日経社員と読む!日経新聞スクラム読み
日経新聞をみんなで読む、日経新聞スクラム読み。
日経新聞×noteが運営するコミュニティ、Nサロンの部活、「新聞部」として始まったこの活動。
今回は新メンバー4名を加えた8名で、2019年9月13日(金)の日経新聞朝刊、夕刊を使ってスクラム読みを行いました。
さらに今回はなんと、日経新聞COMEMO担当で記者や編集の経験もある「山田豊さん」がスペシャルゲストとして参加。
「このニュースは日経的には大失態」
「この記事は公表前につかんだ独自ニュース。だから紙面での扱いも大きい」
といった、日経の中の人だからわかる、貴重な話を聞くことができました。
日経新聞スクラム読みとは?
日経新聞スクラム読みは、ひとりで読むのが当たり前の新聞を、みんなで読み合うことでより深く学ぼうという活動です。
日経新聞×noteが運営するコミュニティ、Nサロンのメンバー同士の自主活動(部活)の1つとして誕生しました。
記事で書かれた内容に、参加者の知識や経験、意見を加えていくことで、ひとりで新聞を読むよりも、より深く、多くのことを学ぶことができます。
このマガジンにスクラム読みのやり方や、過去の開催内容をまとめていますので、もしお時間があればご覧ください。
スクラム読みの手順
日経新聞スクラム読みは、通常、以下の手順で行いますが、今回は「③広げる」の時間を短くしたショートバージョン(30分)で行いました。
▼手順
①選ぶ
各自が新聞を読み、最も気になった記事を1つ選ぶ
②話す
「記事の内容」、「その記事を選んだ理由」を1人ずつ、みんなに発表
③広げる
ピックアップされた記事について、自分の意見や知識・経験をシェアする
④つなげる
グレレコをもとに、記事の内容やシェアされた意見を抽象化してつなげる
(今回は急な開催だったので、電子版で記事を選ぶメンバー)
メンバーが注目した記事
「自分の仕事や経験と関連した記事を選ぶ人」
「記者とは別の視点で記事に書かれた事象をとらえる人」
「時系列で記事の内容をとらえている人」
と、8人それぞれが別の視点で記事を選びました。
同じ記事でも、自分とは違った視点で見直すことができるのが、スクラム読みのメリットの一つです。
①ともさん
「AIのアルゴリズム 独禁法疑いなら開示要求可能」
AIの会社で営業を担当されており、趣味がマラソン・音楽LIVE(インスト)のともさん。
お仕事と直接関係のある記事を選ばれました。
ともさんは今回、新聞部に初参加でしたが、初参加とは思えないほど、積極的に記事の内容を広げてくれました。
▼注目した理由
記事では、例えばGoogleとかが、AIベンチャーに対して「アルゴリズムを開示しろ」ということがないように「フェアに戦え」と言っている。
アルゴリズムはAIベンチャー側のノウハウなので、Googleなどの圧力から守って欲しい。真正面からは彼らと戦えないので。
これに対するメンバーの反応は、
「そもそもアルゴリズムの意味がわからない・・・」
というもの。
ともさんは将棋に例え、私も箱(ブラックボックス)に例えて説明しましたが、IT方面に明るくない人にとっては、「アルゴリズム」という単語は難しいようです。
ここで日経の山田さんから、
「アルゴリズムという馴染みのない単語を使った難しい記事を、あえて経済面のトップにもってきているのは、日経の記者が日米貿易交渉を追いかけて、公式発表前につかんだ独自のニュースだから」
というコメントがあり、「なるほど、そういう背景があったのか」と、新聞の裏側を少し垣間みることができました。
②みかんさん
「千葉県南部4市町の停電、復旧に今後2週間内」
続いては、Nサロン1期からの新聞部メンバーで、不動産営業から不動産ファンドの運用部門への転職が決まった、ミスチル好きのみかんさん。
「安全な地域に移動できないのは何が原因なのか?」
と、災害時の避難行動に関して、問いを投げかけてくれました。
▼注目した理由
今回の台風では、政府の自衛隊派遣が遅かったのではないかと言われている。
SNSが発達し、シェアの時代と言われているのに、安全な地域に移動するということができていないのは何がネックなのか?
