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父と子を繋いだ日

ある日、編集部に来客が。
薄汚れた作業服を着た30代くらいと思しき男性は、どうやら仕事前に編集部へ立ち寄ったようだ。

(男性)
「すみません、おたくで出しているフリーペーパーの前の号で、小学校のサッカー大会の記事があったと思うんですが、

まだ余っていたら一部いただけませんか?うちの子どもが出てるみたいなので…」

よくあることなので、該当の記事を手渡すと

(男性)
「へぇ~!チームで優勝したのか!アイツ頑張ってんなぁ…」

とつぶやいた。
その姿はどこか寂し気で…

でも次の言葉が、すべての答えだった。

(男性)
「実はうち、離婚してまして…息子に会えていないんです」

私は言葉が見つからず、「あぁ…そうなんですね…」と気の利かないセリフしか出てこない。

(男性)
「でも、こうして息子が元気にやってる姿を見れたのは、父親としてすごく嬉しいですね…」

それは紛れもなく、本心だろう。

私たちの仕事が、一つの家族の
父と子を繋いだ日。

何度も御礼を言い、誌面を大事そうに抱えて編集部を後にしたあの男性は

離れた場所から我が子を思い続ける、
不器用な「お父さん」の顔だった。



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