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おばあちゃんっ子

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#おばあちゃんっ子

『いい塩梅』

おばあちゃんは、私の好物をいくつも奪った。

横取りして、食べたわけではない。

与えすぎるのだ。

幼い頃小食で、食にほとんど興味がなかった私が

「甘エビが好き。」などと一言でも口にすると、

次の日には、甘エビがドーーーーンっと、大皿で食卓に並ぶ。

好物にも、限度というものがある。

いくら好きでも、限界というものがある。

食べ物だけでなく、オマケのついたお菓子もそうだ。

買い物につい

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おばあちゃんいないいない病

おばあちゃんいないいない病

私とおばあちゃんは、時に衝突もした。

原因は、いつも私が学校から帰って来ると、
ダラダラと過ごしていて、
それをみかねたおばあちゃんが

「早く、勉強しちゃいなさい!」と言う。

「早く、勉強しちゃいなさい!」は、ヤル気をなくす最強の言葉だ。

私は、おばあちゃんに

「あ〜ぁ。
今、やろうと思っていたことろだったのに、
おばあちゃんにそう言われたら、
ヤル気がどこかに飛んでっちゃった。」と

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除夜の鐘

除夜の鐘

おばあちゃんと一度だけ除夜の鐘をつきに行ったことがある。

私が、中学3年生の受験生の時だ。

除夜の鐘は、煩悩を取り払うためにつく大晦日から新年にかけての行事だが、

『苦しい時の神頼み』『合格祈願』など、
まさに煩悩丸出しの中学生だった。

家の近くの寺院から、
除夜の鐘の音が聞こえ始めると、

私はおばあちゃんを急かせながら、
家を飛び出した。

「おばあちゃん、早く行かないと除夜の鐘、終わ

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嬢ちゃんばーちゃんとクリスマス

嬢ちゃんばーちゃんとクリスマス

おばあちゃんには、社会性なるものが欠如していた。

呉服屋の長女として生まれ、

高校を出ると、東京の呉服屋さんへ『行儀見習い』に出たものの、呉服屋のご隠居さんご夫婦に可愛がられ、歌舞伎に食事にとお供させてもらい、そのまま結婚。

社会に出ることなく、家庭に入った。

そこで贅沢なるものを覚え、
のちに家計の計算もできないため、
大いに苦しむことになるのだが、、、。

東京で暮らし、

母がおばあ

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