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少子化は加速した

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さて今日は少子化の話です。

少子化の問題はずっと言われ続けていますが、それが国民に、どころかそれに警鐘を鳴らす側にすら理解されていないのが見受けられますので、ここで少し整理してみようと思います。

少子化問題とは財政、社会保障問題?

昔から言われてる問題はこれですね。しかしそんな話は漠然とし過ぎているし、問題の本質ではないので人々の心に響きません。

「年寄なんてすぐ死ぬし、年金我慢してればいいじゃん。そもそも俺等若い世代なんか貰えるとも思ってないし」

と言う厭世主義を助長することしかできませんでした。

結果、財政、社会保障問題として捉えさせようとしたアプローチは大失敗しました。

しかし、実はそもそも財政逼迫、財政健全化なんて話がミスリードなのです。

MMT(現代貨幣理論、有効需要を超えない範囲での自国通貨建て国債発行は経済的にも財政的にも望ましく、インフレによる貨幣価値の低下を制御することで経済は維持できる。また徴税とはその貨幣価値調整を実現する為の手段に過ぎず、国家歳入の財源と見做すのは適切ではないと言うような考え方。俺の理解は)の話を出すまでもなく、少子化、財政逼迫だと言われて消費増税されたら国民の実質所得は下がり、それこそ結婚、出産へのハードルが上がるだけです。

借り入れ、支出とは?

財政逼迫問題の基本的な考え方は、国債を借金と認識し、国が常に返済に追われ、支払えなく、借りれなくなると思い込むことからくる誤解に過ぎません。何故それが誤解なのでしょう。

人が、消費者が、借り入れをする時はまさに「借金」をします。住宅ローン、自動車ローン、奨学金、それ等はどれも購入した商品の代金、自分が受けるサービスの料金を分割して支払う為の借金です。

一方、国家や企業の借り入れはそうではありません。事業を行う為の資金調達手段です。

事業を始めるにあたって土地や建物、従業員の賃金等、必要な資金を自己資本で事業開始前に揃えることは基本的に不可能です。なのでその資金を金融機関等から利息を支払い調達します。それ等は、事業を行い、その売上を重ねることで「ペイ」していきます。

国家も似たようなもので、必要な事業(計画)と資金調達さえできれば借り入れ額の増加そのものは返済リスクとはなりません。そして国家の事業とはそもそも国民の所得の増加にも繋がります。無駄なハコモノを作って、維持費だけが馬鹿みたいにかかることは当然避けなければなりませんが、必要な事業に必要な予算を割くことは国民生活の質の向上とも直結しています。しかも、国債の特殊なところが、円と言う通貨を発行する権利がある為(政府とは独立した中央銀行である日銀が発行)、日銀が金を発行すればそれが充てられます。そしてそれは国内に流通し、消費されます。ここで気をつけなければならないのはお金の流通量が過剰になると、金が余ってしまい、お金の価値が下がって物価が上がってしまうことです。概ね年間2%程度なら経済成長として許容できますが、それを超えてくると、物価が上がり続けてバブルが生じる恐れが出てきます。そこだけは気をつけなければいけません。

このように、経済、財政において、借り入れや支出と言うのはそもそも必要なことであり、それが多かったり逆に足らないことが問題になるのです。

論語に言う

過ぎたるは猶及ばざるが如し

です。

少子化問題とは経済の問題

さて、少子化が大変だと言いながら、何故財政だの経済だのと言う少し小難しい話をしたのかと言いますと、少子化が起こす問題とは全て経済問題に収斂されるからです。

経済と言ってもここからは私はインフレだのデフレだのと言った用語に頼らない簡単な経済の話をします(今更かよと言うツッコミは甘んじて受けます)。そしてこれは基本的には年金不安の話と全く同じロジックの話です。

