見出し画像

『キャットディフェンス』 政岡としや

君よ、政岡としや先生を知らざるか。

『キャットディフェンス』は原作に小池一夫、林不忘の両先生を迎えた意欲作です。丹下作善のお話。

しかしこれを語る前に、政岡としや先生の「渋さ」についてすこし前置きをば。紹介したのは時代劇ですが、先生はなんといっても「任侠もの」がまず有名です。

この銭に汚そうな若者がやくざ社会を駆け巡る、『どちょんぼ』。しかしすごい響きですよね、どちょんぼって。意味はよくわからないがとにかくロクでもないことだけは伝わってくるパワーワードです。こんなに強力な響きは望月三起也先生『ジャパッシュ』以来ではないでしょうかw参考資料↓

画像1

もう悪い予感しかしない、輝く造語センス。

政岡としや先生の任侠ものの面白さはあの元ヤーさま作家安部譲二氏も「本物」と認め、後年安部譲二原作で『腕貸しの天』が発表されたほどです。

これ、『ダボシャツの天』というマンガの続編なのですが、そちらは無料サイトで見つかりませんでした<(_ _)>

当方、あまり任侠マンガは好みではないのですが、政岡先生のは暴力や抗争ばかりではなく、人間らしくビビったり、嫌なら辞めちゃえばいいのにそこを義理・人情と強がったり、ずっこけたりする笑いと悲しさの相半ばが実にこう「渋い」んですね。ぜったいカッコよく決めない。泥臭い。

…なのに、たまにこんなのをサラっと出してくるんです。

これは詐欺師のお話で、まあ裏社会モノといえば同系列なのですが。

ぜひリンクから絵を見てください。絵がものすげえオシャレなんですw

スタイルもバツグンだし顔なんか汚しの線をとって、色塗ったらわたせせいぞうか!?ってくらいシャレてます。しかもムリした後を感じない、こういう絵も持ち味なのでしょう。どういう腕してるんですかって感じです。

この渋さセンスなぜか時代劇の場で炸裂したのが上記『キャットディフェンス』だと当方は感じています。とにかく絵がぶっ飛んでいるw。任侠ものの力強さが、筆のタッチで恐ろしくオシャレに決まっています。もうこれは見ていただくよりほかにございません、カッコイイんです。


…政岡としや先生は「絵の上手い作家さん」といってすぐ名前の挙がる方では決してないと思うのですが…静かに自分の絵を追求しておられたのではないか、としみじみ感じるのです。『キャットディフェンス』の世界をもっと長く見ていたかったものです。

渋い。

(蛇足)

…どうでもいいのですが安部譲二先生というと、元やくざとか怖いとかいう前に、TBSラジオ『伊集院光深夜のバカぢから』にゲスト出演していたイメージが強いです。…当時人気絶頂だったエンクミ(遠藤久美子)のニセモノとして。

「エンクミ、でーす♪」

と、あの野太い声を精一杯黄色くして登場、最初はきゃぴきゃぴ話すのですがパーソナリティ伊集院さんとのやりとりで次第に切れてきて、最新刊『天下御免の13人』の告知をして帰る、というコント仕立てのコーナーでしたが、強烈な印象ですwたしか同じようなコントでシガニー・ウィーバーのニセモノも勤められたような…。

おちゃめですね。

なので『腕貸しの天』原作もギャグテイストで安心して読めます。



この記事が参加している募集

たくさんのサポートを戴いており、イラストももう一通り送ったような気がするので…どんなお礼がいいですかねえ?考え中(._.)