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【読書感想】自分らしく生きるとは。働く女性のライフコースで思うこと。


働く女性のライフコースで大切なものって何だろう。結婚するなら勿論夫選びは大切だ。そして子供がうまれたら…。

今日は、働く女性を支える親御さんが書かれた一冊の本について、印象に残ったことをお話ししたい。



新世代の祖母たち

『子や孫にしばられない生き方』という本を読んだ。そこには娘さんの双子の出産を機に、同居生活をはじめられた自立する大人の女性の言葉が並んでいた。

そこから筆者を表す言葉を探すならきっとこれだと思う。その方は、

子どもがいる家族が暮らす家に食料が尽き、ここに食パン1枚しかありません。皆、お腹を空かせています。

とした上で、その食パンをどうやって家族で分け、食べますか?と問われている。その答えは、

「私がぜ~んぶ食べます!そしてエネルギーを満タンにして外に出て、もっとたくさんの食パンを手に入れてくる!」その方がずっと合理的でしょ?

と書かれている。

その本の帯には、「新世代の祖母たちが登場した!」とある!



世界の祖母たち

他の先進国に比べて日本の働く女性は大変だ。出産後収入が著しく下がり、その後もなかなか回復しない。だから出産がペナルティのようだといわれる。実際、

出産1年前の収入を基準とすると、出産1年後は67.8%も減る。

日本経済新聞20220919「出産・子育て「不利」にしない


だからこそ、働き続けたい女性は夫選びが大切になるのだけれど、この国は今も長時間労働社会。

そんな家族を支えようと1994年にファミリーサポートセンターができたけれど、それでも誰かのサポートが必要になる時がある。

そんな時一番の頼りが祖母だろう。

核家族の先進諸国でも、女性が働き続けていくために祖母を頼ることが普通に起こる。ただ小守役として期待される祖母の心境は複雑で、

スペインでは「ばあちゃん奴隷」ということばが生まれ…孫のお守で自由がきかず動きが取れない祖母の悲鳴が聞こえてくる…

『祖母力』樋口恵子2006新水社

とある。

そんな中、日本では祖母たちが孫育てに余念がないらしい。


ところがこの『子や孫にしばられない生き方』の筆者は少し違う。たとえ同居して孫育てを手伝っても、互いが自立して暮らすことが必要だし、それは可能であるといわれている。

わたしも現在働く娘と同居しているが、同居していても互いが自立して暮らすことはできると思う。だから同居=パラサイトではないと思っている。


けれど、わたしにはまだ孫はいない。


自立とは

筆者は一つ屋根の下で互いが自立して孫育てに関わる秘訣を書かれたが、その中から印象に残る事柄を3つあげてみたい。

①お金

二世帯住宅で暮らされる筆者は、食費や光熱費などはフィフティ・フィフティの明朗会計。ポイントは①少しでも気になることがあればすぐに言う、②世帯間での高額なお金の貸し借りは公的書類にして残すと実にクリアだ。

わたしも言いにくいことほど先に言う。同居する働く娘には毎月家賃相場の費用を家に入れてもらい、遅れて加わった母にも同じ額をお願いした。お金をタブー視する人が多いこの国では実は金銭トラブルが少なくない。親子であっても貸し借りが発生した場合、それを公的書類にするというのは、トラブルを未然に防ぐためにもいい方法だと思う。

②気になることは言葉にする

筆者は互いにストレスを溜めないために、困りごとや不満は率直に語り合うのがいいといわれる。子どもには孫の世話をしてもらったら親に常に感謝やねぎらいの言葉がほしいといわれる。そして2世帯で暮らすのであれば、経験豊かな親側が自分のプライベートな空間や時間を守るためにリードしていくことが大切だといわれる。

ただ、この言葉というのは意外に難しい。わたしはこれでしくじったばかり。実は数ヶ月前娘の人生を誘導していると娘にいわれて酷く驚いた。原因はわたしの言葉不足だった。

わたしはその誘導という意味がずっと気になっていた。いったい何を誘導したのかと。それを先日尋ねてみた。すると思わぬ言葉が返ってきた。わたしが彼女の結婚を快く思っていないというのだ。確かに率直に話す我が家で、彼女の結婚だけは触れたことがない。それは彼女の問題なので立ち入らない方がいいだろうという遠慮がわたしと夫にあった。それが娘にとっては不可解だったようで、そこからわたしと娘の関係はこじれにこじれた。たとえ遠慮で言葉にしなくても、そうしたことが誤解をうむことがある。そんなことを思い知ったばかりだった。


③母の心

この国では専業主婦の母を尊敬する女性が多い。ゆえに働く女性は子どもを自分の母のように育てられるだろうかと悩む。

筆者は、お母様のことを夫に従順で子どもを育て上げることに自分の人生を捧げた女性といわれる。けれど、常に本当は何かやりたいことがあったのではとお母様ご自身の人生に思いを馳せられてこられた。本当はもっとやりたいことがあったのではと。それは、自立した女性が同性を思う心だと思う。専業主婦であっても、親にも親の人生があったはずだと。

そしてわたしは、若い女性たちが筆者と同じような思いを持ったならと思う。そうすることで、母が一人の女性として見えてくる。

そう、母にも母の人生がある



おわりに

これは30代や40代の女性が書かれた本ではない。3世代の長である大人の女性が書かれた本だ。

自分らしく生きるとは言うほど簡単ではない。筆者は家族だからこそ、相手への思いやりや感謝の気持ちが大切だといわれる。そして慌ただしい暮らしをコントロールするヒントはこんなにもありますよとも書かれている。

働く女性のライフコースは受け身では事は決して思い通りには動かない、そんなことを考えさせられる一冊だった。



参考図書・新聞

『子や孫にしばられない生き方』オフィスカワムラ代表河村都 2017 SNC

『祖母力』樋口恵子2006新水社

日本経済新聞「出産・子育て「不利」にしない」 20220919


※最後までお読みいただきありがとうございました。


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