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反応1は10,000の声  日本の派遣、時給低すぎですよ、といってみた


日本の働き手は貧しくなった。そんな中、コロナ禍で真っ先に雇い止めされたのは派遣だった。

今日はその派遣について少し考えてみたい。


派遣とは本来スペシャリスト

日本には特定派遣一般派遣の2種類の派遣がある。特定派遣は戦後まもなく日本の人手不足の頃に始まり、正社員として雇用されたうえで派遣される働き方。

ここでわたしがお話ししたいのは一般派遣の方。つまり非正規として企業へ派遣される働き手。

日本の派遣は特殊だ。働き手が実に不利な状況に立たされている。けれどこの国では、誰もそんなことに関心がない。

「じゃあ、他の働き方選べばいいじゃん」
「働き方なんていくらでもあるんだからさ」

ってなことになり、話にならない。

けれどそれは使う側のいい分なのだ。

働き方とはそんな乱暴な考え方で終わらせてはいけない。

働く人は時間とスキルとを引き換えに企業からその対価をもらう。だから働き手が一方的に不利になってはならない。これは個人と企業の取引なのだから。

ただ国内の話ばかりしていても、なかなかピンとこない。

ということで、現在イギリスやオーストラリアで生活されている方に直接お尋ねしてみた。

それがこちらの記事。

そこで、

「派遣の賃金って高いですか?」

と尋ねてみたのだ。

答えはYESだった。

欧米もオーストラリアも派遣とは、産休や病休で休む人のかわりで働く人や、プロジェクトに呼ばれる人

会社都合で急ぎ人が欲しい、即座に職場で働ける人がほしい。つまりスキルの高い人でなければその埋め合わせはつとまらないのだ。そんな人を企業は求めている。緊急事態なのだ。

よって派遣の時給は社員より高い。これが欧米の派遣の常識だ。


なぜ同一労働同一賃金なのか

そもそも欧米には、労働市場に凹みがあってはならないという考えがある。だからこそ同一労働同一賃金という発想になる。

そこには理由がある。

たとえば女は低賃金でいいだろうと決める。すると労働市場に一か所、女専用の凹みが生まれる。これがいけない。どうしてかといえば、その凹みに男も引きずり込まれるから。

使い手側から考えるなら、安く使える労働者なら男でも女でもかまわない。同じスキルで安ければ女を選ぶ。それが会社の利益になるというもの。

だからこそ、同じ職務であれば女も賃金を同じにしなければ肝心の男を守れない。男が女の賃金に引きずられて行くから。そう、欧米では早くにそのことに男たちが気づいた。

だから労働市場に凹みは作らない。

けれど日本ではどうだろう。

派遣の時給は凹みだ

もちろん女性の賃金も凹みなのだけれど

そう、この国は凹みだらけなのだ。だから男たちさえも稼げなくなった。


派遣に必要なもの

日本の派遣の多くはバイトほどの時給で働かされる。しかも短期で、その先契約が続くかわからない。実に不安定でストレスの高い働き方だ。

日本の派遣は欧米とは違う。

派遣の働き方を、会社に縛られずに自由に働けるとはよくいわれるけれど、それができるのは社員以上の賃金をもらえる欧米だけだ。日本の場合、これでは働いていても不安で仕方ない。バイト感覚のリッチな人には都合のいい働き方だけれど。

とにかく欧米の派遣はスペシャリストであるがゆえに賃金が高い。貯蓄ができるため、たとえ雇い止めがあってもしばらく暮らしていける。だからこそ、スキルを磨いて派遣で働き、自由を手にしたいという人がいるのだ。

けれど、日本の派遣はたとえ欧米と同じようにスキルを提供しても、社員になれない人、社員以下の人という身分のような立場に置かれる。

これはフェアではない。

日本の派遣も欧米の派遣のようにあるべきだ。

アルバイトと変わらぬ時給では、労働者としての権利が奪われている。保証もなく企業を渡り歩く働き方は働き手として余りに厳しい。働き手が守られていない。



社員の時給と派遣の時給

そこで厚生労働省の「賃金構造基本統計調査」でみてみる。

色々と開きがあるのが気になるけれど、たとえば

男性の場合、大企業の平均賃金は時給で、2,337円。
女性の場合、大企業の平均賃金は時給で、1,775円。

それから日本の勤め人の平均賃金は、

男性、2,040円。
女性、1,594円。

日本企業は生活賃金だ。これ以外に手当などが付く。

そこで派遣の募集で時給をみてみると、今でも1,100円代からの募集がある。これで暮らしていけるわけがない。しかも募集の大半が平均賃金以下なのだ。

欧米では派遣は手厚く保護され、キャリアを持つ人として好待遇で迎えられる。

けれど日本では派遣の時給はアルバイトと変わらぬ低さだ。ちなみに1,100円代は女性の中小企業で働く非正規労働者の賃金だ。

現在は人手不足で時給も上昇してきているけれど、それでも日本の派遣は働き手が不利な立場に立たされている。


おわりに

働き手を守ろうとしない社会。どれほどの派遣労働者がコロナ禍で職を失ったことか。そしてなぜ女性がこれほど貧しくなってしまったのか真剣に考える必要がある(女性に特化して書いています)。

こんな働き方が続く限り、日本の女性はもう子どもなんて産めない。子どもがリスクにしか思えなくなる。子どもを持つシングルマザーが貧しいというのは、社会が貧しいということ。

こうした話しをスタエフやnoteに書いたことで、幾つものメッセージが届いた。わたしは常々こうした内容に一人でも共感して下さると、その人の背後には1万人の同じ声が隠れていると思っている。

日本の派遣は便利な労働者として使われてきた。

けれど、これはおかしい。

誰も言ってくれない、ではない。一番損している当事者が言うしかないのだ。


次回は派遣と法律についても少し。


※最後までお読みいただきありがとうございました。


※スタエフでもお話ししています。


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