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ニセコ坐忘林のプロデューサによる新作「シグチ」宿泊記と初心者向けニセコガイド

地味にホテルステイもささやかな趣味の一つである梅木です。他の方々のホテルステイの記事を読むのも好きです。

今回はニセコの「シグチ」をご紹介。

今年のホテルステイは下記のレポートを書きましたが、有料記事にしたら全然読まれなかったのでほぼ無料公開としましたw 未読の方は是非。

ホテル旅館の宿泊記シリーズは趣味で度々書いています。

今回はニセコのシグチに宿泊。

本記事は6章構成としており、下記の目次から興味ある章をクリックしての閲覧を推奨します。2,3章はニセコの全体感の紹介としており、ニセコ初心者向けです。

1.シグチとは


2022年4月開業の新しい宿で、5部屋のみ。会津若松などから移築した古民家(一度解体して再構築しているらしい)で、アートギャラリーの中に宿泊する。的なコンセプトの宿。

ニセコで最も人気があり有名と思われる「坐忘林」のプロデューサーでありイギリス人のショーヤ・グリッグ氏がオーナーでプロデュースとのこと。

2022年のホテルやニセコ関連の特集にはよく登場していました。

グリッグ氏のプライベートギャラリーが施設内にあり、宿泊客のみが訪問できる。今回私は後述のダメージにより、時間がなく訪問できず。

2.ニセコへのアクセス詳細:北海道新幹線倶知安駅は2030年開業


私は旭川出身ですが、ニセコ訪問は初めてでした。ニセコによく行く方はここはスキップしても良いかも。

ベストは新千歳空港からアルファード(片道3.2万円)を手配してニセコ付近まで2時間〜2時間半での移動。しかし、年末年始などのハイシーズンは予約が一杯で、ニセコや倶知安市内ではタクシーが全然捕まらないようです。

私は気合いで電車移動w 新千歳からはJRエアポートで小樽まで行き、小樽で乗り換えて函館線で倶知安まで。下記のような時間帯でした。

電車の際のポイントとしては、空港からは始発ですが札幌を経由することもあり、乗客数が多く、席の争奪戦に負けるリスクが非常に高いので、出発時間ギリギリではなく余裕を持って電車に乗ることをお勧めします。

札幌行きはまだしも、小樽行きは本数が少ないという点は気をつけたい。

小樽での乗り換えも同様で、乗り換えまで5分しかないですがここもかなり急がないと座れないです。

小樽から倶知安の間には余市がありますが、余市でかなり多くの乗客が降りました。人気ありますね。JRエアポートにはトイレがなかった記憶ありますが、函館線にはありました。

なお、シグチと坐忘林は倶知安駅が最寄りですが、他のホテルにお隣の比羅夫駅の方が近い場合もあり、比羅夫まで行かないとホテルからの送迎がないかも。

アクセス的には、行きはアルファード(運転できる方はレンタカーも良いですが、雪道に慣れていない方はレンタカーを避けることも冬は多いそうです)で帰りは電車で札幌に立ち寄り、鮨やラーメンを楽しんで少し遅めの時間に東京に帰るというのが良いかと思います。

倶知安発の電車も本数が少ないので、ご注意を。

蛇足ですが、北海道新幹線の駅が発表され、2030年に倶知安駅が開業とのこと。

画像引用元:こちら

函館以降は「新八雲」「長万部」「倶知安」「新小樽」「札幌」とのこと。

東京〜倶知安は4時間18分とのこと(ソース

東京〜札幌は5時間1分。

ちなみに2022時点で「東京駅」から「倶知安駅」は羽田や新千歳を経由して5時間50分〜6時間程度であり、乗り換えの煩雑さもあるので、かなりだるいですよね。

ちなみに新幹線で4時間18分は、東京からでいうと山口県徳山駅の4時間15分と同等。東京〜博多は5時間ジャストなので、倶知安は博多よりは近い。東京〜博多と、東京〜札幌はほぼ同じ。

2030年開業と、8年後ですけどね…

3.ニセコホテル勢力図


ニセコ人気の背景はこの書籍を読むと把握できますので、詳細はこちらに譲ります。

超ざっくりですが、駅には赤丸、ホテルにオレンジ丸かオレンジ塗りつぶしでおおよその場所を。アマンはググって出てきた場所がそのあたりで、駅からは遠い。

ニセコの高級ホテルが時系列だとこういう開業時期です。

・坐忘林(2015年6月)
パークハイアットニセコ(2020年1月)
楽 水山(2020年12月)
東山ニセコビレッジ、リッツ・カールトン・リザーブ(2020年12月)
・シグチ(2022年4月)
雪ニセコ(2022年12月)
・アマンニセコ(2023年)