家のことが気になるのか、思考の転換できていないのか。
次の災害に備えてなにかできないか。
他のメンバーからも、
「すぐ避難できるはずなのに逃げないのは、地元に対する愛着なのか、なんなのかわからない・・・」
と同じ意見が出ました。
日経の山田さんからは、
「この話は完全にメディアが出遅れてしまった。問題の大きさに気づいた後で報道するようになった」
というコメントがあり、
「たしかにTwitterではめちゃくちゃ投稿あったのに、最初は報道なかったね」
と、世間で注目されないと報道されないというメディアの特性を感じました。
③安藤さん
「米ウォルマート、食品宅配に本格参入 」
歴史とヤクルトスワローズが大好きで、水産会社で総務を担当されている安藤さん。新聞部には今回初参加。
とあるサロンで歴史語りもされています。
(実は私も同じところで「働き方改革」について話しています)
そんな歴史好きの安藤さんは、この記事を「配達する人」という別の視点で記事をとらえていました。
▼注目した理由
年間1万500円で生鮮食品を何度でも宅配してくれるということで、Amazonをおびやかすのでは?と考えられるが、それよりもそれを運ぶ人にフォーカスされていない点がとても気になる。
小売り事業者にフォーカスがあたっているが、荷物が瞬間移動するわけではない。
もっと運ぶ人にフォーカスし、その人たちの記事を書いて欲しい。
他のメンバーも、
「ウォルマートはもっと運ぶ人に敬意を示さないといけないのではないか?」
と、「表面的なサービスをとらえるだけではなく、それを支えるインフラにも着目する」という新たな視点を安藤さんから得ていました。
ちなみに日経の山田さん曰く、
「これは速報なので、いずれ続報でてくるのでは」
とのことなので、続報に注目です。
④ktana_さん
「神戸でもエアガン発射か 3件確認 東名あおりと関連捜査」
エンジニア兼マネージャーで、料理・筋トレが趣味のktana_さん。
Nサロンに関するnoteを頻繁にアップされており、いつも勉強させてもらっているお一人です。新聞部には今回初参加です。
そんなktana_さんがこの記事を選んだ理由。
▼注目した理由
あおり運転がとても怖い。(車に乗るのに)危険なものを察知する能力を鍛えないといけないのが嫌。だけど、こういう社会になっていると意識を向かされてしまう。
こういうのはテクノロジーの力で解決できないか。ドライブレコーダーとか。
ktana_さんは最近、通勤電車で面倒くさいことに巻き込まれたそうで、「トラブルは突然起こる」と、この記事の内容は他人事ではないよう。
ただ、
「車だとドライブレコーダーをつけることで、煽りが減ったという話を聞くが、電車は公共物なので難しい・・・」
「監視社会になってしまう」
と、「安心と監視」という相反するものの折り合いのつけ方の難しさに、メンバーからのコメントも一筋縄ではいかないという思いがにじみ出ていました。
⑤あさむーさん
「株上昇、「実力」伴うか 業績での裏付け不可欠」
経理担当で、西武ライオンズファンのあさむーさん。
ファイナンスラボという「財務諸表を使ってビジネスを理解する」コミュニティ仲間でもあります。
新聞部には初参加ですが、経済に強そうなあさむーさんが選んだ記事は、やはり経済に関する記事。
▼注目した理由
日経平均が4ヶ月ぶりに高値をつけたが、業績がともなっていないという記事。10月から始まる第2四半期の決算発表後も本当に株あがるのか注目。
今の経済は、いいのか悪いのかの測り方が難しい。つい何日か前に、「逆イールドが発生し、景気後退のサイン」という記事もあった。
日経の山田さんから、
「この記事では、業績面での裏付けが伴っているのかを問題視している」
と解説がありましたが、
「経済の本当の姿がわからない・・・」
と、今の市況を不安視する声がメンバーか出ました。
⑥kenさん
「バリアフリー国会、道半ば ハード改善、ソフトに課題」
メーカー勤務で主夫のkenさん。
Nサロンのライフプラン部の部長で、あさむーさんや私と同じく、ファイナンスラボのメンバーでもあります。
kenさんが夕刊からこの記事をとりあげ、社会のあり方について問題提起してくれました。
▼注目した理由
ハード面はそれなりにできつつあるようだが、前の人は車椅子で、今回の人は自分で動くこともできない人。
バーチャルロボを使ったり、画面をつないでというのも検討されているが、そうした人も責任を果たせるにはどうすればいいか。
改修されたところはニュースになるが、まだ健常者だけが国会に参加できるというところがあるので、健常者でない人も政治に参加できるには今後どうなればいいのか。
Twitterの中には反対意見もあり、社会的な分断を感じる。
今の社会が本当にいいのか。
メンバーからは、
「こういったことがあると、バーチャルロボをつくろうという動きにつながる」
「オンライン参加でよくないか、と、旧態然としたやり方を変えることにつながる」
