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【展覧会レポ】写真と絵の二人展「Rafiki ~ともだち~」に見る「多様性の架け橋になるアートの力」

こんにちは、UMA(ゆま)です。きょうはとても幸せな気持ちになれる写真と絵の展示のご紹介です。

その展示、写真家の加藤直子さんと画家の木下晃希さんの二人展「Rafiki ~ともだち~ 動物を写す写真家と写真を写す画家と」2023年5月5日から21日まで、京都の知恩院和順会館で開催されています。

同展では、加藤さんが撮影したアフリカの動物たちの写真と、その写真をもとに木下さんが描いた絵が約50点並べられています。

ふたりの出会いは約3年前、木下さんが加藤さんの写真集「Sanctuary」をたまたま手にしたことがきっかけでした。独特のあたたかい視点で切り取られた加藤さんの写真は、子供のころから写真をもとに絵を描いてきた木下さんのこころに響き、そこからやりとりが始まりました。加藤さんは写真を撮ってきては見せ、木下さんは写真を見ては描いてきたといいます。

加藤さんと木下さんは年代も違えば、生まれ育った環境も違います。木下さんには知的障がいがあります。でも、この展示からは、そんな壁や溝はまったく感じられません。伝わってくるのは、ただただ、ふたりのアーティストが互いの創作活動に喜びを見出し、純粋な気持ちで向き合ってきた交流の軌跡です。

展示会場はコの字型の三面構成で、入って左の一面目が木下さんの絵、正面の二面目が写真と絵、そこから次の三面目に加藤さんの写真が続きます。正面の写真と絵を並べたところが、私には虹の架け橋のように見えました。多くの方が微笑みながら、その橋を何度も行ったり来たりして渡っています。加藤さんと木下さんは、ごく自然に、そしてこれ以上望めないほど幸せなかたちで、多様な人々をつなぐアートの力を浮かび上がらせてくれています。

「アールブリュット」「障がい者アート」などの枠を軽やかに吹き飛ばしてくれる展示です。お近くの方、京都にお出かけの予定のある方はぜひに。


加藤さんと木下さんのプロフィールはこちら⇩

加藤 直子
1960年東京世田谷区生まれ。1983年から30年間タイムキーパー(TK)としてテレビ番組制作に携わる。2010年ゴルフ場の広報活動をきっかけに本格的に写真を始める。
<アフリカでの活動>
2013年、写真家井村淳氏による動物撮影ツアーで初めてアフリカに行く。以来、2022年11月までに合計19回ケニア・タンザニアを訪問。2015年、ワイルドライフ写真家のDavid Lloyd氏のサファリツアーに初参加、翌2016年も再びDavid Lloyd氏のツアーに参加。その後は現地で知り合った英米の“keen photographer”たちそれぞれと毎年2週間ずつ訪れている。
<主な写真展・写真集>
2020年6月、初個展「この空の下で〜a chainless soul〜」をRoonee 247 fine arts(東京小伝馬町)で開催、写真集「Sanctuary」を刊行。同年7月「サンクチュアリ」をJalona(東京赤坂)で開催。10月に富士フイルムフォトサロン福岡、富士フォトギャラリー銀座、2021年4月に富士フイルムフォトサロン札幌を巡回。

「Rafiki」展チラシより

木下 晃希
2000年兵庫県西宮市生まれ。重度の知的障がいを持つ。幼少の頃から好きな動物や鳥の写真を見て絵を描いてきた。目から入る写真の情報を、まるでプログラミングされたかのようにペンに伝え、下書きせず一筆で一気に描き上げていく。その迷いのない線はとても力強く的確で、動物たちの表情を生き生きと描写する。
<受賞歴>
2017年、「第16回キラキラっとアートコンクール」で『きりんの親子』が優秀賞。2018年、「第17回キラキラっとアートコンクール」で『みんな仲良し』が優秀賞。2021年、「アートパラ深川 おしゃべりな芸術祭」で『クジラと仲間たち』が株式会社大丸松坂屋百貨店賞。「2021 パラアート TOKYO 第8回国際交流展」で『カバ』がパラアート賞。2022年、「2022 パラアート TOKYO 第9回国際交流展」で『水辺のシマウマ』がパラアート賞。 神戸北野で開催される「Any Kobe with arts」には2021年、2022年、招待アーティストとして参加。

「Rafiki」展チラシより

「Rafiki ~ともだち~ 動物を写す写真家と写真を写す画家と」

会期:2023年5月5日(金)〜21日(日)
時間:11時~18時
会場:知恩院和順会館
住所:京都市東山区林下町400-2

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