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創作品集

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童話 ショートショート 短編 詩 など書いたものをまとめました。
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#小説

僕と龍の物語#3地球で遊ぼプロジェクト

前回の話を読んでない方はこちらです。 深い催眠状態になって、いよいよ地球に生まれる瞬間を各自が体験することになる。地球では時間が直線上に体験されるので、私たちが決めたスケジュールの地球時間にそれぞれが生まれる。 この物語を書いている今日、三月十八日はモエが生まれた日だ。モエは自分が決めた設定通りに、全介助が必要な障害者となって生まれた。 母親は約束通りアサナだ。出産も大変なものだった。医師は三歳まで生きられるかどうかと告げた。誰に何を言われようと、アサナは愛を込めてモエ

創作童話 僕と龍の物語 #2プレアデス

プレアデスの学校 「パメラ、パメラ、もうパメラったらー」突然大きな声がして私は肉体に意識を戻した。 「えっ、なんか言った?」 「さっきから呼んでるのに、またどこかに行ってたんでしょう」あきれた顔してモエが言った。 「ああ、ごめんなさーい。で、なんだっけ?」 今、私は体外離脱して地球の女の子とテレパシーでおしゃべりしていたから頭が混乱している。 「だからさ、パメラはどんな設定にするか聞いてるのよ」 ああ、そうだった。地球で遊ぼプロジェクトの計画をグループのみんなと話

僕と龍の物語 #1 アボリジニ

前回はこちら https://note.com/ume5chan55/n/nad613617d88d 僕が流れ着いたのは、オーストラリアの海岸だった。 目を開けると太陽に照らされてキラキラ光っている真っ白な砂浜に、肌黒い子どもの足が見えた。 「気が付いたみたいね」女の子の声がした。 「ここは何処?」と声を出した自分に驚き、慌てて立ち上がると体が人間になっていて、更に「うわー!」と大きな声を出した。 「どうしたの、そんなに驚いて?」その子が心配そうに僕の顔を覗き込ん

創作童話 僕と龍の物語 #0

「僕と龍の物語」プロローグ 宇宙神社ポールランドは今日も全宇宙からの参拝客で溢れている。 僕は、いつものように身を清めるために、てみずやの水盤に目を向けると、海路(カイジ)が気持ち良さそうに泳いでいる。 この水盤には湧き水が流れて来る。冷たくて清らかなので気持ちいいに決まってる。水盤にはスイカやトマトが冷やしてあるので、僕はよく冷えた真っ赤なトマトにガブリとかみついた。 カイジは青い龍で地球が出来た時に最初にやって来た龍のグループのリーダーだ。人間が現れるずっと前のこ