8.早く言ってよ

8.早く言ってよ

足下を見ると、地面がビルの屋上から見たように下にある。
そのまま、恐らく数十メートルは飛んで、駐車場の入り口付近にふわりと着地した。
その衝撃は、ちょうど自分の家のベッドから飛び降りた時と同じ、何の負担もないものだった。

「これは……一体……オレが、飛んだのか?」
「はい、PDVのジャンプ力は搭乗者の重量にもよりますが、凡そ高さ20m、距離にして50mは可能です」
「え、誰?!」
「はい、私はPDVのナビゲーションAIです」
「あ、さっきのパスワードの声の…ちょっと!状況を説明して!」
「はい、あなたは今PDVにテストパイロットとして搭乗しています」
「それそれ、そのPDVって何?!」
「Personal Driving Vehicle の頭文字を取ってPDVです。大山田教授が開発した最新型の『自動車』です」
「自動車?!コレが?!」
「はい、ちなみにさっきのゴーレムもダーホン技研工業株式会社の未発表の最新人型自動車です」
「時代はそんな所まで来ているのか…」
「ちなみに、さっきのゴーレムがまたこちらに時速120kmで迫って来ています」
「早く言ってよぉぉぉぉ!」

ぼくの身体はゴーレムに跳ね飛ばされて、駐車場から国道の道路に飛び出して地面に激突してゴロゴロ回りながら対向車線まで飛び出してガードレールを大きくひん曲げてやっと停止した。

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