楽水山や雪ニセコはネームバリューに劣り、パークハイアット(169部屋)やリッツ(50部屋)は国際的にも強力なブランドです。

しかしながらハッキリと言うと、チェーンであることは間違いないので良くも悪くも「安定のリッツ」「安定のハイアット」であり、他エリアのリッツやハイアットに泊まったことがある人にとっては、サプライズはないと思われます。良い点といえば、ダウンサイドリスクも低い。

ハイアット、リッツはスキー場直結であり、スキーをメインで楽しみたい方にとっては、そのいずれかがベストチョイスに思えます。

一方の今回紹介するシグチ(5部屋)や坐忘林(15部屋)はスモールラグジュアリーホテルであり、スキー場にも特に近くはないので、スキーをやりたい場合にはかなり不便であることが予想されます。

ちなみに、一休情報にはなりますが、リッツは倶知安駅まで送迎バスはありますが、アルファード的なものでの送迎はなさそうです。ホテル手配の新千歳空港からホテルまでのハイヤーは5万円w 自分でアルファードを手配すれば3.2万円で、かなりぼったくられている感。

アマンニセコはこちらの記事によると30部屋と31部屋のレジデンス、スキー場隣接とあります。大手資本はスキー場近くに建設して、スキーヤーの需要を満たすことが、経済合理性があるのでしょう。

外資資本によるスキー場+ハイエンドホテルが開拓されていく中で、今回紹介するシグチは真逆の存在といえ、そういう意味では面白いです。

スキーを楽しみたくて、安定のリッツ&ハイアットクオリティを求める方はそちらが良いでしょう。しかし、あまりにもインバウンドが多すぎて、ホテル内で日本語が通じない説を聞いたこともありますw さすがにデマかな。

スキーはせずに、スモールラグジュアリーならではの個性を求める方は、坐忘林&シグチの方が満足度が高いかもしれません。

4.シグチ内観と感想:石風呂は好き!薪焼きには注意!


倶知安駅から車で15分程度。事前に伝えればワゴンタイプの送迎車が来てくれます。坐忘林から車で2分程度の少し奥に位置し、坐忘林のギャラリーも見たかったのですが、2022年12月時点では宿泊客のみだそうです。

順番はかなりランダムに紹介します。主に写真でお楽しみください。写真が多い分、ここは長く感じる章ですが、この4章が記事のメインとです。

一番良かった!という点が石風呂です。ここがこの宿の最大のウリとも感じる。

石風呂

巨大な石をくり抜いて作った浴槽だそうですが、檜の風呂などとはまた違った趣。デザイン的にもかなりクールですし、雪景色と一体感があり、映える。

私は5部屋のうちの「知」に泊まりましたが、「火」だけは石風呂ではなく檜だそうです。ご注意を。

ちなみに石風呂の中は、少しぬるぬるしていて滑りやすいです。小さい子供が一人で入ると、少し危ないかも。

洗面台も石をくり抜いたデザインで、かなりカッコいい。

ただ、この石風呂は坐忘林にもあり、シグチのみの専売特許ではなさそう。

室内:古民家の移築

坐忘林とシグチの最大の違いは、坐忘林がホテルライクな内装ですが、シグチは完全に古民家である点。会津若松などからの築150年の古民家を移築して再構築している。

「シグチ=仕口」は「再結合」という意味合いがあり、古民家の再構築であるがゆえに、シグチと名付けられた説があると雑誌で読みました。

リビング

アンティークのアートが数多く飾られる店内。正直、好みはかなり分かれそうです。私は嫌いではありませんが、バキバキの現代アート好きの方だと、アンティークはちょっと違うかも。と感じる方もいるかも。

パジャマたち

パジャマや羽織もの。夕食は不可ですが、朝食はパジャマや羽織もので食べに行っても良いそうです。完全に蛇足ですが、右のレザーダウンはベルルッティです。

薪ストーブに殺されるかと思った

超問題児の薪ストーブ。まさかこいつに苦しめられるとは思いませんでした。

チェックインが15:30で夕食が19時。夕食の少し前から頭が痛いなと。結局当日に頭痛が治ることはなく、薪ストーブも消したのですが、後から振り返ると風邪とかそういう類の頭痛ではなく、今まで感じたことない頭痛。

