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おしゃれを教えてくれた場所

毎日、すっぴんほぼパジャマで過ごす日々が1か月続いた。
外出することはあっても情けない恰好のまま長いコートを羽織って、今のご時世絶対マスクもするし、メイクはここ最近ほぼしない。

ああ、おしゃれしてないなー
ふと思った。

しかもここ最近というより、社会人になってからの話かも。

職種も営業だったので平日は自分の好みではないオフィスカジュアル的な服を着て過ごしていたし、安月給だったので、休日だけのためにあまり服を買っていなかった。なんだか1年くらいのおしゃれブランクを感じた。

古着との出会い

大学生の頃、私は古着にハマって、服が好きになった。
きっかけは、偶然見つけた古着屋さん。

お店は静岡の街の、駅からは少し距離のある、学生たちも普段あまり行かないような場所にあって、蔦の絡まった怪しげなビルの一部屋にある。

そのビルの上の階に、当時私が所属していた学生出版のフリーペーパーの編集部があったので、その日は編集部の見学でそこに訪れた。

早めに到着してしまい、ビルの前で「古着屋 chubby × eight(チャビーエイト)」という看板を見つけて、少しここで時間を潰すか、とビルに入った。蔦だらけで、しかも夕方で薄暗かったので、ぶっちゃけ本当に怖かった。まさにジブリの世界。ひとあし足を踏み入れたら別の世界に迷い込む系の雰囲気。

緊張しながら恐るおそるそこに入ると、外国の絵本の1ページみたいな空間が広がっていた。古着屋は初めてではなかったけれど、私が今まで入った古着屋でいちばん「異世界」感があって、その時の気持ちは忘れられない。

知らない世界と出会ってしまった「入学したて、春、大学1年生、18歳」の私のお目目はキラキラだったと思う。

それから、私はその編集部に入部したため、週に1回そのビルに行くようになった。自然と会議の30分~1時間ほど前にそこに到着し、chubby × eightに立ち寄るのが私のルーティーンだった。

みんなに愛される場所

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最初はなんだか恥ずかしくてなかなか手が出せなかったけど、通ううちに、本当に欲しい、というものがだんだん増えてきた。

かわいい服を購入したら、それに見合う自分になりたいと思ってメイクや髪型も試行錯誤するようになった。

店主のあさこさんは、うまく似合いそうなものを探してくれたり、試着して一緒に盛り上がったり、たまにあまり似合ってなかったら素直に意見をくれたり、とても信頼できるお姉さんになっていた。

だからいつしか古着ではなくあさこさんに会いに行くみたいにもなっていた。どうしようもない恋愛相談とか、将来の不安のこととか、なんでも話を聞いてくれるし、自分のこともおはなししてくれる。

広くはない店内なので他のお客さんがいればいつしかその人の話に自然と入っていって、友だちになっていたり。

chubby × eightに来るお客さんは店主の人柄からか、とても暖かい人が多いように感じるし、いまの時代に感じがたい、ひとと人の繋がりみたいなものが生まれる場所のような気がする。

古着のいいところ

私が古着を好きな理由は、全部が「またとない1着」なところ。

chubby × eightに置いてあるものは一期一会なのはもちろん、あさこさんがその服の背景とかまで教えてくれちゃうので、興味がどんどんそそられる。そしてその1着が私にぴったりなサイズだったらもう運命の鐘が鳴っちゃう。

流行の洋服も着るけれど、だいたい翌年には飽きてしまって、押し入れの奥底に埋もれてる。chubby × eightに行くようになってから東京の古着屋もよく行くようになったけど、今も長く着ているのはchubby × eightの服ばかり、なぜだろう。

きっとお洋服の質がいいのもあるけれど、買うときの特別な思い入れが他のお洋服とは違うからかもしれないと思った。

どこにも行けなくても

いまは、どこにも行けない。
東京からは出られないし、静岡にも、chubby × eightにも行けない。

そして全国緊急事態宣言を受けてchubby × eightもしばらくお店を閉めるという決断をしたとインスタグラムの投稿で知った。
しかしその中でも「Face time shoppinng」という新しい挑戦をするらしい。あさこさんと電話しながら買い物ができるというものなのだが、とてもchubby × eightぽくていいなと思った。

インスタグラムのライブをみてchubby × eightのことを思い出して、あんなに大好きだったおしゃれから遠ざかってしまった自分に気づいてしまった。

今の格好は、髪もぼさぼさ、パーカーにスパッツ。

かわいいお洋服にエネルギーをもらっていたときのことを思い出して、明日は久しぶりにお気に入りの服でも着てみようかな。

どこにも行けなくてもいいじゃない。

そしてまたchubby × eightにあたりまえに行ける日を楽しみにしていよう。

▼最近サイトもできたようです。メインの情報発信はインスタグラムです。ぜひチェックしてみてください。

ちなみにトップの画像のシャツはここでの購入品です、お気に入り過ぎて部屋に飾ってるの。可愛いでしょ。

じゃ、また。

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