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異国で暮らす人との会話で浮かび上がる働き方の違い


きょうはオーストラリアのアデレート在住の綠野カエルさんとスタエフでお話しさせて頂いた。


自分の居場所を捜した

綠野カエルさんは美容師さん。しかも同級生。

彼女は1990年代にお子さんを連れて家族でオーストラリアへ移住された。理由は日本の働き方に疑問を持たれたから。これは凄い。あの時代にそれをされたのだ。同じ時代を生きたわたしとしてはただ驚くばかり。

彼女は、長時間労働が当たり前の国では家族らしく暮らすことはできないとなやみ、そして動かれたのだ。 

2ヵ国、4カ所を家族とご覧になり、最終的にオーストラリアのアデレートに落ち着かれた。緑が濃くビーチも山も近い、一目で家族も気に入ったという。

それほど真剣に生き方や働き方について考えられた方なのだ。


働く側の権利

日本の美容師資格はオーストラリアでも通用するという。彼女は移住された年に美容室をオープンさせ、従業員を2名雇われている。ところがこれが実に大変だったそうだ。

オーストラリアでは規模に関わらず、使用者側は同じ条件で人を雇う義務がある。日本では、小規模経営者を保護する税制度があったりするけれど、全く一緒だという。

雇う側になってみて、彼女が驚かれたのは従業員の守られようだった。

たとえば企業は有給時には1.2倍の給料を支払うという。これは驚きだ!

それから勤続7年目以降従業員はいろなスタイルの長期休暇がとれる。たとえば勤続10年目には3か月の休みが取れて全額給料が支払われる。半年休むのなら給料は半額になる。

人を雇う側がその待遇を保証するということ。人を雇うという事はその人の人生にも責任を持つことになると彼女は実感されたという。


サービス

そんな中で、彼女は、日本は遊びに行くにはいいけれど、働くのは嫌だなとおっしゃる。サービスが過剰なのだ。受ける方はともかく、働く側にもそれが求められる。そんな働き方が自分には向いていないとおっしゃるのだ。

これはよく分かる。たとえば日本で特急電に乗ると出発後5分ほどアナウンスが鳴り響き、停車ごとにそれが延々と続く。本を読むぞと思っている時などは泣きたくなる。

海外ではそれはない。本当にこの電車は目的地に着くのだろうかと心配になるほど素っ気ない。ましてや白線の内側にお立ち下さいなどのアナウンス音はない。

わたしも過剰なサービスが苦手だ。そのサービスは時に受け手側には苦痛だ。もちろん、それをさせられている従業員も大変だ。

オーストラリアではたとえBtoCでも対等だといわれる。たとえば美容師さんであれば、技術を提供している側なのだからそれに見合う料金を支払ってねという感じ。客とサービスを提供する側が対等な社会なのだ。

派遣と賃金

そして、今回派遣で聞いてみたいことがあった。なぜなら、日本の派遣が特殊だからだ。

けれどこれは特殊なんですよと口にすると、日本では不可解な顔をされる。

そこで聞いてみた。オーストラリアの派遣の賃金って高いですかと。

答えはYES。

そうなのだ。欧州も同じだ。

派遣は短期で働く特殊な働き方だ。日本でも派遣がスペシャリスト枠の働き方だった時代があった。それが今ではどんな職種にも適応される。

欧米もオーストラリアも、派遣は産休や病休で休む人のかわりや、プロジェクトに呼ばれる人なのだ。よって高給取り。彼女はオーストラリアの場合、派遣の時給は社員より高いといわれる。驚かれる方もいるだろう。


派遣に必要なもの

気になるのはここなのだ。日本の派遣はバイトのようだ。

これは社員として雇われている派遣社員のことではなく、登録して企業に派遣されて働く人。そうした人は3か月で働く場をを失うかもしれない。実に不安定な働き方なのだ。

こうした派遣に最も必要なのは社員と同等、もしくはそれ以上の賃金に決まっている。不安定な雇用形態なのだから。会社都合で雇われるのだから。ブランクに備えて貯蓄だってしなきゃならない。だから低賃金ではダメなのだ。

けれど日本で派遣というと社員になれない人、社員の下の位置づけの人というイメージが強い。ここが変なのだ。

派遣が短期契約なのであれば、給与で守らなければこれほど不安定な働き方はない。つまり日本の派遣の多くが働き手として守られていないということになる。


おわりに

海外で働く人のお話しを聞かせて頂くと目が覚める。もちろんこうした働き方の見方には注意点もある。たとえば欧州やオーストラリアなどは大きな政府で国民を手厚く保護する。けれど米国は小さな政府で、自分のことは自分でやるスタイル。

それにしても日本の派遣は問題だ。かつて年越し派遣村などがあり社会問題になったけれど、今も労働者である個人がむき出しのまま社会にさらされる。女性の働き方という視点から、今後、この派遣と時給の問題についても書いてみたいと思っている。

綠野カエルさん、ありがとうございました。


つづく

※最後までお読みいただきありがとうございました。

※スタエフでもお話ししています。



こんなお知らせが届きました。いつもありがとうございます😊

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