営業の美学(14)視点
あらゆるジャンルに通用する営業の手引き=営業の美学。
営業に携わる方に少しでも参考になれば幸いです。
第14回 視点
広い視点を持つことは、営業のみならずビジネスパーソンにとって重要なスキルです。
一度は聞いたことのあるであろう「鳥の目、虫の目、魚の目、コウモリの目」。
営業パーソンにとって、社内外多くの立場を理解する力が成果を左右すると言っても過言ではありません。バランスよく4つの目を使いこなせると、最強の営業パーソンとなる日も近づくことでしょう。
それぞれの視点について、営業という視点からポイントをまとめてみます。
1.鳥の目
鳥の目とは、空から見る、つまり俯瞰して物事を見ることです。
目の前の顧客の期待に応えようとするがあまり、無茶な要求に対しても、とにかく何とかしようという考えが先に立つことがあります。一生懸命な営業パーソンほど陥りやすい罠でもあります。かくいう私も、そのような経験を何度もしてきました。
残念ながら、このやり方では、長続きもしない、会社からも評価されないということが起こってしまいがちです。
理由は単純。部分最適になっているからです。
営業は最前線で売上を作る役割を担いますが、色々なセクションの支えがあってのこと。そのことを忘れずに、社内外を見渡し、調整できると営業パーソンとしての実力も一段進化していきます。
鳥の目を手に入れるには、自分の思考の癖を知っておくことが重要です。つまり、自分はどのような視点に立つことが多いのか、どのような視点が抜けることが多いのか。日々、意識して行動することで、徐々に高度を上げていくようにイメージしていきたいですね。
2.虫の目
虫の目とは、鳥の目とは逆で、足元をしっかりと見つめることです。
会社が用意したトークスクリプトと資料だけでは、残念ながら突き抜けた成果を出すことは出来ません。目の前の相手をじっくりと見つめ、理解を深めること、そして相手に合わせて、適切な引き出しから適切なツールを使い分けることができれば、高い成果創出につながっていきます。
個人的な見解ですが、仕事に悩む営業パーソンは、虫の目が苦手な方が多い印象があります。
では、どうすれば良いのか。
虫の目を手に入れる最大のコツは、相手に興味を持つこと、その一択だと考えます。
ポイントは最初から精度の高い情報収集をしようとせず、相手のことをとにかくたくさん知ろうとすることです。自身のロジックを押し付けるのではなく、相手をよく知り、臨機応変にスタイルをチェンジできる営業パーソンが相手との信頼関係を構築していけると思います。
3.魚の目
魚の目とは、流れを読む、タイミングを見極めるということです。
これは、非常に難易度が高く、ある程度経験がものを言うという部分も大きいと感じます。
タイミングについては、営業泣かせであることが多く、昨日は良かったのに今日はダメ、昨日はダメだったのに今日は良い、なんていうことが往々にして発生します。
流れを読み、チャンスをものにするには何が必要か?
相手のステータスを把握することです。
相手のステータスで押さえるべき点は、提案に対する興味度合いとその理由です。特に理由が大切で、相手自身は良いと思っているが、今は社内事情によりOKを出せない場合などがあります。その場合は、その場で何とかしようとせずに、スケジュールを打ち出して進めることで、タイミングの良し悪しでチャンスを失うことを防ぐことができます。
4.コウモリの目
コウモリの目とは、物事を逆さまに見る、つまり常識や固定観念に捉われずに物事を考える、新しい発想を促すことです。
営業には、勝ち筋だったり、セオリーはあると思います。ただし、永続的・絶対的なものは無く、難航する場面に直面することが必ずあります。
その時に、現状打破できるかどうか、その一つの突破口となる可能性があるのがコウモリの目です。
コウモリの目を養うには、手放す勇気が必要だと考えています。
上手くいかないときは、何かを変えることでしか現状打破できません。そのような時に、今までのセオリーを一旦アンインストールし、新たなものを取り入れようと出来るか。ここには、リスクもある一方で、より高いフェーズに成長する機会でもあります。
営業においては、常にリスクを取るべし!とは思いませんが、現状打破することが目的である場合は、コウモリの目を発動し、新しい発想を生み出していけると良いでしょう。
今回は、4つの視点について、営業の立場から考えてみました。
視点が変われば、行動が変わる。
行動が変われば、結果が変わる。
自分自身の視点を振り返るきっかけとなれば幸いです。
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