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DXで成果が出ていないのはなぜか

Digital Transformation (DX) が総務省で2019年、令和元年に叫ばれてから5年が経ちました。皆様のところではどのような効果が出ていますでしょうか。
「デジタル化」はある程度進んだかもしれませんが、ビジネスモデル自体をデジタルの力で変革させる「デジタライゼーション」まで届かず、制度や文化の変革まで達成できた会社はあまり多くないのではないのではないでしょうか。

デジタル化自体は、コロナ禍による非接触・リモートワーク等でかなり進んだのではないかと思います。例えば、お店のレジ。対面による飛沫の防止の観点で、今まではレジ係が会計をやっていたものがセルフレジ化されました。バーコード決済等の導入で、現金の受渡しによる感染予防にもなりました。最近のレジでは値引きシールも自動的に読み取り、値引き処理まで行ってくれます。企業の内部においても、対面ミーティングのオンライン化、印鑑レス、ペーパーレス化がかなり進んだと思います。

ところが、企業文化の変革をもたらすデジタライゼーションを達成出来ている会社は数えるほどしかありません。なぜでしょうか?

ネット上の記事やコメントでは、新たなコスト構造に変革できない既存企業は退出すべき、既得権益を脅かすビジネスモデルは、文化の破壊をもたらす等、いろいろ議論があるところですが、私の視点から申し上げると、経営陣がICTに詳しくなく担当部署に丸投げしているからではないかと思います。あるお客様では、「DX推進部門」を設立されたものの何をどうすればよいかわからず、DXで何を目指すべきなのかを議論しているものの結論が出ていない等、迷走しておられました。

もちろん、経営陣の全員がコンピュータがどう動いているのかを完全に理解する必要はないですが、現場で起きていることの一階層下の状況は知っておくべきかと思います。ここにいくつかその例をご紹介します。

・自分たちの業務がわからない

耳を疑う内容ですが、現実なのです。今まで基幹システムの構築をお抱えのベンダーに丸投げしてやっていたために、IT部門の人間がシステムやアプリケーションの中身をほとんど把握しておらず、要望が来るたびにベンダーに問い合わせ、見積作成、工程管理を行っています。つまり、自社のIT部門はベンダー管理・プロジェクト管理しかやっておらず、自分たちの業務が何であるか、理解されていないのです。
DXが成功している会社はIT部門が先導して業務や事業を引っ張りますが、DXが成功していない会社は、IT部門が業務改革の足を引っ張っています。

・縦割りの組織で業務間の連携ができていない

流行りのAIに手を出そうとしても、それぞれの業務に応じたパッケージ製品をカスタマイズしてつかっており、業務間でのデータやノウハウの共有がされていません。管理組織が縦割りにも関わらず現場は横串として全てを行わなければならず、各管理組織が導入したアプリケーションに、同じようなデータを何度も手入力しています。
システム横断で全体を理解・統合できる組織を作る必要があり、その部門が現場の意見を拾ってより良い業務ができるよう、現場に提案すべきなのです。もしくは、全てのアプリケーションの構造や粒度を同じにして、組み合わせで省力化を目指すべきです。

・システムが業務をロックしている

本来やりたいことがあるにも関わらず、ソレを行うためのシステムの改修に時間とコストが掛かるために諦めているケースが多々あります。本来は業務を支えるためのICTのはずなのに、ICTが業務を縛ってしまうと本末転倒になっているのは、日本だけではなく世界でも見受けられます。
この状況を打破するには、残念ながら小手先の変更では難しく、業務をわかりやすく実装しなおす必要があります。ベンダー依存体制になっている場合は、自社の人間が理解・説明できるよう、再教育を行う必要もあります。

たとえ良いアイデアがあっても、業務とデジタル技術をうまくつなぎ合わせないとDXの推進にはなりません。ICTの利用は人に依存しているため、人の考えていることをいつでも具現化できる状況にしておくことが一番重要です。すなわち、ICTにおいてはデータとロジックをどのように組み合わせるかが重要であり、Try & Error を高速に繰り返しながら進めていくべきなのです。

上で記載した3つのケースにおいて、重要なのはロジックです。何がどのように動いてその結果になっているのか、プログラマだけがわかる状態では何をしようにも時間もコストも掛かります。業務担当者やIT部門の業務担当者が、何がどこで動いているのかを即答できるようにしておく必要があります。従来からあるドキュメント化では、ドキュメント化する工数やそのドキュメントの確からしさの検証に非常に多くの時間が使われており、DX化への足かせにもなっています。

ちょっと細かい話になりますが、業務担当者が作成するロジックは、「宣言型」です。つまり、「情報がAという状態であるとき、情報BをXとする」 というような書き方になっています。これを今までのプログラミングでは「手続き型」に変更することをしています。どういう順番で何を行うか、というふうに解釈し直して書き直すことで、齟齬やバグを生むことになります。
ロジックを業務担当者が考えた「宣言型」のまま書ければ手間は削減できます。また、Excelに代表されるスプレッドシードを使ってロジックを作成しているケースがあります。料金表や判定表みたいなもので、縦と横の項目が交わったところが決めるべき値としているものです。「見た目をそのまま」ロジック化することで、業務担当者でもわかるプログラムに変身します。このようなツールをルールエンジンと言います。

DX化を推進し成果を上げるためには、業務担当者が業務を理解し、その内容を他部門にも共有し、アイデアが浮かんだらいつでも行える仕組みにしておく必要があります。これをしないままにDXを声高に叫んでも、期待する成果は得られません。

一つの解決策は、ルールエンジンを入れてみる ということです。


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