フリーランスの「自律と保障」
新型コロナウイルスによる自粛期間中「♯自粛と補償はセットだろ」というワードを、SNSなどでちらほら見ました。
感染拡大防止のためにお店などの営業自粛を求めるのなら、その間働いてたらもらえたはずのお給料なりあったはずの売上なりは補償されなきゃダメっしょ、ということですよね。(人それぞれ意見は違うとは思いますが)
「自律してる人」は何があっても「自分のせい」なのか
今回の話はコロナのこととは直接関係ないですが「フリーランス」「個人事業主」というと、やたらと「自律したキャリア」的な言葉が紐づいているのが目に入ります。(「自律」は、ざっくりいうと「自分のルールや決まりに従って判断や行動をする」ということ)
私も、本来はフリーランスとはそういうもので、そうあるべきだと大いに思います。
ひとつの企業や時間に縛られず自分らしく働き、クライアントとは対等な関係で、プロとして専門的なスキルや高いパフォーマンスを発揮して対価をもらう。これらが、一般的なフリーランスのイメージではないでしょうか。
でも、現実は。
フリーランスであることをいいことに、ハラスメントしたりとか報酬未払いとか契約以外のことをやらせたりする企業も、存在するよね?
そういうケースに対する制度とか、全く追いついてなくないかい?
もちろん、フリーランスが素晴らしいクライアントと組んでよい仕事ができているケースもたくさんありますし、そういう側面のほうが見えやすいですが。
でも、悪質なクライアントにだまされたり未払いに遭ったり、フリーランス側にあきらかに不利な契約を結ばされてたとか、散々準備させられたのに仕事自体がなくなったとかそういう経験のある方もいますよね、少なからず。
「自律してる人」は、仕事でなにがあっても「自分のせい」でいいのかな?
フリーランスという働き方が広がるなら「保障」が必須
べつに「フリーランスをなんでもかんでも金銭的にカバーしろ」とか、そういうことを言ってるのでは当然なく。
ざっくりいうと「補償」は「損害を金銭などで補うこと」、「保障」は「その状態が損なわれないように保護し守ること」という意味なのだそう。
フリーランスという働き方が今後も日本で広がっていくのならば、まず早急に必要なのは「保障」のほう。その次に、必要に応じた「補償」。(今回のコロナのような有事の事態は別として)
フリーランス個人がどんなに「自律した働き方」をしていて、自分のことは自分で責任をもつという姿勢で生きていても、どんなに気をつけて過ごしていても事故や事件に巻き込まれてしまうことがあるように、フリーランスも、仕事で予期せぬトラブルやアクシデントに遭遇してしまうことはある。
だからこそ、思うんです。「フリーランスの自律と保障はセットだろ」と。
もしフリーランスとして仕事をしても、なにかあったときに適切な保護を受けられる(たとえば、フリーランスにおかしなことを要求してくる企業を報告できる機関があって、きちんと調査してくれるとか、場合によっては然るべきペナルティを与えてくれる仕組みがあるとか)のだとわかっていれば。
フリーランスに興味があるけど勇気が出ない優秀な人も「思い切ってフリーランスやってみよう」という決断ができるんじゃないか。
会社員とフリーランスのどちらを選ぶかという選択ももっとしやすくなるだろうし、フリーランスを搾取して好き勝手する企業も大幅に減るだろうし。
本当の意味でフリーランスが活躍できる案件や場所がもっともっと増えるだろうし、その結果、世の中によいサービスや商品、作品なんかが増えるだろうし。
フリーランス側も、安心してもっといろんな仕事にチャレンジしていけるようになるし、クライアントから自分を選んでもらえるように、いままで以上に自分のスキルを磨こうと努力するだろうし。
フリーランスがもしものときに適切な保障を受けられる制度(一番つくってもらいたいのはフリーランスを守る法律)ができることで、回り回って、結果的に個人にも企業にも世の中にもプラスになるのではないかと思います。
政府がフリーランスに向けた制度づくりに動き出すなど少しずつ明るい兆しも見えてきていますが「フリーランスなんて、好き勝手やってんだから自己責任でしょ? なんで守んないといけないの?」なんて、やったこともない人から的外れの批判を言われることがないように、フリーランスが保障される世の中になればと思います。
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