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【返信】働き続ける・専業主婦、どちらも窮屈。だから出入り自由がいい。


昨日かおるこさんから、もしも結婚する以前にもどれたならあなたはどんなふうに生きますか?という質問を頂いた。彼女はnoteとスタエフ友であり、アラサーで働く女性。

タイトルを見て驚いた。タイトルは「umiさんへ もし違う生き方をしている自分になったら…」だった。なんと。これがSNSの面白さだ。

それならばお応えしなければと思った。


主婦のリアルは辛い

仕事が辛いから主婦になりたいという若い女性が今も多い。けれど主婦はなかなか大変な生き方だと思う。そして実際にわたしはそんな記事を書いている。

主婦はこの国では、最後に年金に加えてもらえた大人である。そして最低賃金枠で働く人でもある。

そして誰も語らないけれど、実はこの年金最低賃金のパート枠が昭和に創り出された主婦問題なのだ。

ところが、ところがである。今では年金のみが問題視され、薄給の主婦に誰もが平気で厚生年金と健康保険を納めてね、という。

それでは主婦はくたくたなのだ。


で、わたしはといえば主婦として生きてきた。ただ30代では悩み続け、30代後半からは社会復帰後の低賃金に打ちのめされた。

だから、女の子には苦労させたくないなんてことを考えている親は、ゆくゆくは娘を苦しめることになるのだと思う。

自分に合わない環境から出たくても、女の子として大切に育てられると自分の力ではそこから抜け出せなくなる。そして優しかったはずの親は、主婦になった娘に向かって我慢しなさいとしか言わなくなるのだ。

だから女子だって自分を支える収入が必要だと思っている。そのことが人としての尊厳を保つことになるのだから。そう、離婚だって視野に入れて人生を考えられるのだ。


なぜ辛かったの?

かおるこさんはあなたにとって何が問題だったの?と問われた。

今のわたしたち夫婦をご存知の方からは想像できないと思われるけれど、それでもあの頃のわたしの悩みはそれはそれは深かった。その悩みは誰とも共有などできなかった。家庭も夫婦もそれぞれで、誰一人として同じ環境の人はいない。

30代、夫のわたしへの関心は薄れ、互いの信頼は貯金が目減するように瞬く間に消えていった。稼ぐ側の夫の行動範囲は広く、彼の関心は未知の世界へと向いていた。ところがわたしの口からでてくるのはご近所や友達や子どもの話ばかり。わたしにとって深刻な問題は彼にとって些末で興味のわかないない話しばかり。そんなことがわかればわかるほど、わたしの心は冷めていった。やがて少し大きな買い物のたび夫に了解をとりつけることにも嫌気がさしてきた。

そんな日々を経て、ようやくわたしはだれかに食べさせてもらうのが本当に苦手なんだということに気づいた。信頼が薄れた二人。片方が稼ぎ、もう片方が家にいるという関係は思うよりずっとしんどかった。



あなただったらどうするの?

かおるこさんはアラサーで仕事がしんどいから家に入りたいという女性の気持ちもわからなくはないし、自分も少しだけ会社から離れたいと思うことがあるといわれる。

そしてもしあなたが結婚前のあなたに戻れたら、あなたはどう思うのだろう?と問われた。

わたしもきっと同じだと思う。

働き続けることはしんどい。だからたとえ専業主婦という生き方がしんどいと分かっていても仕事を辞めて専業主婦になりたいと思うことがあるだろう。

だからわたしはこの書きはじめたのだ。

日本の女性が気楽に仕事を辞められない理由を。日本の女性が気楽に主婦になれない理由を。日本の主婦が気楽に元のキャリアに戻れないことを。

そう、この国の女性の最大の問題は労働市場への出入りが厳しく制限されていることなのだ。

それは入社にはじまり、転職でも同じ。どれも気軽に選べない。この国では一つの決断が人生を変えてしまうほど大きな問題になる。

欧米の女性に体力があって、日本女性の体力が劣るわけではない。彼女たちが働き続けられるのは制度が整っているからだ。彼らは労働市場と家庭を自由に行ったり来たりできる。それはその人にとっても会社にとっても社会にとってもいいことなのだ。

人はたくさんの異なる経験をすることで豊かになり賢くなっていく。どの経験も次の仕事に役立つ。そして個に見える欧米は実は家族をとても大切に育てる社会だ。そこが実は個人を支える強い基盤になる。この国ではその個を支える基盤をつくりだす環境が脆弱になりすぎた。

出入り自由、たったそれだけのことなのに、それが出来ないこの国にはあまりに問題が多すぎる。出入りが厳しく制限された状態で、その周りの制度ばかりが付け足されていく。それじゃ駄目なのだ。世の大勢は変わったようでもそれでは変わりようがない。だから今でも女性たちは一つ判断を間違うとたくさんのものを失ってしまう。そんな問題に女性たちは直面し続けている。だから女性は少しも冒険できない。


おわりに

ずっと働き続けるのはしんどい、出産後は暫くは子どもと過ごしたい、そんな考えは決して甘えた考えではない。働き続けることも、子どもを育てることも大変なことだ。

一時は子どもと過ごしたいという考えが甘いと決めつけるのは人情の薄い社会だ。欧米では女性が普通にそれを選べる。出入りのできる社会、たとえ出産しても転職が気軽にできる社会、そんな社会であれば女性の悩みはもっと少ないだろう。そしてもっと子どもだって育てやすい。

わたしはその不自由な出入り問題についてこれからじっくりとお話ししていきたいと思っている。待っていてもこの大勢は変わらない。だから苦しい。

考えなければならないのは当事者だと思っている。


※最後までお読みいただきありがとうございました。


※スタエフでもお話ししています。

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