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「自動化」が売りのfreeeで、私が会計の学習プログラムを作る理由

こんにちは!freee株式会社のカスタマーサクセスに関するメンバーによるfreee Success Advent Calender23日目を担当するUmeです。

私、実はこのイベント参加が社内で公募された時に真っ先に手を挙げまして、早い者勝ちの日程選びで迷わず23日を選択させていただきました。

といっても理由としては単純に妻の誕生日だったというだけなのですが汗。

「知らない人の、更にその奥さんの誕生日の事なんて知らないよ」と言わないで、どうか妻の誕生日に免じて最後まで読んでいただけますと幸いです(更に「スキ」を押してくれたら、誕生日ではない私が泣いて喜びます)。

自己紹介

私は2015年7月にfreeeに入社し、2016年1月以降、約6年間に渡り一貫してカスタマーサクセス関連の部門に所属しております。

前職が監査法人で公認会計士の資格を持っている事もあり、会計領域を中心に新設法人から会計事務所・更には上場企業までfreeeがカバーする全ての法人領域のサクセスを経験している点が、freeeにおける私のユニークな経歴になるかと思います。


「freeeは会計を知らなくても使える」、は正しいのか?

そんな私が、どの法人においてもサクセス活動においても悩まされたのが

「freeeは会計の事を知らなくても使えるんでしょ?」 の一言。

この言葉が、時には「freeeが勝手にやってくれるから自分は何もしなくていいんだ」という意味に、時には「そんな事あるわけない。freeeは会計を舐めているのか?」という意味に伝わり、本来持っているfreeeの価値が正しく伝わらず、ユーザー様のfreee導入へのモチベーションが低下してしまう事が多々ありました。

では、その一言に対する私の回答は?というと、以下のように答えます。

会計を仕訳という意味で使っているならば正しいが、会計実務全般という意味で使っているなら間違い

上記2つの何が違うのか、これだけだとちょっとボヤっとしていますよね。
今日は会計の話では無くサクセス全般の話なので、何が違うのか分かりやすく料理に例えてお話したいと思います。

「牛ホホ肉の赤ワイン煮自動作成マシン」は家庭の食卓を変えられるのか?

皆さん、牛ホホ肉の赤ワイン煮はお好きでしょうか?私は大好きです。あのトロけるようなホホ肉のやわらかさと、苦味と甘味を兼ね備えたとろりとしたソースのハーモニーはたまりませんよね!

牛ホホ肉の赤ワイン煮込の画像
牛ホホ肉の赤ワイン煮

でも、日常的に料理をしている人ならばともかく、自分みたいな料理初心者がそんな料理を家で作ろうとは思わないので、専ら洋食屋さんやフレンチのお店で食べる専門的な料理と考える人が多いと思います。

そんな中、とあるメーカーさんが、画期的な「牛ホホ肉の赤ワイン煮自動作成マシン」を開発したとします。

下処理等は一切必要なく、牛ホホ肉・赤ワイン・野菜・調味料等の材料を適量入れるだけで、1時間後にはレストラン顔負けの逸品が完成!

そんなマシンが仮に3,980円という驚きの価格で世に出回ったとします。そしたら、私みたいな料理初心者が殺到して、皆が牛ホホ肉の赤ワイン煮を当たり前のように作る日が果たして来るでしょうか??

残念ながら、その日が来る事はないでしょう。
それはマシンの性能の問題では無く、マシンが「料理初心者が抱えるネックの一部」しか解消出来なかったという、マシンがカバーする「領域」に大きな原因があると考えられます

料理初心者は調理前の材料収集からつまづく図

このマシンは「材料を入れるだけ」で調理をしなくても料理が完成するというのが売り文句でした。
しかし、料理初心者にとって問題なのは、調理だけではありません。特に「牛ホホ肉の赤ワイン煮」なんて普段から馴染みのない料理ですから、牛ホホ肉がどこに売っているのか、どんな赤ワインや野菜を揃えるべきなのか、調味料の量をどうやって測るのか、そこから問題が発生しているのです。

そういう意味では、このマシンは「調理不要」で且つ超優秀な性能は持っていますが、決して「料理不要」のマシンではなかったのです。

もし、完全に料理不要なマシンを名乗るのであれば、ネット上で最適な材料を最適な量だけ自動で購入し、且つ分量まで全て測ってくれる所まで行うものである必要があるでしょう。(もはやそれはマシンなのか、という疑問はありますが…)

