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200冊目:催眠ガール/大嶋信頼

こんばんは、Umenogummiです。

1000日チャレンジ200日目です!
1/5ですね。
早かったような長かったような…。
まだまだ残り4/5、頑張ります!


さて、今日は面白くて一気読みしてしまった小説です。ちょっとスピリチュアルな話ですので、苦手な方はお気をつけを。



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催眠ガール/大嶋信頼



あらすじ


夏目明日香は生まれてすぐに亡くなった兄のことで母親から疎まれ、父親からも毎日のように怒鳴られ、家に居場所がなく、いつも本の世界に逃げていました。明日香は勉強に身が入らず、成績が悪いために家の近所の高校には通えず、通学に時間のかかる私立高校へ通わざるを得なかったことも、両親をいら立たせていると感じていました。


ある日明日香は、試験の前日だというのに催眠療法で人を変えることができるといった内容の本(「私の声はあなたとともに」ミルトン・エリクソン著)を購入します。本に夢中になってしまい、試験結果は散々。

がっくりと肩を落とす明日香はさらに、電車の中でのトラブルに遭遇します。そのトラブルを鮮やかに、自然に解決した普通のおじさんに、明日香は感動します。

そしてそのおじさんに既視感を覚えますが、思い出せません。おじさんが電車から降りた後本を取り出しことがきっかけで、本屋に並んでいた書籍のカバーに印刷されていた男性であったことを思い出します。


次の日、本屋でその本を手に取り、おじさんが高田馬場で催眠療法講座を開いていることを知り、講座に通うお金のない明日香は、おじさんの弟子にしてもらうべく教室を訪れます。おじさんは「ちょうど電話番が欲しかった」と即決してくれ、人の優しさに触れた明日香は泣き出し、自分の生い立ちを語り、おじさん―お師匠さんはじっくりと明日香の話に耳を傾け、明日香を肯定します。


お師匠さんが講座を開くのを、薄い壁越しに明日香は電話をしながら耳を傾けます。「催眠療法には呼吸合わせが大事」というお師匠さんの言葉に、明日香はさっそく実践してみますが、うまくいきません。

お師匠さんの教室にいるときにはお師匠さんの話が聞けるという高揚感に包まれる明日香でしたが、家に帰ると母親の冷めた目線、苛立っている父親を見、絶望的な気持ちに襲われます。


そんな明日香の暮らしを知ってか知らずか、お師匠さんは講座でスクリプト(物語を作って催眠に入れる)のテクニックを話し始めます。そのスクリプトを聞き、明日香は自分のために物語を読んでくれていると感じます。

スクリプトをつくるのはまだ難しいと判断した明日香は、呼吸合わせの練習だけを続けていました。すると少しずつですが、教科書を開いても内容はちんぷんかんぷんでしたが、本からキャラクターが飛び出してきて明日香に丁寧に内容を教えてくれるような感覚を覚え、勉強に楽しさが芽生えてきます。


次第に勉強が理解でいるようになった明日香でしたが、一方で少し前までともに赤点コンビと言われていた友人の沙知が落第の危機にあることを知ります。どうにか催眠の力で沙知を助けてあげられないかという気持ちが起こります。

お師匠さんにその気持ちをぶつけ、お師匠さんは押し付けるわけではなくあくまでヒントとして、エリクソン博士が1人のためのスクリプトを40回書き直したこと、そして催眠療法を使うときは同意を得ることを、明日香に話します。

そして明日香はそのヒントを胸に、沙知のためのスクリプトを書き上げます。



感想


とにかく明日香の家にいる描写が苦しくて苦しくて、早く救われてほしい!という思いを持ちながら読み進めました。
お師匠さん以外の大人が本当に嫌な奴らで…でも実際にいそうな感じがまたいやらしい。

明日香がすごいなぁと思うのは、自分の家をどうにかするよりも先に沙知をはじめとする友人たち、恋人との関係に悩む由衣、弱小の相撲部を何とかしたいと願う優等生の亜美の問題を解決に尽力するところです。

あまりに長く要らない子扱いをされてきたがために、家のことは解決できないと思っていただけかもしれませんが、それにしても親ェ…。
明日香には妹がいるのですが、妹は普通に可愛がられているようで、それもものすごく腹が立ちます。妹は妹で、そのことを重く感じており、ゲームに逃げてしまっています。ほんとにこの親…。

これは小説ですのが、やっぱりそういうご家庭があるのだと思うと、やりきれないですね。催眠療法と関係のないところで深いダメージを受けてしまいます。


だからこそ、明日香のやさしさや想いが際立っていて、泣いても泣いても強く立ち上がる明日香を応援したくなります。序盤は辛いシーンが多めですが、明るく幸せなラストに向かって進んでいきます。

なにか辛いことがある時、何か水なことに逃げるのは悪いことではないと思います。でもきっとそれは根本的な解決にはならないのでしょう。



おわりに


何か問題を抱えている人に、この本はすこしでもヒントになるような気がします。でも前述したようにダメージを受けるので、元気な時に読むことをお勧めします。

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