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奇祭!怪人!ジャック・バウアー!?これぞ東映版ミッドサマー!「XX 魔境伝説」!!
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少し前に「ミッドサマー」を見て、めちゃくちゃ怖かったのにラストシーンを見る頃には笑っていたんです。美しい映像、劇的でないけど自然と受け入れさせるBGM、ショッキングな映像の数々と……作品の醸し出す世界観に呑まれて最後には声をあげて笑っていたんです。とてもいい映画体験でした。マジで怖かったけど。
そしてこの映画を見終えたときあることを思ったんです…………
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逆にカルト村に行ってブッつぶす映画が見てぇっ!!!!!
恐ろしいほどの空気感と倫理観を持ったカルト村で行われる奇祭をこれでもかっていうほど浴びてしまった反動で、今度はその逆! 非常識をぶん殴ってスッキリさせてくれるようなゴキゲンな作品が見たいという衝動がとても高まってしまったんですよ!
カルト村つぶす系の作品だと「ホット・ファズ」とかも有名ですが、あいにく視聴環境的に見れず、他に見れそうな作品はないかと思った時に出会ったのが、今回紹介する「XX 魔境伝説」でした。
XX 魔境伝説のあらすじ
XXは、上甲宣之による小説「そのケータイはXXで」を、「バトル・ロワイアルII/鎮魂歌」の深作健太監督&「デスノート」の大石哲也脚本で映画化。松下奈緒と鈴木亜美、中川翔子が出演する東映配給の2007年に公開された作品。
物語の主人公は、二人の女子大生。優しく真面目な性格のしより(松下奈緒)と自由奔放で男性関係にもルーズな愛子(鈴木亜美)。
彼氏に浮気されて落ち込んでいたしよりは、心の傷を癒すため、愛子と一緒に人里離れた秘境「阿鹿里村」へと出かける。
しかし、そこで二人を待っていたのは、身も凍るような恐怖の連続だった。
突然停電した宿。豹変する村人たち。「今すぐ逃げろ! 足を切り落とされるぞ!」という不気味な忠告。
なぜか愛子を執拗に付け狙う謎の女レイカ(小沢真珠)。
なぜ二人は狙われるのか。そして阿鹿里村に隠された秘密とは何なのか。
永遠とも思える恐怖の夜が、いま幕を開けたのだった……。
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・傷つき悩む女性が主人公
・友人に誘われて怪しい村に行く
・そこに奇怪な住人達と怪しい風習
上記のように、あらすじを軽く見ただけでミッドサマーっぽさを感じたので食いつき視聴してみることにした。
ただ、この映画は少しほかの映画と異なるジャンルとして銘打たれていたのです。それが……
心臓が飛び跳ねる
ジェットコースタースリラー‼
そう、ミッドサマーのようにじわりじわりとにじり寄ってくる恐怖ではなく、ジェットコースター式に様々な現象、衝撃、ツッコミどころが飛び込んでくる驚きの作品だったのだ。
というか、カルト村に巻き込まれた要素だけで成り立つはずなのに、そこに加えて闇鍋みたいにいろんな要素を過積載していった結果、もはやわけのわからないキメラティックな作品に仕上がっている。
今回はその要素を紹介して、少しでも多くの人に興味を持ってほしい。
ここがやばいぜ! XX
ということで、少しずつこの作品の持つ特異性について説明してきたい。
カルト村に迷い込んだ招かれざる怪人、レイカ
あらすじでも触れたが、鈴木亜美演じる愛子を執拗に付け狙う謎の女レイカ。彼女は作中の舞台になるカルト村、阿鹿里村の住人ではなく、主人公たち同様に村の外からやってきた存在である。
愛子をつけ狙い、襲い掛かってくるレイカ。ただ、その出で立ちも襲撃方法もすべてがキレッキレ!主人公たちよりも存在感が強く、かなり印象深いキャラになっている。
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ロリータファッションにハサミ!!!!!
