一人から始まる
灰色の空でも新雪は白くて
躓かないように歩く雪の参道
石灯籠の後ろに散らばる赤い点
あれは南天の実か
着膨れの初詣
黒タイツの脚だけが細い
誰にも気兼ねのいらない格好で
いつでも鼻水をグスンとすすれる
一人がいい
一人が一番楽
二礼二拍手一礼
おみくじに良縁ありの文字
気付けば願いを込めて結んでいる
この気変わりの早さよ
お正月は白と赤でできている
破魔矢を買ったあと
巫女さんの白い着物と
緋色の袴にしばし見惚れる
弾むように歩く帰り道
一人だから雪道でスキップもできる
鳥居をバックに自撮りもできる
足元は写さない
着膨れだから
寒空よ泣くな
背筋を伸ばせ自分
一人から始まる今年が
順調ならいい
すべてが順調なら
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