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U Tunes Track 10:ケセランパサラン

例年とは異なり難しい環境であったものの、オリパラやフジロックが熱狂のうちに幕を閉じた。お祭りも花火も出来ないこんな時でも、スポーツや音楽が人々を熱く、笑顔にさせることに変わりはないことを改めて感じた2021年夏であった。

そして、新学期が始まり、いつもの生活が戻ってきた。
ついこの間まで夏の余韻に浸っていたが、9月に入り、日中は暑くても、涼しい風が吹き、過ごしやすくなってきて、季節が変わっていくのを感じる。近所の河川敷の原っぱでは、バッタやイナゴがそこかしこで飛び跳ね、土手の脇に咲いていた花は姿を変え、種を落としたり、綿毛を飛ばす準備を始めていた。

そう、綿毛と言えば、夏から秋にかけて目撃されるUMAがいる。
白いモフモフが特徴のUMA界の癒しキャラ筆頭ながら、神秘的で不思議な力を持つ生き物。
それがケセランパサランである。

ケセランパサラン

ケセランパサラン (1)

江戸時代以降の、民間伝承上の謎の生物とされる物体である。外観は、タンポポの綿毛や兎の尻尾のような、フワフワした白い毛玉とされる。西洋でゴッサマやエンゼル・ヘアと呼ばれているものと、同類のものと考えられている。一つ一つが小さな妖力を持つ妖怪とも言われるが、植物か動物かは分からない。穴の開いた桐の箱の中で、おしろいを与えることで飼育できるとされ、増殖したり、持ち主に幸せを呼んだりすると言われているが、穴がないと窒息して死んでしまう、1年に2回以上見ると、その効果は消えてしまうなどと言われることもある。ケサランパサランを持っているということはあまり人に知らせないほうがいいと言われているため、代々密かにケサランパサランを伝えている家もあるという伝説もある。


Piero Umiliani

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写真:Wikipedia

ケセランパサランの妖しく不思議な雰囲気を引き出すBGMとして、イタリア映画音楽界の巨匠Piero Umiliani(ピエロ・ウミリアーニ)の数ある作品の中から1969年に公開された「ギャングスターの掟」より、”Gangster Song”をピックアップ!
不安や緊張を掻き立てるストリングスに、随所に印象的なフレーズを奏でるホーン隊、足音のようなパーカション、ハスキーでふくよかな女性ボーカルが調和し、抑揚が聞いた妖しさ(怪しさ)を醸し出している。

ウミリアーニの楽曲はジャズ、ラウンジ、グルーヴィーなテイストが特徴だが、彼の最大のヒット曲といえば、映画『フリーセックス地帯を行く 天国か地獄か』のテーマ曲「Mah na mah na」だろう。
日本でもTVで使われたことがあり、ご存知の方もいるのではないだろうか?オジサマの印象的な声、対照的な可憐な女性スキャット、耳に残るメロディが頭から離れない。

この他にも、イタリア映画音楽界にはマエストロが多数おり、「荒野の用心棒」、「パリ警視」、「ニューシネマパラダイス」などを手掛けたエンニオ・モリコーネや、「黄金の七人」、「女性上位時代」を手掛けたアルマンド・トロヴァヨーリなど、枚挙に暇がない。
どれもモンドでクールながらも、時に爽やかで軽やかに、時にエロチカで怪しい雰囲気を感じさせるイージーリスニングミュージック。
ここ20年くらい前から、イタリアのレーベルEasy Tempoなどで再発が多く出ているので、映画を見ていなくても音楽を通して、当時の雰囲気や空気感を感じてみてはいかがだろうか?


秋が来る前に聴きたい曲

夏以上秋未満というか、夏と秋の狭間のこの時期。
半袖じゃ寒いけど、上着を着るには暑いような感覚。
夏の名残も若干残しつつ、徐々に季節が変わるのを実感する今、聴きたい曲をセレクト。

Mark Murphy & Louis Van Dyke Trio / Happy Samba

タイトルにサンバと付くけど、ホイッスル全開のパーリーピーポー系のサンバではなく、体温が若干下がりそうな軽やかなジャズサンバから一曲。
ジャズシンガーのMark Murphyのスモーキーな歌声が、なんとも落ち着きを与えてくる。タイトル通りHappyなフレーズ満載のピアノソロ、中盤のドラムのブレイクも気持ちいい。

The Bamboos / Tighten Up

1960年代のアーチー・ベル&ザ・ドレルズによる全米No.1ヒット曲を、オーストラリアのファンク・インストバンドがカバー。
本家のギターカッティング、歩くようなベースラインが既にサイコーなのに、BPMを上げてよりグルーヴィーに、そして盛り上がるにつれ手数が増える楽器隊、さらにアドリブパートのフルートで涼しさ3割増。
個人的にはタイトなドラムがお気に入り。オカズもやり過ぎ感がなくて気持ちいい。

The La’s / There She Goes

ここからお口直しに、爽やか路線にテイストを変えて、80年代後半のブリティッシュロックから、当時セールス的にはイマイチだったが、日本でも根強い人気を持ち2000年代にサマーソニックに出演した同バンドの人気曲。OasisもThe La’sの大ファンだったとか。

Mamas Gun / Red Cassette

イギリスの5人組ソウル・ポップバンドの人気曲。ハッピーでファンキーなサウンドで、生音とシンセのミックス加減がちょうどよく、ついつい体を動かしたくなる。

Young Gun Silver Fox / You Can Feel It

上で挙げたMamas Gunのフロントマン、Andy PlattsとシンガーソングライターShawn Leeによるプロジェクト。音源だけ聴く限り、70~80年代の西海岸系AORと言われてもわからないほど、ヴィンテージ感を出した仕上がり。この時期の夕方前の時間帯に、この曲を流しながら海岸線をドライブすれば、レイドバックすること間違いなし。


あとがき

今回は秋突入直前企画(?)的なテイストで、この時期に聴きたい曲をピックアップしてみた。4つの季節でデジタルに分けられるわけではないし、中間的な時期も、アナログ感覚があって味があると感じる。
お気に入りの曲をいつも聴くのも良いが、変わりゆく周りの事象を感じながら、気分や雰囲気にあった音楽を楽しむのも良いのではないだろうか。
次回は10月、その時の感覚、気持ちに合わせて、チョイスしていきたい。





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