あまりにも濃いビジュアル!ハサミを得物に追いかけ、襲い掛かってくる。ジェイソンとかフレディ系のホラーキャラの役割が強いし、実際ムチャクチャ強い!なんでかわかんないけど戦闘力が高いのだ。
愛子はこのロリータ怪人に追われながら、トイレで工場で白熱の肉弾戦を繰り広げていく。このアクションパートが非常に力が入っており、見ごたえも十分でもう別のアクション映画を見ているような気分にさえなってくる。というか愛子も普通に応戦してめっちゃ戦う。
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しよりを助ける電話の声、物部昭
松下奈緒演じるしよりが見つけた謎の携帯電話にかかってくる電話の主、それが物部昭である。阿鹿里村に伝わる恐ろしい伝説を説明しながらしよりを助けてくれる存在で、物語の鍵を握る人物で基本的には電話の声の主としてほとんど画面には映らないのだが、存在感が抜群すぎるのだ。
その最たる理由がCV:小山力也という点にある。
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声優としても非常に高い知名度のある小山さんだが、この映画の公開前での代表作といえば、やはり海外ドラマ、「24」のジャック・バウアーだろう。緊迫感のある状況下で連絡を取り合い、解決しようとする存在というイメージとしてジャック・バウアーはとても印象的であり、お笑い芸人でもジャック・バウアーを演じる小山さんのモノマネをする人もいたくらい人気だった。
今回、この作品に出てくる物部昭という人物は民俗学の講師をしているという設定で阿鹿里村について説明をしてくれるのだが、ほぼテンションがジャック・バウアーと同じなのだ!
いい人だし、セリフ自体はかなり常識的なことしか言わないし、本当に真っ当な大人なのだが、声がジャック・バウアーなのだ。もう濃い。ひたすらに濃い。ほぼ画面にいなくて声しかしないのにめちゃくちゃ主張してくる!
レイカと物部の二人が、この作品の独自性を非常に高めてくれている。
若干クセのある構成
改めて説明するが、この作品はしよりと愛子のダブル主人公の作品である。劇中で二人は口論した結果別行動をとるようになり、しよりは物部と阿鹿里村の奇祭から、愛子はレイカから逃げつつ、電話で二人は連絡を取り合い村からの脱出を図るもすれ違う……という構成になっている。
そのため、それぞれの視点で話が進むように構成も分かれている。しかし、その構成の入れ替わり方にクセがあるのだ。
例えば、しよりのパートが進んでいってピンチになった瞬間に、一方そのころ愛子はーーというふうに切り替わっていくのだが、その入れ替わり方への導入方法が「巻き戻し」していくパターンなのだ。映像がいったん止まって、画質が荒っぽくなりながら倍速で巻き戻っていく、懐かしのVHSみたいな演出なのだが、ほぼ全部巻き戻して導入してくる。
この手の演出ってちょっとやったらジャンプするのが相場なのだが、ご丁寧にも視点が変わる動き出しの瞬間まで全部巻き戻してくるのだ。いやもう、かなりくどい!
DVDみたいにチャプター飛ばししてくれればいいのにとすら思うほどかたくなに巻き戻す。それも特徴的といえるだろう。
付け加えると、二人の視点でたまにすれ違っていて同じ画面にいるのにお互いに気づかないというシーンも入り込んでくるのだが、その空気も緊迫感というよりはアンジャッシュのコントに近い。そこにもクセの強さを感じてしまう。
このほかにも
・怪しすぎてドリフのコントみたいな村の住人
・主演二人の入浴シーン
・ド派手なラストシーン
……など、7割強お笑いに片足突っ込んでいる内容だが、
サスペンス要素を交えた展開で大筋のストーリーを引っ張っていることに加え、出演者の演技もしっかりしているので学芸会っぽくもならずに映画として見られる点や、力の入ったアクションシーンに爆発などの飽きさせないテンポ感で勢いよく見させてくれる点が90分を楽しく見させてくれる。
普通のカルト村的なホラー映画にヤバめのロリータ怪人と小山力也、そして東映お得意のアクション要素を盛りこみすぎて過積載になった「XX 魔境伝説」は、ジェットコースタースリラーというジャンルにふさわしい、東映版ミッドサマーと呼べる素晴らしい作品だった。
スカッとしたいとき、何か嫌なことがあったときなどにぜひ見てほしい!
最後に
Amazonプライムビデオにもあるので、ぜひ見てほしい!
https://www.amazon.co.jp/gp/video/detail/B09MC8XWS4/ref=atv_dp_share_cu_r
さらに!6月に東映チャンネルでも放映されるので、CSに入っている人にもぜひ見てほしい!
東映チャンネル | XXエクスクロス 魔境伝説 2022年6月放送! (toeich.jp)
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