木村梅夫

あこがれの変身ヒーローのお話を書いていきます。 なんにもやる事が無くなった時、なんとな…

木村梅夫

あこがれの変身ヒーローのお話を書いていきます。 なんにもやる事が無くなった時、なんとなく手持ち無沙汰な時に読んでくだされば、望外の喜びです。

最近の記事

11.その名はシャイン

11.その名はシャイン 一瞬、ぼくの目の前で『く』の字に曲がったゴーレムの巨体が見えた気がしたが、踏ん張った方の左足を軸に一回転してまた正面を向くと、さながらロケットでも付いているように宙を飛ぶ姿が見えた。 そのまま、イオ○の店舗外壁に激突し、イオ○の電飾の『ン』の字が轟音を立てて崩れ落ちた。 「ゴーレムーーーッ??!!」 「ああ??!!○オンがっ??!!」 イ○ンの外壁に大穴があいて、ゴーレムは完全に店舗の中に入り込んでしまっている。 「うわあぁぁ、オ、オ、オレのせ

    • 10.決着の行方

      10.決着の行方 またもやゴーレムがぼくをロックオンして突っ込んで来る。 フルパワーと言うだけあって今までで一番の勢いだ。 サラリーマンとは言え技術者の自負を刺激されたのだろうか、ちょっと有り得ないと思う。 しかし、ただ直線的に突っ込んで来られても、PDVの性能なら避けるのは容易い。 ぼくの運動神経と言うより、動きを増幅する機能のおかげか、ほぼ頭で考えただけで身体が勝手に動く感覚だ。 しかし、何度目か避けた時、ゴーレムがすれ違う瞬間に長い腕を伸ばして掴み掛かって来た。 あっ

      • 9.PDVその実力

        9.PDVその実力 「ハハハ!見ぃたか我がダーホン技研のゴーレムのパワーとスピード!」 「ふむ、そのようだな」 「またよく飛びましたねぇ」 「おやおやぁ?もう諦めたのですかなぁ??」 「キミ、もう少し下がった方が良いぞ」 「そうですよ、危ないですよ」 「何の負け惜しみですかな〜?」 オッサンがイヤミったらしく言った瞬間、ゴーレムのデカい身体がオッサンの鼻先を掠めて猛スピードで吹っ飛んで行く。 「うぉっ!何だ?!」 オッサンが遅れてのけぞって尻餅をついた。 ゴーレムは駐

        • 8.早く言ってよ

          8.早く言ってよ 足下を見ると、地面がビルの屋上から見たように下にある。 そのまま、恐らく数十メートルは飛んで、駐車場の入り口付近にふわりと着地した。 その衝撃は、ちょうど自分の家のベッドから飛び降りた時と同じ、何の負担もないものだった。 「これは……一体……オレが、飛んだのか?」 「はい、PDVのジャンプ力は搭乗者の重量にもよりますが、凡そ高さ20m、距離にして50mは可能です」 「え、誰?!」 「はい、私はPDVのナビゲーションAIです」 「あ、さっきのパスワードの声

        11.その名はシャイン

          7.PDV起動

          7.PDV起動 「ハハハ?!何だこの眩い光は!」 「なになにナニ?!!!怖い怖い!!!」 向こうのオッサンとぼくの叫び声が重なった時、 ぼくの全身を何か厚手の服のようなモノが包んでいく。 それは金属のようにスベスベしているが、クッション性があってなおかつ肌触りの良いモノだった。 ほんの1、2秒の間、目をキツく閉じていても眩しかった光が収まった時、恐る恐る目を開けると、まん丸に開いた信じられないようなモノを見る目のオッサンが視界に入った。 しかも、モニター越しに、だ。 「

          6.初めての「ヘンシン」?

          6.初めての「ヘンシン」? 「ハハ!ハハハ!見ろ!この洗練されたフォルムを!そして聞け!それにゴーレムという相応しい名前を付けた私のネェーミングセンスを!」 ゴーレム、というありきたりな名前のモノに、さっき黒い箱状態の時にボタンを押した男が走って来て、ゴーレムの背中で何やらすると、プシューッと音がして背中が観音開きに開き、その中に入っていった! 「それでは、ゴーレム動きます」 乗り込んだ男の声か、ゴーレムから拡声器を使ったような声がした。 ウーーーッ サイレンの音

          6.初めての「ヘンシン」?

          5.その名はゴーレム

          5.その名はゴーレム 「ハハハ!いやいや、こんな地方都市くんだりまで連れて来られて、一時は見失ったかと思いましたよ。 それで、ようやくご協力頂けるお気持ちになられましたかな?」 「キミもしつこい男だな。たとえこんな地方都市に来たからと言って私の気持ちは変わらないよ」 「そうですよ!こんな地方都市だってイヤなモノはイヤなんです!」 「ちょっと待ておまえら」 生まれてこの方ずっと住んでる地元の名誉を酷く汚された気がする。 「ほう?そちらの方は初めてお目に掛かりますね?」 「

          5.その名はゴーレム

          4.カーチェイス再び

          4.カーチェイス再び 「なるほど、分かりました!幸いお互い接触した訳でもありません!そう言った理由でしたら仕方ないかな、って思う所もあります!では今回はお互い何事もなかったと言うことで!お気をつけて!」 早口でまくしたてて、この場を流して早く立ち去ろうとしてみる。 「それが、ちょっと困った事になってしまってね…」 女性としては低めで、そして少し憂いを帯びた声に、思わず聞き入ってしまう。 「え、そうなんですか…?」 話を繋いでしまいました。バカだなぁ。 「ええ、そ

          4.カーチェイス再び

          3.プロフェッサー“O”

          3.プロフェッサー“O” 「先程は…失……。わた…プロフ……何しろ………だったも……ら。」 「えっ、あの、すみませんが聞こえないです…」 窓をノックされて強引に車をバックさせることもできず、手招きされるまま車を降りてしまった。 そのまま、赤いフルフェイスに白衣を着た女性が何か話し始めたのだが、何故かヘルメットを被ったままなので何を言っているのかよく聞き取れない状況。 ところで、何故女性なのかが分かったのかと言うと、フルフェイスから腰まであろうかというストレートの黒髪が流れ

          3.プロフェッサー“O”

          2.「新しい都市伝説かな」

          2.「新しい都市伝説かな」 「何なんだ全く…」 コンビニの駐車場で、店内から漏れる黄色い灯りに照らされながら、ぼくは買ったばかりの缶コーヒーを口に含んだ。 あれからしばらく固まったあと、とりあえず落ち着こうと一番近くのコンビニに来たのだ。 缶コーヒーをドリンクホルダーに刺して、ハンドルに額を付けてみる、 いくら道路の広い地方都市の夜中とはいえ、あんなのは無い。 無い無い絶対無い。 最近は煽り運転がよく取り沙汰されるが、コレはまた違った事件だ。 しかも、最初に追い越して行った

          2.「新しい都市伝説かな」

          個人装甲シャイン

          1.理不尽の始まり 月のキレイな夜、ぼくは愛車を走らせてた。 狭い車内のデジタル時計が、深夜0時を過ぎてるのを知らせてる。 帰りが遅くなったのもそうだけど、今日会社で起こった事を思い出してイライラしてた。 事の発端は、部長が他社から来るお客さんにウチのシステムを説明する際に、ちょっと分からない所があるから簡単に教えてくれ、って言われたことだった。 いやホントに簡単にでいいから、なんて言われたんでA4の紙一枚に略図を書いて持ってったら物凄い質問責め。 そんな細かい話はメーカー

          個人装甲シャイン