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『BLUE GIANT』:熱くて、青い、激情のJazz映画

映画『BLUE GIANT』。
この映画を観るのは今日で2回目だった。
2回観て、2回とも泣いた。

1回目は訳も分からず、ただ圧倒された。
事前知識もほとんどなく、ただ一介の音楽好きとして予告映像に興味をひかれ、なんか良さそうだなと思って観に行っただけだった。
それがもう、ジャズの凄まじさをこれでもかと体感する2時間となった。

映画のだいたい中盤ほど、主人公の大(ダイ)、そして雪祈と玉田の3人は葛飾ジャズフェスティバルに出演する。

そのあたりから、映画に、音楽に、ずっと引き込まれていた。
熱!力!音圧!!という感じで、ガンガンにパワーが迫ってくる。
よくわからない方向に感情が振り切ったまま、その熱量と力強さにただただ涙が止まらなかった。

ひたむきで真っ直ぐですべてに全力なところが、決してスマートなカッコよさなんてないのに、だけどどこまでもハチャメチャにカッコよかった。

そのままの勢いで行くかと思い、もうこのまま終わっても最高の映画と言えるんじゃないかと浸っていたそのとき。
そんな油断をつくかのように、雪祈が事故に遭った。

衝撃だった。
誰よりも雪祈が一番憧れていたであろう、ジャズの名店 So Blue での待ち望んだ本番の前夜での大事故だった。
こんな展開になるなんてうまく飲み込めず、そのまま雪祈抜きでのデュオ演奏のシーンが始まった。

大と玉田。
テナーサックスとドラムス。
2人の「WE WILL」は、祈りのような響きが込められていたように感じた。
熱さだけではない、ただひたすらに何かを信じているような、切なさと痛々しいまでの強い感情がのった演奏だった。

泣いて泣いて、
そして雪祈が重態になった体を引きずりながら2人の前に現れた瞬間も、これが3人の最後の舞台になるとわかった瞬間も、そして最後の演奏曲 FIRST NOTE が流れた瞬間も涙はとめどなく溢れていた。

雪祈の左手だけの渾身のソロ。
素人だった玉田の成長したドラム。
どこまでも熱く、前を向き続ける大のサックス。

すべてが最高のライブだった。

2回目もこの感覚はほとんど変わらず、最後の So Blue での演奏はやっぱり号泣していた。
ただ2回目の鑑賞で一番変わったのは、玉田に対する見方だったかもしれない。
3人の初舞台での玉田の演奏の拙さが改めてわかって、演奏演技の忠実さとそこからの玉田の成長ぶりにより感動した。

また余談ではあるが、私が1回目にこの映画を観たのは仙台駅の映画館だった。
仙台駅東口からバスタ新宿までの風景や、大が練習していた広瀬川沿いの橋、サックスケースに貼ってあるお札が大崎八幡宮のものであることなど、ちょっとした地元ネタがわかって少し嬉しく思った。

「BLUE GIANT」というタイトルの由来は作中で語られる。
この名の通り、本当に熱く、激しい、最高の映画だった。

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