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もういない君と話したかった7つのこと #23

「やらなきゃいけないこと」から逃げまくれ

 心には「逃避力」があります。
 なにか嫌なことから逃げるために、他のことをしてしまう。
 試験前日だというのに、なぜか夜の10時から部屋の掃除をしてしまうという、だれもが体験するアレです。
 僕の友人で、卒論を書くのが嫌すぎて、その反動から気づいたらウルトラマンの研究書を書いていたという人がいます。おまけに、その論文がとてもよく出来ていて、本当に出版されてしまいました。
 逃げまくってもこういう結果が生まれることもあるんですよ。

 僕はそういう「逃避力」を、これまでの人生において、うまく使ってきたような気がします。
「これをやらなきゃいけないのに嫌だから、違うことをやってたら楽しくなってくる」みたいなことです。
 でも、その楽しいことをずっとやっていると、「なんかこれ、楽しくなくなってきたな」と思うときが来るので、そのときにまた別のことをやる。
 こういう「逃避」を、これまで延々と続けてきたのに、意外となんとかなっているという……。
 これも「後ろ向きの自由」の一種なんですけど、僕は、もともと前向きな人間じゃないので、そっちでは努力できないんです。

 僕は人生を最低限の力でしか生きたくないと思っています。
 ゲームでたとえれば、
「レベル上げなくても、すごく強い武器が手に入ったら、勝てるんじゃないか」
「防御力の高い防具を誰かに貰えたら、レベル1でもなんとかなるんじゃないか」
 とか、そういう考え方ですね。
 そういう楽観とも言える前向きさを持ってみるのもいいと思います。

 考えてみると、世の中の人が考えている「前向き」は努力や明るさばかりで狭くありませんか。
 僕が思っている最高の「前向き」っていうのは、何もしないことなんです。
「お前、なんで何もしないの?」って聞かれたらきっと、「いや、なんとかなると思ってるよ」って答えるような状態です。
「前向きに努力する」とかは、「前向き界」ではまだまだレベルが低いと思います。
 なぜなら、努力している時点で、「やらなきゃヤバい」っていう恐怖を感じているわけですよね。
 そういう人は「本当の前向き」、つまり「トゥルー前向き」ではありません。
 本当の「前向き」は、何もやらないんです。
 家で寝ているだけです。
 僕はそっちにあこがれます。
 Kにこの話をしたら笑って同意してくれました。
 まあ、実際は無理なんですけども。あくまで理想です。
 でもどんなことでも、理想があるってすごくいいことですよね。暗いときも心が自由になります。


自由は自分の心の外にある

「いやいや、前向きだろうが後ろ向きだろうが、両方のスタンスに立っても、結局は俺の中に自由が見つからないんだけど?」
 というKの声が聞こえてきそうです。
 確かにそうでしょう。
 自分の中だけを探しても、狭い自由しか見つかりません。自分探しなどをする人を見ると、「自由を自分の中に求めすぎていた」という僕の経験が思い出されてしまいます。
 自分の中に自由なんてありません。
 自分の考え、つまり自分の小さな枠の中で、「自由じゃない」って叫んでいるだけでは、一生自由なんて得られない。
 外に出ないと、自分の「自由の枠」が広がらないんです。
 なぜなら、自分の中から出て来るものなんて、自分のわかること、体験したことしかないはずだからです。
 だから、他人と関わったり、自分が知らないことと関わることが、自由を広げることにつながります。
「いや、だからそれがいやなんだって!」
 と、Kなら言うでしょう。
 ならば、その「いやだ!」という力を使って、「死」とは逆側に飛ぶことを考えたほうが良かったと思うのです。





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