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自分の「心が喜ぶ」感覚を大切に

みなさんは、幼い頃習い事をしていただろうか。

自分が小中学生だった頃は、なんとなくピアノや習字を習っていた人が多かった気がする。私は4歳からエレクトーン、6歳からスイミング、11歳から英語教室の習い事をしていた。

その中でもエレクトーンは18歳の頃まで続けていたので、12年間も同じ習い事をしていた。

しかし、私はエレクトーンが好きではなかった。

こんなことを思っていたことが親やお世話になった先生にバレてしまったら、きっとショックを受けるので、あえて小さい声で言ってみる。好きではないのに12年やっていた。

驚きの事実なのだが、発表会やコンクール前に少しやるくらいで、私は12年間練習をほとんどしなかったので、なんと楽譜もまともに読めない。振り返って思うが、なんと膨大な時間をあまり興味のないことに費やしていたのだろうと、もったいないことをしたと思う。

私がエレクトーンを始めることになったきっかけは、7歳年上の姉が既にやっていたからだ。

姉が通っていたエレクトーン教室は、母親の同級生が講師をやっているところで、その繋がりもあって姉はエレクトーンに触れることになった。姉はエレクトーンに興味を示し習い始めた。まだ家にエレクトーンがない頃から、おもちゃのキーボードで進んで練習するくらいには好きで好きでしょうがなかったみたいだ。私が始める頃くらいには既にかなり上達していたので、コンクールでも入賞するくらいになっていた。

私が4歳になった頃、家には姉が買ってもらっていた立派なエレクトーンがあって、姉の演奏する姿はすごくカッコよかったので、私も自然と「エレクトーンをやりたい」と言った。

習い始めてから、私は割と器用に、上手にエレクトーンを弾いた。初めての発表会では「チューリップ」を披露した。おさげ髪にフリフリのワンピース姿で、一生懸命に口を開けて歌う姿が可愛くて、家で何度その時の映像を見させられたか分からない。周りからも口を揃えて「なっちゃんはとってもエレクトーンが上手だね!」と言われたので、幼い自己肯定感が爆上がりした。

でも私は練習を進んでしなかったので、週に1回のレッスンのときはいかに先生に言い訳をするか考えたり、付け焼き刃でやっていた感を出すか、はたまたズル休みができないか、そんなことばかり考えていた。

それでも発表会前はきちんと練習をしたし、1曲スラスラ弾けるようになってからは、楽譜を読まなくて済むので気持ちよく何度も弾きながら、舞台にいる自分を妄想して演奏するのが好きだった。私は上手い方ではあったので、エレクトーンのコンクールに出場しては県大会まで何度も進んでいた。

何となく得意だし、褒められるし、家に設備があるしで高校生まで続けた。

でも、今になってふと思った。本当に好きなことは自分の時間を返上してでもやりたいと思うものだ。

大人になって自分で自由に使える時間が限られてからは、休みの日はそれを気づいたら何時間も、夢中でやっているものだ。今の私にとってのそれは、スタバで美味しいコーヒーを飲みながら本を読んだり、文を書いてみたり、絵を描いてみたりする時間だ。

たまに思うのは、昔から私にとって「絵を描くこと」が1番夢中になってやれることだったから、もしエレクトーンをやらずに絵を習っていたらどんな自分になっていただろう?ということ。

まだ言葉もうまく喋れない頃からお絵描きや工作が好きだったし、小学生の頃は真っ白な自由帳に創作の漫画を描いて、クラスのみんなに見てもらうことが何より嬉しかった。小学校高学年の頃は、ニンテンドーDSを買ってもらって、それを使ってゲームではなくて「うごくメモ帳」をいう、描いた絵を投稿してみんなに見てもらうサイトに1番夢中になって、成績が下がったので親にDSを取り上げられたくらいだ。

親は私に「そんなに好きだったらエレクトーンを辞めて絵を習えば?」と何度か提案してくれた。けれど、物事を途中で投げ出しちゃあかん精神が強かったのと、せっかく周りから褒められるのにやめたらもったいない、という謎の意地で「いいよ、絵はやらない」と毎回断っていた。

でも、本当に大事なのは、周りから認められることではなくて、自分の好きなことを自信を持ってやることだと私は思う。

私は絵がズバ抜けて上手いわけではないし、もし習っていたからといってそれが仕事につながったりする確率は非常に低いと思う。でも、きっと絵を習っていた私の時間はとても充実していただろう。その充実感は他人からの評価によって得られるものではなくて「私の心が喜んでいる」という感覚だ。

もしあの頃の私に会えるなら、そんな好きでもないことやってないで、評価なんて捨ててさ、好きなことやれよ!!!って言ってやるけど、それはできないのでこれからの私はその精神で行きたいな、としみじみ思う。

みんなも自分の好きなことに対してちゃんと素直になってあげましょうね。いくつになっても。

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