神経質なほどの無い物ねだり

「あなたは人の気持ちを理解できる優しい人だね」

子どものころから幾度も言われてきた言葉だ。
この性格は、幼少期から様々な作品に触れてきたこと、そして、いじめを受けたことが影響してるのではないかと思っている。
他人の感情に無関心でいられるよりは人間らしく、そして協調性にも繋がるので、この性格を恨んだことはなかった。

これまでは……。

しかし、最近は他人に無関心な性格だったらどれ程幸せだっただろうかと思うことが格段に増えた。
報道やSNSで望んでいない情報を習得してしまうことが増えたためだ。
「見なければ良い」などと無責任なことを言う方も少なくないだろうが、見ないと言うわけにいかないのだ。
例えば、好きな番組やタレントについてパブサをしたくなったとき、嫌でもトレンドが目に入る。トレンドが目に入るだけなら良い。ご丁寧にネットニュースの見出しまでつけて堂々のランクイン。
そこに書かれている、気分を落ち込ませるだけのニュースに毎度毎度神経がすり減らされる。
これも一重に私の感受性が豊かすぎるゆえだろう。

もし他人に対して無関心であれば、こんな下らないニュースでイラついたり、悲しんだりすることもないだろう。
感情がなくなれば良いとすら思うときがある。
しかし叶うことはない。叶ったとしても、喜びやときめきという感情まで手放すのはごめんだ。


自分ができないことを他人に強要する人、他人の大切な持ち物を口に入れる人……。
こういった神経をすり減らすニュースを作り出す張本人はどういった感覚の持ち主なのだろう？
他人に無関心なのだろうか？
私が憧れる性格を持つ人物が、私の神経をすり減らす愚者だとは何とも皮肉なことだ。
そんな愚者になるくらいなら、私はこの神経質な感受性と付き合っていくほうがマシだ。