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匙投げ小説執筆法

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エンタメ長編小説の書き方の一例(※私本人のメモを兼ねて)。もし一つでもお役に立てばうれしいです。
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2022年5月の記事一覧

匙投げ小説執筆法 0.はじめに

匙投げ小説執筆法 0.はじめに

はじめに(自己紹介のようなもの)

小説を書こうと決意したのは13歳でした。いつも書きだしては挫折で、自分には才能がないのかと絶望した日もありました。それから紆余曲折あり、初めて小説を終いまで書きあげたのは31歳。まあ、諦めない才能だけはあったのかもしれません。

きっと、昔の私のように、物語を書きあぐねている方は多いでしょう。書きたい。でも、書けない。私が実践してみて効果的だったノウハウを、これ

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匙投げ小説執筆法 1.物語の基本構造

匙投げ小説執筆法 1.物語の基本構造

物語の基本構造

物語には最低4つの山が必要です。

①主人公登場! 読者の心をがっちりつかんで、物語のキャラや舞台を紹介する序盤。
②主人公が最初の転機を迎え、物語にコミットする中盤前半。
③物語が印象的に折り返して、主人公が能動的になる中盤後半。
④主人公が最大のピンチに見舞われ、苦闘の末に勝利(あるいは意味のある敗北)をする終盤。

この基本形に当てはめるだけで、物語は格段に書きやすく、また

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匙投げ小説執筆法 2.何を書くべきか?

匙投げ小説執筆法 2.何を書くべきか?

何を書くべきか?

基本的にあなたの好きなもの、興味の持てるものをテーマ、題材にしましょう。作者が自らの物語に興味を持っているか否かというのは、読者には如実に伝わります。興味を持てないものへのあつかいは雑になりやすいですからね。

仮に興味のないものをマーケティング的に書いて、いっときは当たったとしても、もし創作的に、商業的にうまくいかなくなったとき、モチベーションを保てなくなります。何よりも、意

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匙投げ小説執筆法 3.小説の設計図

匙投げ小説執筆法 3.小説の設計図

小説の設計図

あなたの物語のプレミスを、アウトラインやプロットに膨らませてみましょう。アウトラインは大まかな見通し、プロットはやや詳細な設計図と思ってください。

プロットを書き慣れていない方は、アウトラインから始めましょう。ようはアイディア出しです。主人公の設定、主要キャラたちの設定、舞台設定、キャラの動機と行動、キャラ同士の関係性、セリフの断片、起承転結の流れ……。イメージを喚起するイラスト

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匙投げ小説執筆法 4.とにかく書きはじめよう

匙投げ小説執筆法 4.とにかく書きはじめよう

とにかく書きはじめよう

物語の書きだしは、小説執筆の最難関です。車でいえばエンジンが温まっていない状態ですから、うまく発進できません。上手に書けなくて当然です。とにかく書きはじめてしまいましょう。多少まどろっこしくてもぎこちなくてもおかしくても、あとでいくらでも直せます(過去を改竄できるのが小説執筆の醍醐味です)。まず、勢いよく始めることが大切です。

魅力的なファーストシーンのコツはいくつかあ

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匙投げ小説執筆法 6.シーンの区切り方

匙投げ小説執筆法 6.シーンの区切り方

6.シーンの区切り方

⑴空白行について

多くの本のページは、いくつかの段落ののちに、数行の空白を挟んで(または記号を挟んで)、また新たな段落群が始まっています。ここからは別の節、セクションですよというサインです。

小説において、節を切り替えるべき基本的なポイントは以下の4つです。

①場所が変わる。
②その場所の環境が変化する(天気が急変する、キャラの顔ぶれが変わっている等)。
③時間が大き

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匙投げ小説執筆法 7.伏線とは?

匙投げ小説執筆法 7.伏線とは?

伏線とは?

伏線とは、のちの展開のヒントをあらかじめ(さりげなく!)読者に見せておくテクニックです。その展開がその場の思いつきではないぞという作者のアピールであり、読者に対するフェアプレイです。その伏線を読者が見落とし、あるいは気づいても展開が予測不能なら、なおかつその伏線からの展開が必然的なものであれば、読者は膝を打ちます。

キャラ=伏線、アイテム=伏線、セリフ=伏線、エピソード・解説=伏線

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匙投げ小説執筆法 8.キャラの魅せ方

匙投げ小説執筆法 8.キャラの魅せ方

キャラの魅せ方

書き手は、えてして完全無欠で一切迷わず恐れないキャラを登場させてしまいがちです。おそらく読者はそのキャラを心配する気にならないでしょう。キャラの迷い・恐れ・葛藤が物語のスパイスになるのです。出来事が物語を興味深くするのではなく、その出来事に対するキャラのリアクションが物語を興味深くします。

⑴動機第一

欠落や不足のないキャラは、主人公たりえません。主人公の動機と意図で、物語が

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匙投げ小説執筆法 9.セリフについて

匙投げ小説執筆法 9.セリフについて

セリフについて

⑴セリフの意義

たしか黒澤明監督が、"サイレント映画のつもりで脚本を書く、どうしても必要な場合だけセリフを入れる"という趣旨のことをおっしゃっていました。監督らしいストイックな姿勢です。

ただ、小説においては、そこまで厳密でなくても良いかと。というのは、セリフの極端な少なさは、「売れない」と編集者が判断する材料になるからです。セリフはアクションが近いことを知らせる指標という側

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