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夜の散歩。

いつも決まって行きたくなる、そんな「場所」がある。

白い光が、真珠のネックレスの様に均等な幅で並んでいる。光の近くに寄って電灯を見ると、蛾達がパタパタと飛んでいた。

光はどこまでも、てんてんと続いている。

なにかが、手持ち花火の様に光を伸ばしながら目の前を走っていった。

夜は、最初は良く見えないけど、だんだんと目が慣れて正体が明らかになっていく所が好きだ。

視界が開けて来て、野球場の強い光が水辺にギラギラと伸びてチカチカと弾けている。

色んな「速度」が混在しているんだなあ。

車の速さ、人間の歩くスピード、風でゆれる葉の動き、虫の声の四拍子、川の流れる速度。

絵を描く時も、筆の速さが短調にならない様に「描きわけ」をしているけど。
物の大きさや色面でしか、着目して世界を見ていなかったのだなあと思った。

夜の静けさは、私の「感覚」を鋭くする。

日が落ちると、影がゆっくり世界を飲み込んでいく。

光って手につかめないくらい柔らかいんだなあ。

人間と抱きしめ合って、柔らかいなあ。あたたかいなあと思うあの感じに、光やひだまりは似ている気がする。

夜は、昼間より尖って私を冷静にさせてくれる感じがする。

いろんな音が、前から後ろへ余韻を残しながら去っていく。

リンリンリン。
ミンミンミン。
ジージージー。

制作に行き詰ったら、また来よう。
FIN

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