翌日も結構残っていたことから、一酸化炭素中毒的な煙で苦しめられたのではないかと推測。同行者も同じ症状だったので、信憑性が高い。

読者の方はもし行く機会があれば、薪ストーブは「付けない」という選択をした方が賢明です。最初は付いておらず、「付けれますけどいかがですか?」と聞かれます。付けると、一酸化炭素中毒リスクがありますw

スタッフに「頭痛になったゲストはいないか?」と聞くと、今まではいないと言われたのですが、絶対いると思うんですよね。。結構な頭痛でした。

こういう薪ストーブリスクは、リッツやハイアットではないはずであり、そういうダウンサイドリスクは外資チェーンのほうが確実にヘッジできそう。

リビングの机と椅子

割と大きなガチめなキッチンがあります。長期滞在を見越して設置したのでしょうか。

インルームのドリンクはインクルーシブのため、後から請求されない。他にオレンジアイスとほうじ茶アイスが1個ずつ。

余市の葡萄ジュースを飲みましたが、かなり酸っぱめで少し野暮ったさを感じるのが余市や北海道っぽいと感じます。アランミリアの葡萄ジュースの洗練された感じとは真逆。私は完全にアランミリア派。

ベッドはそれなりの広さ。この部屋は4-5名まで泊まれるようで、下記の2Fの和室に布団を敷いて寝るのでしょう。

正直、2名で宿泊だとデッドスペースになっただけ感が否めない。

リビングに飾られたアート。小さいアートもたくさん飾られていて、楽しい。

12月中旬はガッツリ雪が積もっていますが、この程度だとむしろ少ないほうらしいです。夏は夏で緑の景色を楽しめそうで、それも風情ある。

料金:229,000円(12月中旬の1泊)

料金について解説。私は一休のダイナミックプライスを見るのが好きで、見た時期と価格のログをつけていることがあります。

8/1:118,750
9/15:140,600
11/28:207,100
12/11:229,900

一休の当時の最安値のメモ

2022年4月開業であり、開業時期は認知度も低く、空室率が高そうなので、本来の理想とする価格からかなり下げている気はする。

12月の価格はニセコ自体がスタッフ不足でリッツやハイアットは稼働率が高くなくても新規予約を停止したという報道もあり、割高な設定になっていると思われる。

坐忘林の価格を見ると

8/1:112,100
9/15:161,515
11/28:186,215

一休の当時の最安値のメモ

時期によって坐忘林とシグチ、どちらが高いかは変動する。坐忘林は知名度が高く、私が今回宿泊5日前に予約した際には年内満室だった。

シグチは知名度が低いからか、5部屋中3部屋くらいは予約時に空いていた。しかも、他の部屋と平米数とか広さ違うのに価格は同じだった。

価格満足度は坐忘林もシグチも夕朝食付きであり、食事代を2名でざっくり4万円程度と見積もると14-15万円程度ならアリかなという感じ。食事代抜きで10〜11万円程度。

今回の約23万円は明らかなハイシーズン価格であり、致したかない。

坐忘林とシグチの比較でいうと、70-80平米の坐忘林に対して、シグチ最低144平米であり、空間価値としては同じ価格になるのであればシグチが割安となる。

ただし、シグチは古民家の改築であり、2Fのほぼ使わない和室なども閉米数にカウントされるため、ゲストにとっては無駄なデッドスペースが広いという解釈もできる。

玄関
部屋の外

5.SOMOZAでのディナー

シグチのチェックイン場所は共用部で器などの販売があるギャラリーを閉瀬する「SOMOZA」というスペースになります。シグチの宿泊場所となる古民家は、SOMOZAから徒歩2〜3分に3軒(1つの古民家に2部屋が2つと、1つの古民家に1部屋が1つ)

SOMOZAはイノベーティブ系であり、レストランで食べ慣れている方にとっては、率直に言って可もなく不可もなくな感じだと思います。少なくとも一休でのプランでは、夕朝食必須のプランです。

レストラン入口のスペース

全てではないですが、ディナーを掲載するとざっくりこんな感じ。あまり印象的な品はなく、ディナー目当て泊まる宿ではないと思う。

ちなみに朝食は、サッカー観戦と一酸化炭素中毒疑惑の頭痛でグロッキーだったため、チェックアウト直前まで爆睡してスキップしたので割愛。

ホテルの朝食にも、基本的にはそんなに期待していません。

持論ではありますが、「餅は餅屋的」な感じで、ホテルにレストラン並のクオリティを期待してはいけないと思っています。

他のニセコ外資系ホテルは著名レストランの支店を誘致していますが、それに対しても「支店は支店であり、本店のクオリティを期待すべきではない」という意見です。

昔Twitterアンケートをとった際に、ホテルや旅館に最も期待することに「食事」を挙げている方が多かったのですが、個人的にはそこへの期待はお門違いであり、そのホテルならではの建築とか雰囲気や景色。の方が価値が高いと、私個人としては思っています。

