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投資#30 長期金利が上がってきた


こんなニュースが目に留まりました。

長期金利 一時 0.705%に 2014年1月以来の水準まで上昇

長期金利 一時 0.705%に 2014年1月以来の水準まで上昇 | NHK | 日本銀行(日銀)

ご紹介する書籍のサブタイトルが現実化している感じです。

書籍の情報

タイトル:円安と補助金で自壊する日本 2023年、日本の金利上昇は必至!
著者:野口 悠紀雄
出版社:ビジネス社
発行日:2022年10月1日

書籍の要約

  • 物価高騰の対策として緊急に必要なのは、円安を止めることである。だが、政府・日銀は円安を放置して、ガソリン価格に補助金を出すなど断片的な対策しか行っていない。

  • 円安を抑えるためには、日銀が進める「金融緩和」から脱却するしかない。金利の上昇を認め、現在0.25%を上限に抑え込んでいる長期金利を、市場の実勢に任せるべきだ。

  • 円安が進む今も、日銀は金利抑制に躍起になっている。それは金利を引き上げると、保有する国債の評価額が下落し、日銀が債務超過に陥り、信頼を損なうからだ。2017年5月、黒田日銀総裁が、衆議院財務金融委員会で「長期金利が1%上昇した場合、日銀が保有する国債の評価損は23兆円程度」と答弁している。21年度末の日銀の純資産は4.7兆円である。

感想

要約部分の感想

円高になれば円高が悪い、円安になれば円安が悪いと、ニュースも書籍も他のメディアも口々に言います(笑)。間に適温が存在するのでしょうが、適温のときに「今、適温です」と発信してくれないのが残念です。

思考停止してしまうと、単に流されるだけになってしまいます。

いいところに流れ着いてくれたらいいのですが、そううまくいくことばかりではないはずなので、考察してみたいと思います(感想の間違いかな?)。

書籍の勧めているように、日本国債の長期金利が年初の0.25%から、2023年の9月現在、0.70%近くにまで上昇しています。

書籍のサブタイトルにあることが現実化してしまいました。

(こんなふうに書くと悪いことが現実化してしまった感じもあるかもしれませんが、そのつもりはないです)

日本国債の長期金利が0.70%近くにまで上昇したことで、ドル円のレートが1ドル=147円から1ドル=146.5円にまで円高になりました。

直前の日本国債の長期金利が0.50%ぐらいだったでしょうから、0.20%の上昇で0.5円の円高を見込める感じでしょうか。

ちょっとインパクトに欠けますねというのが正直なところです。

ただ、日銀は、自分に不利なることを許容し始めました。狙いはどこにあるのでしょうか?と疑問を持ちます。

中央銀行の使命は、物価と雇用の安定にあると見聞きします。

今は、物価が高騰して、物価が安定していないから日銀も手当てを急いでいるのでしょうか。

あと、金利が上がると、金融機関は儲かりますね。

円安が賃金上昇につながらない説に対する感想

円安が賃金上昇につながらない説については、下記の説明があります。
物価上昇の原因が、円安であることは説明を要しないだろう。次に、賃金と円安をどうつなぐべきなのだろうか。円安は、輸出企業の収益を押し上げる。収益が増えれば、賃金は上昇すると考えることもできる。しかし、実際、為替レートの変動で企業収益が増えたとき、企業経営者はそれを肯定的に説明しないことが多い。保有外貨の換算額が増えたとか、一時的な利益とみなす。または、円安メリットは、先行きで円高に振れればすぐに解消されるので、賃金を増やして円高になると困るという説明も聞く。要するに、円安の利益は、賃金に反映したくないのだ。円安で増えた利益は一時的だという考え方は、確かに一定の合理性がある。順を追って、このように説明すると、実質賃金がマイナスになる理由はクリヤーだろう。円安で物価は上がるが、賃金は上がらない。その結果、実質賃金は下がる。
円安メリットを過大評価する人は多いと思うが、賃金が増えないことをどう説明するのだろうか。仮に、円安で賃金が上がるとすれば、それは企業が輸出数量を通じて収益を増やしていき、その数量効果が賃金を増やすときだ。数量拡大は、人件費のような固定費の負担を軽減させる。しかし、輸出企業にとって、円安による数量効果が見込みづらいときは、賃金は増えにくい。円安による輸出数量の伸びが遅れるとすれば、円安による賃上げの作用も大きなタイムラグを伴うはずだ。そう考えると、円安のとき、実質賃金が上がるとしても、それは随分と先のことになる。以上の説明が、「円安は実質賃金を下げる」というロジックになる。

なぜ、実質賃金はマイナスなのか? ~円安では豊かになりにくい~ | 熊野 英生 | 第一生命経済研究所 (dlri.co.jp)

確かに数量が増えなければ、輸出企業にとっては賃上げをする理由がないということになります。

ただ、輸出企業だけが国内にあるわけではない、輸入企業があり、輸入品の販売で国内での売り上げが半分以上ある企業はたくさんある。スーパーマーケットなどはその典型例だと思われます。

現在、食品の値段が高騰しているが、為替レートの変動で収益が伸びているから賃上げしないとなると、この企業から離れる人が多くなるように思います。

やっぱり、為替レートの変動で収益が伸びていようが、賃上げするのではないだろうか。

販売の数量が伸びるのを待つことなく、実質賃金も上がりそうです。

円安が賃金上昇につながる説に対する感想


外国は、円安により、日本から製品を安く買うことができるが、他にも競合となる国があるだろうから一筋縄にはいかないように思います。

ただ、現在、食品の値段が高騰して、実質賃金の伸びが必要になってきているから、食品に限らずいろいろなものの値段が上がっていくように思われます。

ただこれは、コストプッシュインフレと呼ばれるものだから、生活が楽になったと感じるような賃上げにはならないだろうなとも思います。

一方、引用した部分にあるように、販売数量が増えての賃上げでないと、生活が楽になったとは思えないではないかと思います。

まとめ

書籍の勧めているように、日本国債の長期金利が年初の0.25%から、2023年の9月現在、0.70%近くにまで上昇しています。

書籍のサブタイトルにあることが現実化してしまいました。


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