FOMCのおさらい、今後の展望

FRBは75bpの利上げを決定。パウエル議長はタカ派姿勢を維持。

 先週注目したニュースはFOMCおよび、FOMC後に開かれたパウエルFRB議長による記者会見です。11/1-2日の日程で開催されたFOMC(連邦公開市場委員会)において、FRBは政策金利(FF金利)の誘導目標を従来の3.00~3.25%から0.75%(75bp)引き上げ、3.75%~4.00%とすることを決定しました。

  • また、FOMC後に開催された記者会見において、パウエル議長は以下の通り発言をしています。

  • インフレは依然、目標を大幅に上回る。インフレ抑制へ強くコミットする

  • 住宅市場は住宅ローン金利上昇により、著しく弱まっているものの、労働市場は極めてタイトで、なお不均衡な状況

  • 引き締めプログラムは利上げペース、利上げ幅、どの程度引き締めた水準に留め置くかという3つの柱から成り立つ

  • 利上げペースの減速が適切となる時期はいつか来る。早ければ次の会合、もしくはその次かもしれない

  • (ターミナルレートについて)9月会合での見通しよりも高い水準への引き上げの可能性を示唆

  • 強すぎる金融引き締めを行うつもりはないが、過剰であれば対応する手段がある。一方、引き締めが弱すぎて高インフレが長期化すれば、そのときは戻れない

  • 利上げの停止について考慮するのは時期尚早

 

パウエル議長発言におけるポイント、今後の展望

 上記発言の中で、私は以下の点が重要なポイントだと考えています。

①次回(12月)会合において、利上げペースの減速に言及している点
②ターミナルレート(利上げの終着点)については、9月会合において発表されたドットチャートより高い水準への着地を示唆している点

これまでFRBは4会合連続で75bpの実施をしてきたものの、今回「利上げペース減速」に言及していることから、12月会合は50bpの利上げを行う可能性が高まりました。その背景として、パウエル議長が発言している通り、これまでの利上げによる米住宅市場の落ち込みなどが見られるため、FRBとして「急激な利上げ」よる副作用を一旦確認したいとの思惑が働いているものと思料されます。

ただし、「利上げペースの減速」≠「FRBの金融政策(利下げを含む)の転換」という点には注意が必要です。上記発言の通り、パウエル議長は利上げの停止は時期尚早であるとしたうえで、インフレ長期化を最大のリスクであると述べています。そのため、今後考えられ得るシナリオは、「利上げペースは減速させるものの、金融引き締め(利上げ)は継続する」というものです。利上げの継続に伴い、ターミナルレートは9月会合時の4.6%から更に上昇すると見られており、一部アナリストは5%超を予想しています。

 FOMC後に発表された米雇用統計は概ね事前予想通りの結果となりましたが、注目度の高いNFP(米国非農業部門雇用者数)は事前予想を上回る等、米国におけるインフレ圧力が低下していると確認できるものではありませんでした。今週は米経済指標の中でも注目度が高い米CPIが9日に発表される予定です。同指標の結果次第は今後のFRBの動きを予想する上で非常に重要な意味を持つため、注視したいと考えます。

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