現状のfreee会計の領域と、領域外を補完する学習コンテンツとの関係

さて、ここでfreee会計の話に戻りましょう。

freee会計の売りの一つは【自動化】ですが、ここでいう自動化は会計の中のどの領域か、というと、中心は「仕訳入力」の領域になります。この作業はこれまで簿記の勉強をして経理実務もわかっている人でないと出来ない専門領域であったところ、freeeが「仕訳」ではなく「取引」という入力形態を取った事と、預金口座やクレジットカード利用履歴等のデータに対して、予め設定した内容で自動的に登録する「自動登録ルール」を設けた事で、簿記の仕組みを理解していない人でも入力作業をする事が可能になりました。


これは先ほどの料理の話でいうと、まさに「調理」の部分になります。専門教育を受けて調理経験も豊富なプロの料理人しかできなかったものが料理の素人でも出来るようになった事と合致しますよね。

しかし、調理だけが自動化されても料理が完成しなかったように、会計の中で仕訳入力はあくまで一つの工程に過ぎません。

仕訳作業の前段階で言うと、仕訳の元となる請求書や領収書等の受領、もしくは発行がきちんと行われているか、更にいうとそもそも会社の中でお金が「いつ」・「どんな」形で動いているのかの理解がある事が前提になります。
同様に仕訳作業の後段階で言うと、作成された財務諸表が何のために作られて、どんな情報を提供しているのか、という事も理解する必要があります。

ただ、これはfreeeという枠を超えて日本の会計業界全体を見ても、なぜか簿記だけが重要視されており、その前段階・後段階に関する基礎知識や実務内容を習得できる機会は殆どありません。であれば、freeeがその機会を作ってしまおう、というのが今回私が行っているチャレンジになります。

自社サービスの領域だけのサクセスは、真のカスタマーサクセスではない

ここまで弊社プロダクトの会計領域の話をしてきましたが、同じ事はどの領域のSaasプロダクトでも言えるのではないでしょうか。
私はこれまで約6年間サクセス業務に従事してきましたが、自社サービスの領域だけで業務が完結した記憶は殆どありません。昨日の弊社大杉の投稿にもありましたが、そこがまさに「カスタマーサクセスは総合格闘技」と言われる所以だと思います。

なお、カスタマーサクセスの総合格闘技感をより深く味わいたい方は以下もご参照ください。

自社サービスの領域だけでなく、その関連領域まで視野を広げ、お客様がプロダクトを使う際のボトルネックになるものをとことん潰していく。
言葉でいうのは簡単ですが、実際にそれを実現する事はとても大変な事です。そして、やっかいな事にプロダクトが進化すればするほど、関連領域もどんどん広がるので、カスタマーサクセスに終わりはありません。

ただ、我々は慈善事業をしている訳ではないので、永遠にお客様に寄り添えるわけではない。だからこそ、お客様が自分自身でサクセス出来るようになる状態に導いてあげる必要がある。特にプロダクトがカバーしていない領域こそ、何をするべきなのか道筋を示す事がカスタマーサクセスとしてやるべき事と私は思っております。

「会計がわからないからfreee」⇒「会計がわかるようになるからfreee」へ

この変化こそが、私がfreeeにいる間に一番実現したい事になります。

先ほどfreeeの自動化の領域の中心は「仕訳」と言いましたが、実はその前工程のデータ収集等についても自動化は着々と進んでおります。まさにAPIがそうですよね。後工程についても、財務数値の結果を踏まえて次に何をすべきかAIが正しい判断をしてくれる時代がそう遠くない未来にやってくると思います。

それでも、公認会計士だから言う訳ではないのですが、やっぱり会計の仕組みって物凄く優れている人類の大発明だと思うし、少なくとも知っておいて損する事は絶対にありません。

「freeeを使って初めて会計に興味を持てたよ!」、「freee使えば自動で会計業務は完了するけど、やっぱり会計知識ある方がfreeeの価値が良くわかるよね」。そういう声を多く聞けるように、今、私はfreee会計短期集中学習プログラム、通称「誰でも会計マスター」プログラム(仮称)の作成に取り組んでいます。
そして、来年夏の本リリースを目指して、まさに一昨日から第1回のテスト検証を開始したところです。

各回10社限定で、2月から第2回、3月からは第3回のテスト検証を行う予定ですので、従業員5~50名規模の御会社で、「会計知識も実務経験も今は乏しいけどfreeeも会計も理解したい!」という想いを持つ経理担当者の方がいらっしゃいましたら、是非 freee-accountmaster@c-fo.com  までご連絡ください。(お申込みは2022年2月14日まで)

そして、freeeカスタマーサクセスチームでは一緒に働く仲間を募集しています。私と一緒にこのプログラムを盛り上げたい!という方も、そうでない方も、freeeのカスタマーサクセスに興味をお持ちいただけたなら、是非一度ご連絡ください!






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