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『現代評論キーワード講義』(小池陽慈著・三省堂)

『現代評論キーワード講義』(小池陽慈著・三省堂)。
一言で表すならば、「無人島に持っていきたい本」の歴代首位になってしまう1冊でした。
https://tb.sanseido-publ.co.jp/gakusan/g-h-school/g-hs-kokugo/hs-ko-genbun/gakusan-6096/

いや、違うな…!この本のスゴいところは、ページを進めるごとに自分の窓が広がり、読みたい本が増えてしまうところだ(参考図書は、200冊も載っている…)。
もしも無人島だったら、せっかく知的好奇心が刺激されたのに、その本が読めなくて悶々としてしまうだろう(苦笑)。
やはり『旅の友としたい本』ナンバー1かもしれない(旅先でいつでも図書館や書店に自由に行ける前提で…)。

もしも高校の頃にこの本が手元にあったら、たとえば村上春樹の小説で「形而上学的」という未知の言葉に出逢った時、当時の自分のように「そういう学問や概念があるのね…」ぐらいの捉え方で事実上スルーするのではなく、そこを起点にして「こういう意味なのか!」と理解して自分の滋養に変え、「世界を観る窓」を広げて行けただろう。

※辞書を引いても意味自体は分かりますが、この本は、解説の工夫と用例の妙によって、テーマの背景や対立する概念を含めて「肚(はら)落ちできる」ところが優れています。

そうすると、次に同じ言葉や似た概念にぶつかった時にもスッと頭に入るから手を止めずに読み進められるようになり、ちょっと手強い本にも立ち向かうことができるので、「自分の世界地図」が加速度的に大きく広がり、また世界を観る目の解像度が上がるはず。

一つ一つのページが面白すぎて、ついつい関連する本やサイトを調べて読んでしまうようになってしまい、発売から3か月も経っているのに、まだ「完全には」読み終わらない…。

いや、この本は「読み終えたら本棚に戻す」ものではなく、いつも手元に置いておいて、ふとした時にもちょっと手にしてパラパラと目を通したり、そのたびに新たな学びや発見を楽しむのが、正しい使い方かもしれない。

次々に未知の扉が開き、一生「読了」には至らない(それがまた楽しく嬉しい)、まさに「座右の書」だ。
(写真は、三省堂サイトより)

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