と、逆にこれを社会をよくしていくための変化のチャンスととらえた前向きな意見が出、視点を変えることで、ネガティブにもポジティブにも事象をとらえられ、こうした様々な見方を学べるのが新聞部のメリットだなと感じました。
⑦いごはち
「セブン銀、ATMに顔認証」
私はこの記事のこの部分に注目しました。
▼注目した理由
「金融だけでなく、生活のあらゆる場面で使えるATMをめざす」
「高解像度カメラで利用者の血流を測定して健康状態を測ったりするサービスも可能で、今後導入を検討する」
とあり、セブンの本命はATMの機能を便利にすることではなく、お金の出し入れに用がなくても、例えば血圧検査のために毎日ATM(=セブンの店舗)に人が集まる状況をつくりだし、ついで買いなどで経済圏をつくるという狙いではないか
セブン銀行は、「ATM手数料で儲ける」という利ざやで儲ける通常の銀行とは異なるビジネスモデルです。
(セブン銀行や他の銀行ビジネスモデルについての解説はコチラ)
人口減少、キャッシュレス推進により、ATM利用件数は減っていくことから、コンビニに簡易診療所や高齢者が集まるサロンとしての機能を持たせることで、セブンイレブンへの来店頻度を増やし、セブン銀行単体ではなく、7&Iホールディングスとして収益拡大を狙っているのではないかと考えました。
メンバーからは、遠隔で診断できるようになっていることに驚きの声が上がった他、
「病院の来ている老人で、それで済む人はそっちにいけばいい」
「そうすれば医者の負担も減る」
と、予想されるセブンの取り組みにポジティブな意見が多くでました。
⑧エビちゃん
「ヤフー「国内EC首位が射程に」 ZOZO買収へ」
最後はNサロン新聞部の部長、エビちゃんです。
2期から新部長として新聞部を引っ張っていってくれています。
今回はグラレコも担当してくれました。
自らも事業を運営していた経験のあるエビちゃん。
タイムリーなこの記事を選びました。
▼注目した理由
ヤフーが買収することでシナジーが生まれ、新しい事業にZOZOも進出できる。
21年育てた事業を手放す気持ちはどんな気持ちだったんだろう?前沢さんどんな気持ちで泣いたんだろう?
2400億円が手元に入るとのことなので、次の事業に使われたらいいな。
同じ事業家として、前沢さんの気持ちに思いを馳せたエビちゃん。
実際に事業をした人にしかわからないことはたくさんあると思いますが、スクラム読みのメンバーの中に経験者がいることで、ほんの少しそこに近づける気がします。
前沢さんといえば「宇宙」ということで、
「ホリエモンと前沢さんが宇宙を舞台に競い合うのが見てみたい」
と、より高いステージで活躍することを期待する声があがりました。
つなげる
今回のグラレコはこれです。
今回、ピックアップされた記事に共通するのは、
「社会課題へのテクノロジーの使い方」
が1つのポイントだったと思います。
AI活用、災害対策、宅配効率化、安全安心な社会、バリアフリー社会、遠隔医療、ECと、各記事にある社会課題を解決する有効の手段としてテクノロジーが存在します。
実際、AI活用、災害対策、宅配効率化は今、私が仕事でテクノロジーとデータを活用して解決に取り組んでいるテーマだったりもします。
これらの社会課題に対し、テクノロジーをうまく活用し、世の中をよりよくする方向に導くことのできる企業は業績を伸ばし、今後も成長できると思います。
最後に
30分というショートバージョンのため、スクラム読みの醍醐味の「③広げる」の時間をあまりとることができませんでしたが、新規に参加してくれたメンバーから、
「思った以上に面白かった!」
「また参加したい!」
と、やや興奮気味の感想をもらえたのがとてもうれしかったです。
日経の山田さんからも、
「これは相当知的な活動」
というお褒めの言葉をいただきました。
スクラム読みには、他にも、
◆情報がフレッシュな朝イチのスクラム読み
◆日経STYLEのある日曜版で、文化・哲学の要素を取り入れたスクラム読み
◆日経MJやウォール・ストリート・ジャーナルなどを加え、記事のバリエーションを増やしたスクラム読み
と、様々な読み方で楽しむことができるので、今後も定期的に開催していきたいと思います。
また、Nサロンの部活ということを活かし、日経新聞記者や関係者の方と行うスクラム読みなんかもできればいいなと思います。
Nサロンの中だけに閉じず、コミュニティを超えて広くスクラム読みを楽しむ人たちを増やしていきたいと思います。
(コミュニティ横断でスクラム読みしたときの記事はコチラ↓)
新聞を媒介にして、知識や経験を語り合うスクラム読みは、
・世の中の仕組みを理解したい
・自分の知識を深めたい
・多様な人とのつながりを増やしたい
という人にオススメの活動です。
もし「興味あり」と思われた方は、お気軽にTwitterのDMなどでご連絡ください。Nサロン新聞部への入部も大歓迎です!
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