【創作物】酔い、溺れ、それでも…
彼らは溺れる。
ビールにワイン、魅力的な女と友との時に。
彼女は探す。
男たちと酒で埋めながら、ほんとうの幸福を。
彼らは迷子、みな迷子。
無秩序な世に解き放たれた不安定な人の子。
彼女は今日も溺れる。
ぽっかり空いた虚空を埋める、ひと時の恋に。
彼は今日も探す。
無秩序な世にもあるはずの秩序を。
彼らは抗う。見出そうとする。
めちゃくちゃな世の中で、デタラメに酔いながら。
チリチリと光る。
悲痛に歪んで砕けたカケラが。
チラチラと舞う。
焦燥に押されて弾けたカケラが。
彼らは今日も溺れる。
互いに寄りかかりながら。
彼らは今日も酔う。
日はまた昇ると信じて。
ヘミングウェイの『日はまた昇る』から受けたインスピレーションのままに。
1920年代の若者と、2020年代の若者。未知の不穏さに混迷する姿は、100年という月日の隔たりを感じさせない。
それでも探し続けよう、各々の日=希望を。
お気持ちをいただけたら大変喜びます。