東京、首都圏は日本で最も人口が多い地域です。

東京都 約1400万人

神奈川県 約920万人

埼玉県 約730万人

千葉県 約630万人

茨城県 約290万人

栃木県、群馬県 約190万人

山梨県 80万人

合計 4430万人

全人口が1億2500万人なので、

首都圏には全日本の35%、つまり3分の1以上の人がいるわけです。

その為電車賃なんかも田舎に比べて遥かに安いです。

山手線(基本11両編成)の初乗り運賃(例えば渋谷→原宿)はIC利用で136円です。

肥薩おれんじ鉄道(朝夕2両、その他1両)初乗り運賃(例えば八代→肥後高田)は同じく240円です。

しかも肥薩おれんじ鉄道は第三セクター鉄道であり、地方公共団体からの財政支援を受けてこの価格です。

何故こんなに違うのでしょうか。それは建設から維持にかかるあらゆるコストを、利用する人で割り勘するからです。

つまり、今あるインフラを全てそのまま作り変えることなく使い続けると仮定するなら、利用人数が多い方が一人辺りのコストが下げられると言うことですね。

一回の運行に山手線で千人が乗り、肥薩おれんじ鉄道で50人乗るとしたら、しかも本数は山手線は一日数百本、肥薩おれんじ鉄道は数十本の差がありますので、イメージ頂けるかと思います。

これはあくまで単純化した話です。鉄道会社も営業範囲、敷設線路距離、車輌数、従業員数、更には固定資産税等々、様々な条件がありますので必ず比例すると言う話ではありません。

とは言え、これで私が何を言いたいのかはご理解頂けるかと思います。

つまり、少子化が進めば人口が減り、様々なインフラの維持が負担になると言うことです。

そしてこれは構図としては地方の過疎化と同じだと言うことです。

コロナ禍において経済は命より大切ではないと言うような間の抜けた話が横行していますが、そんなことは有り得ません。

経済の話こそ命の話なのです。

過疎化と地方の取り組み

地方は人口が少ない為、都会と同じ労働をしても売上額に開きが出てきます。また都会で人口を多く抱える地域の方が選択肢も多く魅力的です。

それは世界中どこでも同じ話なのですが、日本も例外なくその構造がある為、東京一極集中が起きています。

人口が減ると財政が悪化しますし、地域で活動する企業の景気も悪化します。

そこで日本中の自治体が取り組んでいるのが、移住者への助成金です。賃貸だと転出の可能性も高い為、戸建て等、完全に移住すると分かる方々への助成は尚手厚くなっています。

そうやってでも人を呼び、税収や企業活動の維持を図りたい、と言うのが地方公共団体の望みです。また同じく企業誘致に必死なところもあります。それはそれにより従業員が定住することに繋がると考えられるからですね。

実際、それが成功しているような地域は、平成の大合併でもどこにもつかず、孤立しています。熊本県の菊陽町や鳥取県の日吉津村なんかは立地や商業施設の呼び込みに成功し、安定した税収、人口を得ているように思います。

そしてそれに成功していない地域は、まさに少子化と同じ問題を抱えているのです。

移民政策

それから、人口問題に関して、我々国民には中々理解できない政策の一つに移民政策と言うのがあります。これも根本的には少子化問題と同じで、人口が減った部分をどうやって穴埋めするか、と言う発想から出た政策です。特に労働力不足が企業の悩ましい問題としてあるタメ、移民は重宝されています。例えば一つの同じスーパーを千人で利用するのと千五百人で利用するのとでは売上も変わりますし、仕入れ単価や従業員数等にも影響が出てきます。人が増えれば雇用が増えるのです。雇用は消費を増やします。その循環を維持することこそ、経済の胆とも言えるかも知れません。

念の為触れておきますが、これは反政府系の人達が夢見る多様化社会と言う話とは全く違います。

政治家の失言

それから少子化問題を語る上で外せないのが政治家の「産め」と言う所謂失言問題です。

二階俊博、麻生太郎その他諸々、子供を産め発言で叩かれたことを覚えている方は多いのではないでしょうか。しかし、彼等の言っていることは本当に重要なことなのです。感情的に女性は命令されたような気になり不快、と言う話で終わってしまう為建設的な話にはなりませんでした。

しかし我々男性からも言っておきたいんです。子供が産まれなかったら社会はなくなります。少子化は将来負担の話にもなりますし、「独り身が楽」なんて話では済まなくなります。我々が自由に暮らせているのも、社会を皆で支えているからです。今後の社会を支える人を減らしていっていい、なんてことあると思いますか?

