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情報Ⅰを担当して思う事

今年度になって高校3年生に情報Ⅰを担当する事になった。私が社会科の教師になって45年が終わり、46年目を迎えたこの4月から情報の担当にスライドした。なぜ社会科から情報科へ異動したのかという思いはYouTubeチャンネル「iTeachersTV」で先日語ってきたので、7月になったら公開される予定。今回の収録に当たって悩みに悩んでストーリーを考えたのだが、結果としては自分の思いはわずかしか表現できなかったという事になってしまった。

なぜそうなってしまったのかについて、自分のアタマの中を整理する意味も込めてnoteに書いておくことにした。情報を担当している先生がいたらちょっと読んでいただけると嬉しい気がする。

自分の中にずっと感じていたことはICTに取り組んでいる人の多くは教科情報とは別の次元でICTに取り組んでいるということ。同じようにICTに取り組んでいても、情報の先生側のICTの取り組みと他教科の側にいる先生のICTの取り組みは同じように見えて全く異なる事を感じていたのだ。その視点から見ていったときの「情報」ってなんだ?という疑問を少しでも解消したくて情報の教員免許を取得し、実際に今授業をやっていることになる。

情報Ⅰの教科書を見てみるとわかるが、不思議な内容が満載である。(ここに書くのはあくまでも個人の主観であって、決して情報の先生方に喧嘩を売っているわけでは無いのであしからず)一般的にイメージする情報モラルはともかく、Pythonを中心としたプログラミング、データサイエンス的な部分など、どうしてそんなに詰め込んだの?という内容になっている。言っちゃ悪いが、数学の先生方が情報の教科書を書くとこうなるんだなぁという印象である。

情報という教科が何を目的に設置されたのかが重要である事は当たり前の事である。これからの社会は超高度な情報社会なので、情報の知識を身につけて生きていく必要があるからという事。が、しかしである。

本当に未来に生きる一般社会人にとってプログラミングが必要なのか?データサイエンスが必要なのか?アプリケーションの開発が必要なの?という疑問が個人的には払拭できない。それを高校生でやる必要があるのか?それも必履修科目としてである。こんなことを表立って言うと、「おまえの知識が足りないからだ」「情報を知らないヤツが勝手なことを言うな」「そもそもこれが情報なんだから勉強して出直してこい」と言われそうである。いや実際そうであろう。スキル不足は最初からわかっている。でも素人目線て重要じゃ無いのか?学ぶ側は素人だぞ。と思う。

4月から週2時間で情報Ⅰを教えている。(この教えているという言い方も気に食わない。教師が教えてやるという上から目線は50年前の時代から大嫌いなこと。そう、中学生時代から教師くらいで偉そうにするな!と思い続けていた)自分が教える情報が教師からの知識の押しつけであってはならない。知識だけを吸収することが未来の社会を生きていくために必要な情報スキルであってはならない。ましてや大学入試を目的にした情報であってはならない。そんなことをいつもアタマの真ん中において日々過ごしている。授業の組み立てを考えている。悩みすぎて体重が減った。(ウソ)

生徒にとって楽しく学ぶ事が第一。生徒が意欲を持って自ら学習することも重要。情報の授業も生徒が主体で無ければならない。ここ一番大切。教えなければならないというなら、自分の授業は失格なのかもしれないが、どうしてもそこを教えろというなら、最低限の基本中の基本だけにしようと考えている。実際そうしている。週2時間の情報もすでに1学期の期末考査まで一週間。あっというまに終わりである。勤務校はバカなことに情報Ⅰを高校3年生に設置している。新課程が始まる前にあれほど3年ではダメ。少なくとも2年生にするべきと言ったのに。である。そして夏休みが終われば情報の後半戦があっという間に過ぎていくことになる。

教科内容を押しつけない情報の授業実践は困難を極めている。大学入試という足かせがそうさせているのか、教科書の内容に縛られているのか、、。言うなれば探究型の情報を実践したいと思っている。大学入試には直接役には立たないのかもしれないが、それが最も目指すべき方向のような気がする。情報の授業では今、10進法、2進法、16進法辺りをやっている。(遅〜)。生徒の様子を見ていると回を重ねる毎に脱落していく様子が見える。そしてこちらに聞こえるように「これ数学じゃん」と言っている。彼らも情報という教科に何らかのイメージがあったはずである。期待外れであったというところか。今後は少しでも生徒が学んで楽しかった。とてもためになった。情報に興味がわいた。という感想で締めくくられるようにして進めていきたい。このままでは情報を嫌いになる生徒が大量生産されてしまう。嫌いになった情報を受け入れて将来身につくはずもない。

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