「人的資本を開示せよ」でみえる女性の状況 #男女間賃金格差 #有価証券報告書
先のnoteに、日本女性も一度会社を辞めて主婦になっても、また一労働者として復帰できるようになるといいな、と書いた。
そうしたら3人の娘さんをもつごきげんママさんが、
とコメントをくださった。
出産がペナルティになる国
日本では正社員として働いていても女性の多くが出産で会社を去る。
2010~2014年の「出生動向基本調査」では半数以上の女性が妊娠や出産で退職している。
そして2021年の「人口動態統計」では、第1子出生時の母親の平均年齢は30.9歳。女性が生涯に産む子どもの数は1.30と6年連続で減少中。働き続ける女性に子どもを産まない選択をする人が多いということだろう。
これでは女性にとって社会は少しも優しくなっていない。
今の若い女性は働きやすくなっていて羨ましいなんて思う人もいるかもしれないけれど、これが日本の現実。だからこそ女性がもっと柔軟に働けるようになるといいと思う。
たとえ数年を子育てにシフトしてもまた一労働者として復帰できる社会、それが普通になってほしい。でなければ働き続けたい女性にとって出産はペナルティでしかない。
北欧などでは、働く女性、つまり経済的に自立した女性ほど子どもをもつ確率が高い傾向がみられる。それに女性が労働市場に参入する国ほど出生率も高い。出産は決してペナルティとイコールではない。
日本が変わる?
ところが、この決してかわろうとしない日本の働き方に今少しだけ変化が起ころうとしている。それが岸田政権のいう「新しい資本主義」だ。
その柱の一つが「人への投資」。
ここで政府は経営情報の開示を求めている。
まず、厚生労働省が女性活躍推進法として常用労働者301人以上の大企業に「男女の賃金の差異」の情報公表を義務化した。
と同時に、金融庁の改正案では「サステナビリティに関する企業の取組みの開示」のために、人的資本、多様性に関する開示が求められている。
具体的には「女性管理職比率」、「男性の育児休業取得率」及び「男女間賃金格差」を開示することが求められている。
開示する場は有価証券報告書等。
有価証券報告書等
政府が企業に求める経営情報開示は国内外の投資家向けのもの。
東証は一部・二部から、コーポレートガバナンスコードに従いプライム・スタンダード市場へと変わった。
これにより株式市場は透明性の高い企業価値の判断できる市場へと変わった。その目的は、国内外の投資家へ日本株、いやいや日本企業をアピールすること。
そしてさらに一歩進んで、有価証券報告書に記載する項目が追加された。
もちろん厚労省でも義務化にはなってはいる。
けれどご存じのように、この有価証券報告書の罰則はなかなか厳しい。金商法下の報告書。虚偽の記載は赦されない。逮捕されてしまう。
おわりに
以前、日本の企業と欧米の企業のルールは入り口が完全に異なると書いた。
ところが政府主導の有価証券報告書への「男女間賃金格差」の指標を記載するのは従来の日本企業のやり方とは異なる。日本には日本の法律があり、これまではそうした内容は伏せても何ら問題がなかった。ところがそれを有価証券報告書へ書けというのだから面白い。
だからここからの変化が楽しみなのだ。
これまで様々な制度が新しく誕生したけれど社会構造そのものは変わってはいない。けれど政府の求めるこうした開示はこれまでと少し違う。だからこそ当事者であるわたしたち女性はこのことについてよくよく考えたいと思っているのだ。
次回につづく。
※最後までお読みいただきありがとうございました。
※スタエフでもお話ししています。
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