最近は公共の福祉と言う言葉が独り歩きしていますが、結婚、出産と言うのは国家維持において非常に、言ってしまえば「最も」重要な話であり、社会の為にも、己の刹那的な自由だけでなく、今後の社会を考えて頂けないでしょうか。

夫婦、共同体

私も今娘を1人育てています。妻からグチグチ文句を言われるので仕方無しに家庭を手伝うようになりました。

しかし今では特別な苦行と言うより、娘と触れ合う楽しい、また必要な時間となっています。

育児と言うのは昔は家庭や地域共同体がそれぞれ無意識に支え合って行われていました。育児が、と言うよりあらゆる生活が共存共栄だったと言えるでしょう。しかし今の世の中、共同体は無くなり、夫婦だけで子育てをする時代となりました。これは科学技術の進歩による恩恵もあれば、夫婦がそれぞれ孤立し、疲弊する原因にもなります。

本音を言うと、私は社会全体に対して家庭と言う、小さな家庭に閉じこもらずに地域共同体に出て、皆に認知されながら育てるやり方を求めています。

様々な人との接触は、子供の成長にも必ず役立つ影響を与えることでしょう。単なる負担軽減だけではありません。

そしてそれも踏まえながら夫婦の在り方も変えていかねばなりません。特に男性の育児への参加は男性が思う以上に自分に対する成果があるでしょう。

まずそもそも離婚や喧嘩の原因が大きく減らせます。夫が育児(私は家事もやっています。家事を担うことも育児負担の軽減と言えます)に消極的だとの不満は妻には相当根深く溜まるようです。会社でどんなに辛かろうが、目の前でくつろぐ姿はただの怠慢にしか見えないようです。私は「流石にそれはどうか」と当然思います。そこはやはりお互い様なので、お互いが思いやり、できる限り協力して、お互いが同時に休める時間を作るよう心掛ける方が互いの精神安定上も、また時間効率上もいいでしょう。

特に子供が小さい間は母親の負担が大きいです。それこそ寝る間も惜しんで授乳したりします。そこへの配慮ができれば、お互いの負担は減っていくでしょう。

子を持つとより社会を意識する

子育ての大変さ、面倒さを見せられたようで結婚なんて、子育てなんて、と思う方もいらっしゃるかも知れません。

しかし、子供と言うのは本当に可愛いものです。可愛いから大切に育ててあげたいと思うものです。すると、この子の為にと色々と世話をしている内に、社会の様々な問題点(致命的なものとは限らない些細なこともあります)が見えてきます。

おむつ交換台や授乳室の有り難さ、他の家族の世話の大変さ、そして子供がいると皆が笑顔になる社会。

これを守らねばならない、と改めて強く意識したものです。

そして社会を見る目が変わると考えることも変わってきます。

この変化も人の成長と言えるでしょう。

コロナ禍はそのような状況を壊した

しかし、コロナ禍はそのようなよりよい社会を築くことを今まで以上に拒むようになり、結婚や出産がより難しいものとなりました。

まず人との出会いが減ります。

仕事が減り、家族を増やす余裕がなくなります。

それでも時間は過ぎ、出産適齢期が過ぎていくと、出産を諦める方も出てきます。

そもそも晩婚化、晩産化が続いてきた我が国において、これは致命的なものとなりかねません。

元々存在していた社会的な問題の重大さを今一度理解しなおし、今後の悪化をできる限り防いでいくことが、我々今を生きる大人の責務であり、育ててくれた国や地域、家族への恩返しではないでしょうか。

私はただただ恩恵を浪費するだけの人間であってはならないと思います。

最後に

そう言うと妊娠、出産が難しい女性やそれを知る男性が苦しい思いをすることと思います。しかし、必要なこと、人にできることは十人十色です。できる範囲で人々の幸せを見守ることが、少子化対策にもなりますし、自分の幸福にも繋がるでしょう。

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