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【書評】『ティール組織』を読んで人材マネジメントに触れる①


先日、zoomを使ってティール組織を輪読してみた。
昨今、注目されている本ということもあり、いろんな人がいろんなことを言っているので原典に当たってみたのだ。

結論からいうと、この本で述べられていることは、実は昔から語られていることが多い。「ティール」という”バズワード”が含まれているため、新しく見えるが、述べられていることや、ティールを通して見えてくる問題意識は、過去のものと変わらなかったりする。しかし、この本を通じて、人材組織論の知識もある程度得ることができるため、それなりに得るものはある
MBAの小論文で発想の種となる「X理論・Y理論」についても解説する。

進化型組織「ティール組織」

ティール組織とは組織論の一つで、組織の発展段階において、レッド組織からアンバー、グリーンの次に来る組織とされている。
下記の組織の発展図を示す画像はビズヒントの記事がわかりやすかったので引用した。

ティール組織_全体_t4flgx

上記のように「企業を一つの生命体として扱う」というティール組織の特徴は、株式会社が資本家から求められる”ゴーイングコンサーン”(※「企業は永続を目指すべきもの」)という考え方と相反する。その点において、ティール組織は新しい組織形態と言えるだろう。

ティール組織の特徴

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ティール組織は3つの特徴を踏まえている。
・セルフマネジメント(自己管理)
・ホールネス(全体性)
・常に進化する目的

まず、セルフマネジメントについて、以下のようなことが述べられている。

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特筆すべきは、組織開発論にて議論が分かれているX理論とY理論に対し、「どちらも正しい」と結論づけていることだろう。
つぎに全体性をとりもどすための努力として2つのポイント、「一般的な慣行」「人事プロセス」が考えられている。

X理論とY理論について

ここでX理論・Y理論について簡単にまとめる。
ダグラス・マクレガーはX理論・Y理論を提唱した。

X理論:人は生まれつき仕事が嫌いであり怠けてしまうのでマネジャーは従業員を命令・管理しなければいけない
Y理論:人は自己実現したい目標のためには自己統制し、自発的に自分の能力を高めようとするはずである

このX理論・Y理論について、ティール組織を実践している人にとってみれば「X理論もY理論もどちらも正しい」という。曰く、「恐れは恐れを生むし、信頼は信頼を育てる」。

上記の考え方に基づくと、ティール組織では「いかに自分らしく職場で働けるか」ということを大事にする。これは「全体性を取り戻すための努力」と呼ばれている。

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最後に存在目的について、組織のメンバーが「組織が存在する目的にあわせて自らの行動を考えること」が求められている。

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以上の流れについて、解説者の嘉村賢州氏が自ら開設しているので、時間のある人は視聴しても良いかもしれない。


ホラクラシー型組織との違いは?

本文にも述べられているように、ホラクラシー型組織との違いについて述べられている。ホラクラシー組織とは以下のような特徴を持つ組織のことである。(ダイヤモンドハーバードビジネスレビュー2016年「ホラクラシーの光と影」より引用)

▼ホラクラシーの特徴
①チームこそが組織構造である
②チームが自らを設計・統治する
③リーダーシップは置かれた環境に応じて変化する

上記を考えると、ホラクラシーとティールは似た概念だともいえる。しかし、これらの組織に共通するのは「確実性と順応性のバランス」なのだ

確実性と順応性のバランスとは?

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つまり、組織を縛りすぎてもダメだし、一方で現場を自由にやらせすぎてもまとまらなくなってしまう。『ティール組織』の導入に多くの人が憧れるのは、このバランスが大切なのではないだろうか。

とここまで書いてきたが、長くなってしまったので続きはまた次回。





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