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ゲイはゲイだと明かさない

あなたの周りに「セクシャルマイノリティ(LGBT)の知り合い」は居ますか?
私はゲイなのですが、同じようなセクシャルマイノリティの集まりで知り合った方以外には1人も居ません。

恐らくですが、私と同じように「自分の近くにはLGBTは居ない」という人がほとんどでしょう。
実際のところ、あくまで”マイノリティ”ですので、確かに絶対数は少ないです。

ですがそれ以上に「周りにLGBTを明かすメリットよりデメリットが多い」「LGBTを明かす理由がない」といった理由で、
LGBTを隠している人が多いというのが大きな理由だと考えています。

ゲイをカミングアウトするデメリットは?

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※ここからはあくまで私の場合です。ゲイの方が全員同じという訳ではないのでご了承くださいませ。

私も基本的にはゲイであることは明かして居ない。
職場でも、どうしても言わざるを得ない状況に追い詰められた2人以外は隠し通している(明かした2人にも「絶対に秘密にしてくれ」と伝えている)。

まず私のプロフィールを書き連ねようと思います。

・20代会社員
・身体は男性
・性自認、言葉遣い、服装全て男
・一人称は「俺」、職場では「僕」
・恋愛対象は男性
・思春期の時点でなんとなく女性に興味がないことに気づいてはいたが、自らをゲイと認めたのは2~3年前のこと

上記を見て分かるように、「見た目も言葉遣いもただの男性」なのである。
未だに「彼女はいるの?」と聞かれることは多いし、口調が汚いと注意される場面も稀にある。

自分がゲイを明かした人にも、「ゲイだとは思わなかった」と言われている。(そもそもゲイかゲイでないかで違いなどないのだが)

なぜ自分が同性愛者であることを隠しているのか?
そこには3つの理由がある。

■ 自らがゲイであることを明かさない限り、周りと同じようにいられる
■ そもそも性的指向などは業務を行う上で全く関係がない
■ 女性として生きたい訳ではないので、生活に支障がない

まず上記のプロフィールの通り、「ゲイと言わなければストレートの男性に見える」のである。
今の時代、LGBTの知識が一般的に広まってきたとは言え、まだまだ偏見や間違った認識は多い。

例えば・・・
「ゲイの人は中身は女性で、女言葉を使い、女性になりたいと思っている」
「ゲイの人は男を襲いたいと思っている、自分も襲われるかもしれない」

確かにトランスジェンダーの方もいるし、ゲイの中には無理やり男性を襲うような頭のおかしい人もいるんだろう(悲しいけれど)。

このような認識はかなり多いと感じる。世間でいう「コッチ系の人」という感覚なのだろうか。(私はその表現にかなり不快感を抱いているのだが、それはまた別の話)

実際私もゲイを明かした時に、「辛かったよな、本当は中身は女性なんだろう?(ニュアンス)」と言われた次第である。

マジで「はあああああ!!!???」と思ったよ。本当に。
勿論、この間違いを正すために「自分は男だ」「別に無理をして生活している訳ではない」とはしっかり伝えました。

これを言われたのが直属の上司だったからまた悲しいこと。かなり関係性は構築していたと思ってたんだけれども。

確かにゲイを隠していて辛いことはある。
でもそれは『彼女作らないの?』とか『女の子紹介するよ』『合コンやろうよ』とかの話をはぐらかすのに困る、といった具合なので通常の生活に支障はないのである。

1点注意事項としては、この上司はむしろゲイを含むLGBTには寛容な人である。
「前の職場がアパレルだったから、ゲイの知り合いが数人いる」らしいので、”未知との遭遇”でなかったのが大きいのかもしれない。

しかしその”数人の知り合い”は女性言葉を使う方だったらしく、この勘違いも生まれたのだろう...と私は思う。

関わりが深い・自分と親しい人ですら、いちいち自分の性自認を説明をする必要があるのである。この認識を社内全体へ広めるというのは無理難題であるし、ゲイを含むLGBTに嫌悪感を抱いている人も一定数いるだろう。

そのような偏見を持たれる可能性を犯してまで、ゲイであることを公表しなくてはいけない理由などどこにもない。

変な噂が広まるのも怖いしね・・・


その上、日々の業務を行う中で自分がストレートかそうでないかで割を食う場面など存在しないし、恋愛をしに会社に来ている訳ではない。
黙っていれば、周りと同じように溶け込むことができる。変に浮いてしまう事態を避けることができる。

・・・ほら、ゲイを隠すメリットの方が圧倒的に多い。


例えばトランスジェンダーの方の場合は、性別を偽って生活するのが辛い場面も多いだろうと思う。
けれど私は「性自認と身体の性が一致している」ので、自分に嘘をつく必要もなく生活ができるのである。


だから私は自分がゲイであることを隠して生きている。


ゲイをカミングアウトするメリットは?

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こういったカミングアウトの話を考えていると、「もしカミングアウトしたらどんなメリットがあるのか?」といった思考をするようになる。

確かに「僕恋愛とか興味ないんですよ〜w」といった『自分恋愛とかどうでもいいんですキャラ』な嘘をついたり、好きな女性のタイプや女性芸能人についてのトークを誤魔化す必要がないのは大きな魅力ではある。

好きな女性のタイプを聞かれたときは「フレグランス…?」と答えるようにしている(男性でも共通するし(?))。
また女性芸能人で好きな人はいるけれど、付き合いたいとかの気持ちでないので非常にムカムカする。


あと恋話とかもしてみたい。

「いや女子か!」とは思う。
けれどもゲイである私は、好きな人の話も、どんな人がタイプなのかも、片思いをしていて苦しい時の相談も誰にもすることができない。

好きな人に告白もできない、恋愛相談すらできない、片思いをひたすら胸に留め続けるだけ。
それって思う以上に寂しいものですよ…!

初めて好きな人の相談をできたのは社会人になってから(!)
恋話って楽しいんだと、大人になってから知りました…


こういった理想の世界線は存在しているけれども、様々な経験を思い起こしてみると、「やっぱり絵空事だよな」といった結論に至る。


総括-ゲイがゲイを明かさない理由-

こういった理由で、「公表していないだけで実はLGBTだった」という人は意外に多いのではないかと思います。
公表しないのは「自分の生活を守るため」で「公表するに見合ったメリットがないから
もっとLGBTの理解が広まらない限り、私はカミングアウトしたいとは考えないでしょう。

あと「同性婚ができるようになってから」ですかね。現状では私は「結婚する権利もない人種」ですから。

しかし、この現状がLGBTの実数が見えにくくなることに繋がり、同性婚などの制度の導入が進まない理由の一つなのかもしれないのかな、と少し考えてしまいます。

なかなか難しいですが、ひとまず私は自分が幸せになれる道を模索してみたいと思います。

最近LGBTについて興味を持った方へ、
なんとなくでも伝わってくれたらと思う次第です。

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