6.初めての「ヘンシン」?

6.初めての「ヘンシン」?

「ハハ!ハハハ!見ろ!この洗練されたフォルムを!そして聞け!それにゴーレムという相応しい名前を付けた私のネェーミングセンスを!」

ゴーレム、というありきたりな名前のモノに、さっき黒い箱状態の時にボタンを押した男が走って来て、ゴーレムの背中で何やらすると、プシューッと音がして背中が観音開きに開き、その中に入っていった!

「それでは、ゴーレム動きます」

乗り込んだ男の声か、ゴーレムから拡声器を使ったような声がした。

ウーーーッ

サイレンの音が響いて、ゴーレムの四角い頭の目の部分が青く点滅する。

「ぃいけー!ゴォーレム!お前の力を見せつけてやれ!」

ゴーレムは人型と言うかゴリラのように長い両腕を前に伸ばし、拳の部分を地面に着けると、ギュルギュルギュルと何かが高速回転して軋むような音と白煙を上げ、猛スピードでダッシュして来た!
足と拳部分にタイヤのようなモノが仕込んで有るらしく、さながらトラックが突っ込んで来るようだ。

「うわ!ちょ、あ、危な!」

ぼくは叫ぶと反復横跳びの要領でピョンと避けた。ちょっとでも避け損なったら大ケガをする所だ!
そのまま振り返ると、ゴーレムがそのまま走って行ってものスゴい音を立ててぼくの軽自動車を跳ね飛ばした所だった!

「あーーー!!!オレのワゴンRが??!!!」

大きくひしゃげてひっくり返っている愛車を呆然と見つめていると、いつのまにかぼくの隣に来ていた大山田教授が、ぼくのヘソ辺りに何か弁当箱のようなモノを押し当てた。
そして、犬小路がベルトのようなモノを背中に回して、その弁当箱をぼくのお腹に固定する。

「セット完了です!いつでもイケます!」
「よし、それではこちらも起動しよう」

目の前で起きた事が今一つ信じられず、呆然と
突っ立っているぼくに、大山田教授が指揮官のように凛として告げる。

「さぁ、起動パスワードを設定してくれ。
キミの声紋を認識してPDVが起動する」
「……パスワード…?」

「……ブブッ『パスワード』はパスワードとして適当ではありません」

弁当箱から女性の声がした。
大山田教授が、ああ、と言ってぼくに説明する。

「『パスワード』とか『1234』はセキュリティ上よろしく無いので登録できない。『PDV起動』とか、何なら『変身!』でも良いぞ」

「へ、ヘンシン?」

「……ピピピ、パスワード『へ、ヘンシン?』を登録しました。このまま起動しますか?」
「もちろんだ!」

大山田教授が大きく了解すると、ぼくのヘソの弁当箱が眩いほどの光を放ち始めた!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?