう、大きく掲示中。
―レンタルステーションの反応はどうですか?
河野:塾に通っている生徒さんの親御さんなどは、借りてくれたりしています。あとは四国新聞さんや市の広報誌などで取り上げてもらったので、来年はもっと借りてくれる方が増えるかなと思っています。塾も本格稼働し、生徒さんと話す機会も増えますし。
▲レンタル用のライフジャケット。人気アニメ作品をモチーフにしたデザインも取り揃えています。
ただ、海や川に泳ぎに行く時以外にも、水辺に行く際には借りて欲しいと思っていて…。私の子どもが通っている幼稚園で講習会を開いてもらおうと企画したり、塾のLINE公式アカウントに項目を追加したり、できるところから広める方法を考えています。
海が苦手な河野さん、現在抱くライフジャケットへの想いは?
―ライフジャケットには、現在はどのようなイメージをお持ちですか?
河野:「ライフジャケットがあれば、命が助かる」ことを再認識しました。
元々、私自身があまり海へ行かないこともあり、毎年の水難事故のニュースが本当に辛かったんです。聞くだけでも痛々しくて、「どうにかならんのかな」と思っていました。
それが森重さんのお話を聞いてから、「命を守る手段として、水に対してはライフジャケットがある」と思えるようになって。ポジティブに捉えられるようになったんです。
だから今では「早くみんな使ってよ!」って思ってます(笑)。
―水辺に行く際は必須ですよね。
河野:そうですね。うちの子もいずれは海に行きたいって言うと思うんです。その時に向けて、私自身がライフジャケットのことを知っていたり、海についての知識を入れておかなきゃ、って思ってます。
あとは、私が坂出市でライフジャケットの活動をすることで、少しでもライフジャケットの大切さを認識してくれる人が増えるなら…と思って動いています。私、多分異常なくらい坂出市が好きなんです(笑)。なので、とにかく坂出市のために何かをしたい。
思えば亡くなった私の祖母が、地域のために婦人会や色々な活動をしていて、私もよくついていってたんです。そのおかげで坂出が大好きになり。今では祖母の活動を「自分が引き継いでいるな〜」という感覚です。今でも「あそこのお孫さん?」と言われるくらい、地域の影響力がある、自慢のおばあちゃんなんです。
「知らない人にこそ伝えたい」、河野さんが考えているこれからのこと
―大好きな坂出市でライフジャケットの大切さを広めるために、考えていることはありますか?
▲坂出市の市民イベントに参加する河野さん。
河野:保護者の方にお伝えしたいのは、自然のレジャーに出かける際は、子どもから目を離さないこと。子どもの動きは予想できないことが多く、危険もたくさん。また、そういった場所は近くに海や川、湖や池などの水がある場合が多いので、必ず、ライフジャケットを持っていってください。購入が難しい場合は、お近くのレンタルステーションなどを探して、ぜひ利用してください。
あとは前述した幼稚園での講習会のほか、坂出市が主催の講習会も開きたいですね。「市がやっているから、行こうか」と思う保護者の方も一定数いらっしゃるので、市の生涯学習課に相談へ行こうかと考えています。
ライフジャケットの寄贈ができたのも、ライフジャケットレンタルステーションの開設がスムーズに進んだのも、昨年の修学旅行での事故で、ひとりも死者が出なかったからだと思っています。その未然防止の策をしっかり取っていけるように、私は言い続けていきたいです。
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幼少期や学生時代のつながり、ミスさかいででの経験、すべてが今につながり、「生まれ育った大好きな街のために」というブレない軸で、活動されているのだなと感じたインタビューでした。
河野さんが言っていた、「異常なくらいの坂出愛」はオンライン越しでも伝わってきており、坂出市での思い出やご自身の活動をお話しているときの河野さんのイキイキとした表情が印象的でした。
これからの坂出市でのライフジャケットの動き、楽しみにしています!
<ライフジャケットのレンタル方法>
「坂出市生涯学習課」窓口で申込み
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受け取り
※団体:坂出市府中湖カヌー競技場研修センター、個人:倭塾
(サイズは子ども用のS、M、Lがあります。使用後は水で洗って返却ください)
ライフジャケットレンタルステーションの詳細はこちら
香川県坂出市役所 生涯学習課
https://www.city.sakaide.lg.jp/soshiki/syougaigakusyu/lifejacket-rental.html
河野さんが運営する「倭塾」の詳細はこちら!
https://yamatojyuku.com/