本を好きでいると新たな出会いがある。

 昨日、京都の古書善行堂に行くと、店の奥で店主の山本さんと話をしている女性がいた。

 山本さんが僕に声をかけてくれる。「こっち、おいで!詩ぃちゃんが来てるよ!」

 岬書店から「のどがかわいた」という本を出版されている大阿久佳乃さんだ。「詩ぃちゃん」のことは以前も書いた。

 初めてお出会いする詩ぃちゃんの第一印象は、ちっちゃくてかわいい大学生という感じだったが、お話をすると落ち着いた大人の女性の雰囲気も持っておられる、魅力的な方だった。

 山本さんと3人でお話をさせていただいた。話題は、本好きの人が本について語り合える場所に飢えているという話。

 確かにそうかもしれない。僕の場合、たまたま職場に本の好きな人がいっぱいいて、以前は本好きが自分の好きな本について語り合う飲み会を定期的に行っていた。でも、今はコロナで飲み会もできない。

 詩ぃちゃんによると、そもそも周りに本の好きな人がいないから、本について語り合える場所を探している人もいるという。僕は職場に本について語り合える仲間がいて、善行堂に行けば山本さんがいる。それは、とてもありがたいことなんだなと思った。

 山本さんのお話は、とても面白い。僕の知らない本の話やこれまでの人生のことなど、いろいろ伺っている。僕も自分の好きな本のことや悩みなどについて話すことができる。

 最近は定期的に善行堂に行って、山本さんとお話することが僕の精神安定剤になっている。

 それにしても、こんなにお話できる古書店も珍しいと思う。僕の知っている古書店というと、静かで本が所狭しと積み上げられ、一番奥に店番の人が1人座っているイメージ。「こんにちは」と声をかけても、軽く会釈を返されるくらいで、とても話が弾む気がしない。古書店主はみんなシャイなひとなんだろうなと思っていた。

 その点、山本さんは違う。ものすごくエネルギッシュで、話が止まらない。僕もつられていつも以上に雄弁になる。気が付くと本をじっくり見ることなく、数冊の本だけ買って、店を後にすることもある。

 とても、おもしろいなぁ。

 本を買うこと、本を読むことは、僕にとってとても意味のあることで、ストレスも解消できるし、何よりもその時間が一番楽しい。僕は何かを得たいと思って本を読んだことはほとんどない。ただ、読むことが楽しいから読むだけ。だから、どれだけ疲れていても、本を読むことはできる。

 善行堂で山本さんと出会い、昨日、詩ぃちゃんと出会い、僕の好きな本が人と人をつないでくれる不思議を思った。そういった出会いがあることも、本の魅力だな。



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