6.感想

ニセコについて

スキーやスノボ好きにとっては、パウダースノーで雪質が高いことが、そもそものニセコ人気の起点となっている。その観点で見ると、主に海外を中心に根強いニセコファンはいるのだろう。

スキーヤー以外にとっては、如何せんかなりアクセスが悪いという点から、リピート率が低いと推察。

雪見温泉に行きたいというだけなら、個人的に越後湯沢が東京から新幹線で1時間20分強で、軽井沢と大差ない距離なので、越後湯沢に軍配が上がる。

増加する外資系ホテルや、インバウンド比率が国内でも随一の高さであり、日本にいるのに海外感溢れる感じ(単に外国人客が多いだけ)を味わいたいなら、ニセコは良い。

2030年の北海道新幹線による倶知安駅開業まではアクセス的に個人的にはリピートする可能性が低いと感じた。

道産子なのに小樽より左には行ったことがなかったので、個人的には夏に余市に雲丹を食べに行くというイベントをメインに、そのついでにニセコのホテルに泊まるのはアリかなというプラン。札幌市内は驚くほどまともなホテルがない。

ニセコ自体は、リピートされるにはかなり人を選ぶ気がしました。

ニセコのホテルと旅館、シグチについて

本記事のメインであるシグチ。

ニセコの中で宿を選ぶなら、3章のニセコホテル勢力図に記載の通り「外資ラグジュアリー系vs坐忘林シグチ連合」の構図となる。

スキーヤーなら外資ラグジュアリー系が利便性の観点で無難。非スキーヤーであり、画一的なチェーン系ホテルを好まず、個性を追求したい。ワンアンドオンリー感が好きだ!という方には坐忘林シグチ連合をおすすめできます。

アクセスが悪い中わざわざ来て、テンプレ感あるハイアットやリッツならば、京都でも両方あるので、京都に何回か行くうちの一階に入れれば良いのではと。非スキーヤーにとっての初ニセコであれば、個人的に坐忘林シグチ連合を推したい。

坐忘林vsシグチにおいては、時期によって価格変動がありますが、平米数的にはシグチの方が高くて然るべきです。ただ、上述の通り、古民家の再構築であり、デッドスペースも多い上での平米数という解釈。普通に快適に過ごす分には、坐忘林の造りで問題ないはずです。

坐忘林は2015年開業であり、何人か宿泊した友人に聞くと「ディティールが甘い」という指摘を聞いたことがあります。

時間経過による劣化とか、そういうことな気がします。今回のシグチにおいては、デザイン的にはディティールがなんか甘いな。と感じた点はありませんでした。薪ストーブの煙による頭痛がきついという話です。。

ニセコは関係なく、シグチという宿を単体で見るとどうか。

古民家の再構築で、全室140平米以上(繰り返すがデッドスペースが多い)、「アートギャラリーの中に泊まる」というコンセプトにおいて、対抗となりそうなのは愛媛県松山にあるリトリート青凪です。

この記事のアイキャッチ画像がリトリート青凪の「青凪スイート」からの景色であり、多少の感想は記事の中にありますが、青凪も7部屋のみで、安藤忠雄建築の美術館を改装したホテル。現代アートが飾られ、たまにシークレットでブランドとコラボしたイベントがあったりする。

現代アートとアンティークという対局ではあれども、「アート色が強いスモールラグジュアリー」というコンセプトにおいては、青凪とシグチは競合するといえるでしょう。

それぞれの魅力としては、青凪は景色がすごく良い。青凪スイートは170平米ですが、平米数に対する空間の満足度は、シグチの部屋(少なくとも宿泊した「知」)よりは、全然青凪スイートが良い。開放感半端ない設計。アクセスは松山空港から車で50分程度ですが、ニセコと比較すると全然良い。

シグチは古民家の再構築とアンティーク中心のギャラリーの中に泊まる。というコンセプトが好きか否か。そこに尽きると思う。アート色はシグチの方が強い。石風呂はかなり魅力的であり、風呂は青凪より全然良いです。アクセスは悪いが、札幌に寄ってグルメを楽しめるというメリットはある。

以上です。

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