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臨月に無痛ムリと言われ通報した話

 タイトルを少し補足すると「無痛分娩を希望しており、妊娠初期から医師に相談し無痛分娩できると言われていたのに、臨月に入って『やっぱり無理です』と言われ、ブチギレかまして病院の医療安全推進部に通報した話」です。クレーマー妊婦、上等!
 
 まず結論。診療でおかしいと思ったら泣き寝入りせず医療安全推進部に連絡しましょう
 病院には必ず医療安全推進部(か、似たような名前の部署)が設置されています。産婦人科に限らず、何かおかしいと思ったら連絡してみてください。筆者は医療関係の仕事をしておりこのような部署があることを知っていましたが、一般の方は何かあってももやもやしたまま診療を受けているケースがあるだろうなと思いました。患者が医師から診療内容の説明を受け、同意のうえ診療を受けることは患者の権利です。医師からの説明が不十分だったり、100%同意できないまま診療を受けるケースが1例でも減りますように。

●前提

・無痛分娩を希望。理由は、痛い思いをしたくないから。また産後ワンオペの可能性が大きかったので身体の負担を最小限にしたいから。
・手術歴(脊柱側弯症の側弯矯正術)から麻酔が難しいとわかっており、妊娠初期から相談。
・産院は神奈川県の某総合病院。

●経緯

2021年12月 
 妊娠確定、近隣クリニックで診察
2022年1月29日(妊娠11週) 
 4月に転居予定で、転居先の近くで無痛分娩を行っている総合病院で初診、分娩予約
2022年3月29日(妊娠19週) 
 無痛分娩に関する説明、脊柱側弯症の手術歴について確認
2022年5月31日(妊娠28週) 
 レントゲン撮影
2022年6月11日(妊娠30週) 
 診察にてレントゲンの結果について質問、おそらく無痛分娩できるのではとのコメント
2022年7月25日(妊娠36週) 
 医師から、麻酔科のコメントとして無痛分娩できるのではとのコメント、帝王切開の場合は全身麻酔になる旨説明
2022年7月28日(妊娠36週) 
 医師から電話があり、整形外科のコメントとして無痛分娩は避けた方がよいとのコメント、自然分娩か帝王切開となる旨説明、和痛分娩も可能だがあまり効果がない旨説明
2022年7月29日(妊娠37週)
 医療安全推進部に通報

●4つのおかしい点

①診療科連携ができていなかった
 筆者が受診していたのは産婦人科で、麻酔科と連携することは事前に伝えられていました。でも整形外科へ照会することは7月28日の電話まで伝えられず、いきなり電話口で「整形外科」のワードが出てビックリ。
 筆者の手術歴から整形外科への照会が必要であることは早期に気付き、対応できたはずなのに、出産直前まで照会されませんでした。

②レントゲン検査の説明がなかった
 5月31日に無痛分娩できるか判断するためのレントゲンを撮影したのに、その後の診察で筆者から質問しても、きちんとした説明がありませんでした。血液検査などの結果は都度詳細に説明されるのに、おかしいなという違和感がありました。
 結局、医療安全推進部に通報後、麻酔科医との面談が設定され、その場で説明ができていなかった謝罪とともに、レントゲン結果の詳細が説明されました。

③意思決定プロセスが不明確だった
 通報後、産婦人科・麻酔科・整形外科は現場の医師ベースで無痛分娩可能と判断していたが、麻酔科の上級医(教授クラス)に相談していなかったこと、また麻酔科医が脊柱側弯症の手術経験の多いベテラン整形外科医に個別に相談しストップがかかったことが明らかになりました。
 企業で働いている身からすると、自身のチームで取り組んだことのない案件を受注するときに部長に相談しないことはあり得ません。企業で当然の意思決定プロセスがこの病院では機能していなかったようです。

④副作用の説明がされていなかった
 通報後、麻酔科長から直接、側弯矯正術の手術済の患者に硬膜外麻酔を打った場合の副作用について詳細に説明がありました。でもこの内容は通常の診療で聞いておくべき内容だったはず。なのになぜ今になったのか質問すると、衝撃の回答が。
 「妊婦さんの場合は過度に不安にさせることのないよう、副作用やリスクについて全部伝えないこともあります
 いやいやいやいや、それはアカンやろ。がん患者に告知しないのと一緒では? 前時代的すぎて驚愕。 

●実際に通報してみて

精神的にめちゃくちゃ疲れました。この産婦はちょっとやばいかもと気付いても、医師が電話してくることなくしれーっと無痛分娩で出産できていた方が、たとえ副作用が出たとしても精神的に楽だったと思います。自分が望んで無痛分娩を選んだんだから文句は言えない。
 ただ、電話してこられた以上仕方ない。同じ境遇の妊婦さんがいたとすると、十中八九泣き寝入りすると思います。臨月に入りいつ生まれてもおかしくない状況で病院と戦うのはしんどすぎる。だから、よく頑張ったな私……。と我ながら思います。

 通報してみて、インフォームドコンセントや診療科連携など、当たり前にできているはずのことができていないこともあるとわかりました。産婦人科に限らず、納得できないまま診療を受ける患者が1人でも減りますように。
 最後に結論を再掲します。診療でおかしいと思ったら泣き寝入りせず医療安全推進部に連絡しましょう。


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 暗い話はこれで終わりで、今後はポジティブな記事を書いていく予定なのでまた読んでいただけると嬉しいです!



《終わり》

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