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娘には苦労させたくないと思う親を持つ女の子は運が悪い


30代は苦しかった。自分の心にひたすら向き合い続けた。それがわたしの30代。

40代から考えはじめた。何かにぶつかるたび立ち止まりその理由を考え続けた。そんな風にしか生きられなかった。



心理学

その30代、自分の中の闇から抜け出すために手を貸してくれたのが心理学だった。心理学はわたしの手を取り、夫とわたしの周りを歩き、大人のわたしをみせてくれ、それから幼ない日のわたしのいる風景へとわたしを連れて行ってくれた。


そこには膝を抱えて泣いている幼い日のわたしがいた。


それから心理学は幾度もわたしを彼女の傍まで連れていってくれた。


やがてわたしは彼女に声をかけた。そしてうつむくその子の背中に手を置きそっと抱き寄せた。

戸惑いながらもしっかりと抱きしめると、どちらからともなく声がもれた。やがて二人は泣きだした。大人と子どものわたしたち。二人はいつまでも声をあげて泣き続けた。

その日から、わたしはあの子に会っていない。



実学

そして40代。そこからわたしはまた新たな闇へと迷い込んだ。

そこからは自分の外側が気になりはじめた。

あの子と泣いた日以来、内側の闇は消えた。だからその新たな闇は外側に広がる闇だと気づいていた。

そんな頃出会ったのが社会学実学。


会社を経営される女性の本に出合ったのは今から21年前のこと。

その方がこんなことを書かれている。

仕事はお金のためだけではなく、人間としての尊厳を守るために必要なこと
『前田義子の強運に生きるワザ』2001 前田義子 小学館

と。さらに、

自分の足で立つということで、人間としての尊厳を保てるのです

と書かれている。



考え続ける

30代で幼き日の自分と出会った。そこでわかったことは、だれかに食べさせてもらう生き方は自分には合わないということ。

そんな頃から、自分のために生きたいと思うようになった。

それでも経済的に一人で立つことは困難で、わたしは夫に食べさせてもらわなければ生きていけなかった。それが40代の働くわたしの日常だった。

わたしは自分を責め、一人前の大人として生きられない自分を責め、どんどん闇の中へと入っていった。

それでも、頭の隅の方で何かがおかしいとぼんやりと感じていた。



必要な収入

会社経営者であるその人の本には、

「自分が食べたいものを食べたいときに、だれにも遠慮することなく食べる」こと、そのためには、自分の収入がいるのだという認識を持っています
『前田義子の強運に生きるワザ』2001 前田義子 小学館

と書かれている。

ずっとぼんやりとしていた。なにを考えればいいのかわからなかった。

それでも自分の努力不足ばかりを責めていたわたしが、何かが違うと思うようになった。

わたしに無いのは自分を支える収入。働いても不確かな収入しか手に入らない。けれどそれはわたしの努力不足ではない、ようやくそんなことを思えるようになった。

自分の収入がいるというその言葉は、暗闇で初めて手にした確かな言葉だった。



女子枠を取り外す

筆者は、

特に女の子にとっては、「苦労させたくない」と思っている親を持つことは運の悪いことだと思うんです
『前田義子の強運に生きるワザ』2001 前田義子 小学館

といわれる。

40代になって闇の中に入り込んだわたしにはそれが分かる。

女の子は特別、それが巡り巡って女の子に苦労をさせる。わたしがいた家族は、地域は、会社は、社会は、そんなところだった。

良かれと思う親心が女の子に思わぬ苦労をさせる。

辛いことがあっても動けなくなる。

優しかったはずの親はやがて、我慢しなさい、皆そうしているのよ、外は危険、あなた一人では無理といいはじめる。

女の子だって自分を支える収入が必要、それが人としての尊厳を保つこと。そんなことが40代になってわかった。


おわりに

本棚の整理をしていて懐かしい一冊を手にした。線が引いてある。20数年前に引いた線、その線が今のわたしの活動の原点だとも思えた。そして、あの頃からずっと同じことを考え続けていたのだと可笑しかった。

わたしが求めているものは複雑なことではない。自分の足で立つ力を備えること。特に女の子は。それはきっとシンプルなこと。


参考図書

『前田義子の強運に生きるワザ』2001 前田義子 小学館


※最後までお読みいただきありがとうございました。



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