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短編小説のようなものたち

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記事一覧

添い寝の君

差し出された腕を合図に 彼の左肩に頭をのせる。 首筋の匂いを嗅ぎ 足を絡める。 わたしたちは…

鏡よ 鏡、わたしの味方

「ちょっと お化粧直し。寄っていい?」 駅のトイレに 朋子が入ってゆく。 入り口付近で待ち…

鏡よ 鏡、 わたしが問いたいのは

「鏡よ 鏡、この世で1番美しいのは だあれ?」 朝の支度を終えると 鏡の前で つぶやく。 鏡…

鏡よ 鏡、

今度の街は 落ち着いた人通りで 奇抜ではないけれど 意思のある佇まいの店が 粛々と生きてい…

月夜の晩に

ドライアイのはずなのに。 今日は 涙腺が壊れてしまったみたいに 絶え間なく 涙が じわじわと…

ほころび

背を向けて寝ている彼の背中に ぺらと かすかな綻びを見つけた。 ゾクゾクと湧き上がる欲望。…

雨の日は おやすみ。

夢の中に かすかに 雨音が 混じりだした。 ぱら ぱら ぱら ぱらぱら ぱら ぱらぱらぱらぱら 窓を打つ 雨の粒。 今日は おやすみ だ。 そう思った瞬間、 ものすごく安堵した。 あぁ、また苦しかったのかもしれない。 そう気づく。 いや、認めてあげられる。 今日は おやすみ。 雨のおかげだ。 💧 どうしてなのかは わからない。 明確な理由なんて説明できないけれど、 自分のいる場所に しっくりきていない 息苦しい と感じてしまうことがあるのは、 小学生の

静香のこと  〈消極的な死への願望〉

庭の手入れは あえて していない。 初めてこの家を見たとき 長年放ったらかしだった庭に 自由…

静香のこと 〈しあわせな暮らし〉

結婚するまで 料理なんて ろくにすることもなかった。 正確に言えば 自分で食べるためだけに …

静香のこと 〈結婚を決めたとき〉

夫は焼き魚を食べるのがうまい。 うまいというよりも もう芸術といえるような箸さばきで 静か…

小麦の香りに包まれて。

繭子は パンが好きだ。 大学に入学して すぐに 大学のそばの小さなパン屋さんで アルバイトを…

突然 雨が降ってきた。 予想していた雨だったので わたしは 傘を持っていた。 小さな若草色…

ハコオンナ

わたしの仕事場は とある小さな駅の売店である。 ひとりに ぴったりの小さな箱は 慣れると非常…