地方を救いたい人は多いけど、救ってほしいと思う人は少ない
僕はいわゆる地方で5年ほどビジネスをしています。
その中で、地域課題をテーマとしたビジネスで相談にのることが多いです。例えば「地域の〇〇問題をビジネスで解決したい!」とか。地方の人の困りごとを解決したい、そういう気持ちは大切ですが、大きな勘違いをしているかもしれません。
なぜなら、いざ地方の人や経営者を見てみると困っていないんです。なんなら満足しているようにも思えます。
ちなみに、僕自身も同じ勘違いをしていました。福島県に来る前は都内で働いていて、当時は地方が「なぜこんなに時代から遅れているんだろう」だったり、「もっとITを取り入れれば発展できるのに」と思ってたりしました。
でもそれは一方的なエゴでした。
今の現状で事足りているから、それ以上のことは望んでいないんです。つまり、ビジネスとしてのニーズがない。
もちろん、すべての人がそうだとは言いません。ただ、少なからず都内で見ている地方と現地では大きなギャップがあります。
ここを理解せずに「困ってるんでしょ?解決しますよ!」と乗り込んでも、うまくいきません。
満を持して進出してきたものの撤退する法人や地方に絶望する人が多いのは、ニーズの見誤りが大きな理由だと思います。
近い例として、メキシコの漁師とMBAコンサルタントの話があります。
この話では、豊かさの違いについて語られることが多いのですが、僕が感じるのは認識の違いだと思います。コンサルタントは経済合理性を問題視していますが、そもそも漁師にとっては魚の漁獲量は問題じゃないんです。
地方の茹でガエル理論
望んでいないからといって、問題解決が不要なのかと言われるとそうでもありません。
なぜなら、そもそも問題に気づいていないことが多いからです。当然、問題に気づいていなければ、課題も見えてないので解決のしようがありません。こうした潜在的な問題を抱えている組織、ひいては地域がたくさんあります。
例えば、地域の企業でも頻繁にこんな事が起きています。
・長年の手法や技術に固執し、気がついたら競争力が低下していた
・労働環境の変化を鑑みない結果、退職者は増えるも求職者が増えない
・後継者不在によって未だに現役のシニア経営者
いずれも突然起こった問題ではありません。以前からあった問題であり、それが顕在化して「やばい、大変だ!」となっているにすぎません。
この現象は「茹でガエル」という例えがぴったりだと思います。
つまり、今のままでも困りはしないけれど、いつか将来的に(かつ徐々に)取り返しがつかなくなるということです。このリスクに気づいていないことも問題の一つだと考えます。
地域全ては救えない
前述のお話に加えて、地域課題をテーマとしたビジネスで勘違いしがちなのが「誰の課題なのか」ということです。
よく地域全体にまつわる課題かのように考える人が多いのですが、
本当に地域全体で認識されている課題ですか?
実際は特定の誰か、なのではないでしょうか。それを拡大解釈して「地域全体」に広げると本当の課題を見誤る可能性があります。
なにより救ってほしいと思っている人は少ないですし、助かりたい人はすでに自分で動いているはず。
つまり、地域全てを救おうという考えは大きな勘違いです。
だからこそ「誰の課題なのか」をしっかり特定することが後々の後悔をなくすうえでは、とても重要なことだと考えています。
真のニーズは現場でしかわからない
ここまでお話してきたことは、ニーズの特定というところにあります。自分も同じ経験をしたからわかりますが、結局は物理的な距離があるとニーズの特定は難しい。
遠巻きに見ているだけでは、前述のように妄想ばっかり膨らんで真のニーズを掴むことはできません。だからこそ、現地に足を運びましょう。
そして、現地の人にお話を聞きましょう。価値ある情報は現場にしかないのです。
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